2018年早々、乃木坂46の顔であり、初期シングル5作のセンターをつとめた生駒里奈さんが卒業を発表した。
昨年の橋本奈々未、伊藤万理華、中元日芽香の3人の卒業は、それぞれに大きな喪失感があり、特に橋本、中元は芸能界からも引退し今後の活躍についてはその成功を願うしかなくなった。
生駒さんの発信の通り、今の乃木坂46は「最強」かもしれない。
多分、女性アイドルグループとしてはCM本数はトップクラスだし、各メンバーの写真集がヒットそしてロングランとなり、昨年はドーム、レコ大受賞、紅白3回目出場と来るところまで来た感はある。
それでも。
生駒里奈という存在は、キャプテン桜井玲香に寄り添い、2期生・3期生を受け止めて、グループの幹となり全方位に向いた眼をもって乃木坂を支えてきた。
個人としても伊藤万理華に負けない、感性あふれるダンススキルがあり、最近は舞台経験を積んで歌唱力も上がってきた。
何より、ライブにおける存在感は半端ない。
太陽ノックのセンターを引っさげて臨んだ、2015年神宮球場ライブでのオープニングシーンで見せた、凛とした姿は今でも忘れられない。
そうした卒業を惜しむ理由はいくらでもある、、、が、何故だろう、彼女の卒業には本当に学校を卒業していくように晴れ晴れとしたものを感じてしまったのだ。
それは、デビュー以来、センターとしてアンチの矢面にも立ち、何も分からないところから苦しみながらも、アイドルとして表現者として学び、演じる喜びを知り、AKB兼任などの試練を超えて、舞台やドラマでのチャンスをものにしてきたその道程を知っている一人のファンとして、彼女がやれるだけのことはやってきたのだという点で納得せざるを得なかったからだと思う。
彼女の卒業は云うに及ばす、憧れであり、AKB兼任時代に可愛がられた、渡辺麻友のAKB卒業が契機の一つではあっただろう。
でもそれで括れるような単純なものではない。
彼女は、女優というより表現者という言葉をインタビューやブログの中で使っている。
表現することが天職かもしれない、といったことも話されていた記憶がある。
神宮で感じた凛とした立ち姿は、きっとそのまま舞台や映像の中でも、彼女の感性のままに映し出されるだろう。
卒業した後も、生駒里奈という表現者の成長を追うことが出来ることが楽しみであり、その思いが卒業の惜別感を追い越している。
前回、乃木坂46アンダーメンバーによるアンダーベストアルバム「僕だけの君」について書かせていただいた。
「アンダーメンバーがアルバムを出せる」不遇だった1・2期生にスポットライトが当たったこと、3期生が単独で舞台やライブが出来る成長を見せたこと、こうした面も謙虚な生駒ちゃんをして「最強」と言わせるポイントかもしれない。
正直、インフルエンサーが乃木坂を代表する曲になったかといえば、まだ途上。
もっと親しみやすい曲、カラオケでも歌われる代表曲は乃木坂には不在だし、ドームレベルのツアーを展開してもよく、いまだにライブ開催がない北海道上陸の含め、目指すものは多い。
新内眞衣姐さんが最年長で26歳、今後人気メンバーの卒業も考えられ、アンダーライブで鍛えられたメンバーの選抜参加はもっと増えてくるだろう。
乃木坂の強みは現在、1期生、2期生、3期生のすべてにセンター経験者がおり、永く選抜メンバーを握手会人気で固定しすぎたものの、シングル6作目からセンターを少しづつ変えてきた「施策」が功を奏し、層の厚さを作り上げている。
急成長した欅坂46が陥ったセンター平手への過剰な負担により、武道館がひらがなけやきに振り替えられるという前代未聞の事案が発生したが、乃木坂は例えばキャプテン桜井不在のツアーでも支えあいカバーしてツアーを開催できる体制が取れていた。
そうした乃木坂のグループとしての強さ、アイドルとしてだけではなく、多くの舞台を経験させメンバーを成長させているコンセプトはAKBとは違った未来を作り始めている。
生駒里奈の卒業後もさらにいろいろなメンバーに光が当たる、そんなグループであるように、応援していきたい。