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矢野(五味)晴美の感染症ワールド・ブログ

五味晴美の感染症ワールドのブログ版
医学生、研修医、医療従事者を中心に感染症診療と教育に関する情報還元をしています。

ACGME Internatinal 設立:臨床研修の世界標準化の動き

2010-07-24 09:36:53 | 医学教育
Big news です。

臨床研修施設に関して、現在、米国で、ACGME International が設立され、臨床研修の世界標準化への動きが開始されています。
http://acgme-i.org/web/index.html

非常に興味深いですし、今後の世界の動向が気になるところかと思います。米国流のやり方がすべて正しいとは思いませんがかなりの影響力を持つことも予想されますので、Close observeしたいと思っています。

私は9月のヨーロッパ医学教育学会AMEEに参加予定ですので、ヨーロッパの動向も聞いてきたいと思います。


枠を超える

2010-07-20 16:06:18 | 医学教育
週末は、東京と大阪で、主に感染管理看護士の方、ICTメンバーの方向けの講演会に参加しておりました。

テーマは、「チーム医療と教育」というものでした。感染対策という側面から、このテーマをインターアクティブに取り扱いました。

両方の会場に400名前後の方が、休日にもかかわらず集まってくださっており、とても感銘を受けました。

今回は私のチャレンジでもありましたが、400名規模の方向けに、インターアクティブセッションをやりました。

Mass lectureではなしえない教育効果を目標として、自ら体験、参加する形での試みでした。

東京会場では時間も押していたこともありましたが、後半になって、参加者の方のエンジンがかかり、自発的にすばらしいご発表も出ました。

大阪会場のほうでは、”ノリがよい”と伺ってはおりましたが、最初から、すばらしい自発的な発言が続き、最後まで、非常に有意義で、私も勉強になるご発言、提案が多く、充実した印象です。

今後、400名規模でも、会場と設定の工夫ができれば、インターアクティブセッションは可能であることを身をもって体験しましたので、教育効果の高いセッションを提供できるようにいろいろな機会にプログラムを構成したいと思っています。

”世界最高の教育を受けたい”

2010-07-08 12:05:56 | 医学教育
いま、新聞などでも取り上げられて話題になっている、ハーバード大学のMichael J. Sandel 教授による講義:

「正義 Justice」

書店で、講義内容をまとめた本を見ました。その表紙には、500名以上?とも思われる学生があふれ、壮大で伝統ある講義室でのMichael J. Sandel 教授がセッションをしている様子が写真として掲載されていました。

12回シリーズのこの講義は、無料で見られます。
http://www.justiceharvard.org/

http://athome.harvard.edu/programs/jmr/

だれしも、「世界最高の教育を受けたい」という願望を持っていると思います。私も学生時代からそうでした。

「最高の教育」を享受させてもらったとき、すぐに感じたことは、このようなことをもっと多くの方に届けたい、ということでした。

現在の私の大きな目標は、「世界最高レベルの教育環境を実現し、提供すること」です。

マンパワー、財政など困難な要素を強みに変えて、いかに創意工夫とアイデアで、日本でも諸外国におけるすばらしい教育プログラムに匹敵するものを提供できるか、大きなチャンスだと思っています。

老年医学のすすめ

2010-07-06 09:20:59 | 医学教育
今週号の医学界新聞に、老年医学の専門医の先生の記事が掲載されていました。

とても参考になるので、ご紹介いたします。

http://www.igaku-shoin.co.jp/paperDetail.do?id=PA02886_03


超高齢化社会に突入している日本では、本当に高齢者医療は重要です。

記事を書いていらっしゃる大蔵先生のように、体系的な知識は必須と思います。

私も、少しずつでも、勉強したいです。

やりたいこと、勉強すべきことが増えすぎて大変ですが、一歩一歩、進めていきたいです。

ヒトは、なぜ学ぶのか

2010-06-23 12:44:56 | 医学教育
いま、医学教育学のコースワークのひとつで、指定の本を読みはじめました。


とても興味深い内容です。「ヒトはなぜ、学ぶのか」

Human Learning 5th edition Omrod 著

を読んでいます。

教育心理学の関連を本ですが、自分のこどもの学ぶ様子なども事例として出しながら記載されており、わかりやすいです。

学ぶとはどいうことか、どのようにヒトは学ぶのか、なぜ学ぶのか、記憶がよく定着するのはどういうときか、などが
たくさんかかれています。

私の究極の問いは、「どのような教育を提供すれば、医師のclinical performanceは向上するのか」ということです。

しっかり勉強したいです。

More to learn

2010-05-27 15:45:58 | 医学教育
Learning environment here is superb.

Instructors, supporting staff, and secretaries are well-trained.

I would like to report more as our course proceeds.

The weather here is truly unpredictable!
Sometimes, it is very chilly even in May.

