1990年12月に発売されたこの3RDアルバムは、「部屋とYシャツと私」が注目されロングセラーになった。だが、私は「素敵なルネッサンス」が収録されていたので、このアルバムを購入した。
「素敵なルネッサンス」は、同窓会パーティーの今と、学生時代の恋の思い出をフラッシュバックさせる歌詞の切なさが、明るいメロディーラインと清水信之のラテンアレンジで優しく包まれているような、とにかく大好きな曲なのだ。このアルバムの後、平松愛理のアルバムはほとんど清水信之のアレンジになっていく。(と思ったらご結婚されていた)
11曲すべてが、佳作で”ハズシ”が無く、「Rose の花束」「月のランプ」など聴き込んでいくうちに収録曲すべてが好きになった。その後、7枚目の「7 DAYS GIRL」までのアルバムを聴き続けたが、やはりこのアルバムが一番であることは変わらなかった。決してその後のアルバムが駄作というのではない。それぞれのアルバムにも好きな曲はあるし、この頃、足繁く平松愛理のライブに足を運んでいたし。それでもアルバムとしての完成度、まとまり、自分の気持ちを揺るがしたもの、としては「MY DEAR」なのだ。
自分は20代の頃から、過ぎ去った二度と戻れない瞬間への想いを謳ったものに、魅かれるというか、胸が熱くなる。このアルバムには、そうした想いが込められた曲がたくさん収録されている。それに、このアルバムには平松愛理本人の歌作りのありったけのパワーが盛り込まれているような気がする。過去2枚のアルバムをリリースしているが、このアルバムで本領発揮した感が強い。
以降のアルバムは「部屋とYシャツと私」のブレイクで、ある意味「余裕」が感じられ、「遊び心」に溢れたアルバム作りをされているのだが、「MY DEAR」にはその頃の平松愛理の全身全霊をかけた”熱さ”があるのだ。どうか一度聴いてみてください。