故郷へ恩返し

故郷を離れて早40年。私は、故郷に何かの恩返しをしたい。

苦楽を伝える

2017-06-10 05:18:20 | プロジェクトエンジニアー

大分県国東半島で見た熊の磨崖仏です。
彫士は何が伝えたかったのでしょう。
頼まれたから作ったにしては、労力がかかり過ぎです。


今日のタイトルは、「苦楽を伝える」です。
言いたいこととタイトルがマッチしないかもしれません。

社会の授業で、人口密度を習いました。
日本は人口密度が高い。
山が多くて平野が少ない。
農業だけでは食べてはいけないので、
技術を進歩させて工業を発展させなければならない。
輸出を拡大するために、強い会社をつくらなければならない。

今では、平野があっても耕作放棄地が増えている。
田舎は過疎となり空き家が増えて限界集落と言われる地域もある。
都会で暮らすために家を建てた。
子供一家と暮らすには狭く、親が亡くなると空き家になっていきます。

グローバル化が唱えられ、安い労働力を求め中国や東南アジアへ出ました。
時間単価が安いため、詳細設計を外国でする時代です。
日本の工業は空洞化されドーナツ現象が起きています。
英語が喋れない人でないと、会社では生きていけない。

一方、田舎暮らしは素晴らしいとテレビが放映します。
採れたての野菜は美味しい。農業は楽しい。
そうならば、田舎に暮らすサラリーマンの多くが日曜や朝夕に畑で働くはずです。
田舎にいるサラリーマンは、都会と同じような生活がしたい。
野菜を作る体力は残っていないし、金にならない。
無いものねだりのようにも見えます。

小さい頃田舎に暮らした子でさえ、農業体験が少なくなってきています。
田舎の高校では、送り迎えが当たり前。交通機関が十分機能していないから。
中学校もそうなり今や小学校の前にも自家用車が子どもを待っています。
不審者対策です。

お金ではない苦楽を伝えきれない。
楽な道、楽しいことと予想した生活を求めてきた経過であり結果です。
ぶつ切りになった役割の分担です。
車づくりにしろ、農業にしろ、全工程を知っている人が少なくなってきています。
効率を求めたためのチームワークです。
先進技術を求めて韓国や中国が、日本の会社の定年者を雇います。
技術が吸収されればお払い箱です。
すべての工程をしらないため、外国の会社のパートナーとして生き残れない。

私達は、「とりあえず」を繰り返してきました。
家の中には使われなくなったものが山となって、スペースを奪っています。
シンプルライフが好きなのに捨てきれない。
永く同じ道具を使えない。
壊れたら新しいものを買った方が安いから。

楽しいことを伝えきれない。
それは、苦しいことを伝えないから。
感謝の気持ちには程遠い。
「(命を)いただきます」とご飯は食べられない。

思い出はと聞かれ、楽しかったことを話します。
裏返しに、上手くいかなかった苦しさを乗り越えたから記憶として残る。
私達は、苦楽の歴史を生きてきました。
物事の進化には、苦楽が伴っていた。
だから、どんなイベントより「盆祭り」に熱が入る。
祭りは、一日だけ苦しい生活を忘れることができた。

今般のイベントは、楽しいことだけを売りにしているように見えます。
だから補助金がなくなれば廃れていきます。

私達は、勇気をもって「苦楽を伝える」ことをしなければならない。
子供達もそれを望んでいるはずです。

定年後、会社が面倒を見てくれましたか。
あんなに会社のためを思って働いてきたというのに。
確かに会社にしがみついていなければ、生きてはこれなかった。
会社は面倒を見てくれませんが、家族は捨てはしなかった。

家族団らんさえ奪われようとしています。
朝食にパンを食べる子と、ご飯を食べる親がいます。
貧乏だけど、家族一緒にご飯を食べました。
お父さんが働いたから、一緒にご飯が食べられる。
お母さんが少ないお金をやりくりして工夫したおかずを食べてきました。

獣獲り 天に感謝 生きてきた

2017年6月10日
コメント
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