Campbell Collaboration という組織を教えていただきました。

2010-05-20 00:07:39 | 医学教育
いまの私のリサーチにおける興味は、教育プログラムの評価と標準化なのですが、
”social intervention" 社会的介入の効果をシステマティック・レビューし、データなどを提供しているリサーチ組織を、教えていただきました。

Campbell Collaboratin (C2)という組織です。
http://www.campbellcollaboration.org/

下記、ホームページより引用。
”The Campbell Collaboration is an international research network that produces systematic reviews of the effects of social interventions."

臨床エビデンスのエビデンスセンターが、Cochrane Libraryコクラン・ライブラリーですが、社会的介入、教育などに関するエビデンスセンターがCampbell Collaborationだそうです。

現在、コクラン・レビューの仕事を開始しようとしているところですが、こちらのほうでも今後のリサーチに関連付けた仕事ができると思っています。

自治医科大学のICLSコースのご案内

2010-05-18 19:18:53 | 医学教育
下記、コースディレクターの当大学 卒後臨床研修センターの早瀬先生からのご案内です。


(ご案内)
8月に自治医大で開催される
全国医学生むけICLSコースの募集情報です。
ぜひご参加ください。再受講も歓迎いたします。

お知り合いの医学生に
ご案内を転送してください。
受講者募集にご協力お願い申し上げます。
コースディレクター 早瀬行治

*****************************
医学生の皆さんへ

自治医大で開催される全国医学生むけICLSコースにご参加ください。
心停止後10分間の心肺蘇生訓練です。
電気ショック・気管挿管・経皮ペーシングなどを行ないます。
ゴロ合わせなどを使ってしっかり習得します。
日本救急学会認定の修了証を授与します。

日程(同じ内容で3回開催します。)
8月6日(金)
8月20日(金)
8月27日(金)

定員各回12名(対象:医学部1~6年生)
時間: 8時半~16時
会場:自治医大記念棟7階シミュレーションセンター
受講費無料。宿泊費補助。6年生は旅費補助可の場合あり。
自治医大生1~6年も受講可です。(宿泊費・旅費の補助はなし。)
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ICLSコースディレクター
  早瀬行治(自治医大卒後臨床研修プログラム責任者)
問合せ先:
  メール gme@jichi.ac.jp
  電話0285-58-7252 卒後臨床研修センター
  URL :  http://www.jichi.ac.jp/hospital/top/resident/icls/index.html
====================================

8月11-15日に聖路加国際病院で、米国医師らによるclinical reasoning セッションが開催

2010-05-16 12:19:31 | 医学教育
8月11-15日に、Clinical Reasoningを体得するための米国型PBLセッションが開催されます。


聖路加病院へのお問い合わせは下記だそうです。
listner@luke.or.jp

Dr. Gautam A. Deshpande
Dr. Gordon Greene, PhD (Univ of Wisconsin, Dept of Family Medicine)
Dr. Osamu Takahashi, St. Luke's Department of Internal Medicine

日時 8月11-15日 (水曜日から日曜日) 朝8時から午後6時まで
募集人員24名
募集締め切り 6月1日
(応募に、略歴、personal statement)
参加費 50,000 円

だそうです。

ご興味のあるかたは、ぜひ、ご参加ください。
参加費が高い、と感じるかたも多いでしょうが、1週間のフルタイムセッションで、米国でも医学教育でご活躍の先生方とのセッションですので、決して高くない投資だと思います。


教育の内容の濃さ、質の高さ

2010-05-14 12:25:41 | 医学教育
教育で、一番、”ぜいたく”な教育、と私が感じるのは、やっぱり、その道の達人の域にいる方の個人セッションです。

インターネット、テレビ、雑誌のインタビューなどのメディアを介する接点ではなく、
実際にお会いして、表情、感情、声のトーンや抑揚などを肌で感じながら、その人から吸収できることをできる限り吸収する機会は本当に貴重です。

以前にも書いたかもしれませんが、アンソニーロビンス(米国のpeak performance trainer)の主催する3000人規模のセミナーに参加したときに教えていただいたのが、

あることを極めたい、上達したい、と思ったら、その道のベストと思われる人を探して弟子入りすること、でした。その道を”極めた人”から、直接に教えを請うのが実現するのにもっとも近道、ということでした。

”孟母三遷”に通じることばだと思いました。

私が毎日の日課として愛読している石倉洋子先生のブログから、石倉先生のたゆまない努力、学生をはじめとする多くの一般人、ビジネスパーソンへの教育の情熱と精緻な準備を伺い知ることができ、とても感銘を受けています。

”孟母三遷”で、石倉先生の感性、興味、思考を知ることができるブログのある現代を本当にありがたい、と思っています。

内容が濃く、質が高い教育を、特にClinical Reasoning臨床推論の部分で、どうやって展開していったらいいのか、模索中です。

医学教育は奥が深し。。。試験問題の作成に挑戦

2010-05-13 23:24:38 | 医学教育
自分が学生のころは、あまり何も考えずに受けていた試験ですが、いまいろいろな場面で、
教育全般にかかわることが多くなりました。

学生、初期研修医、後期研修医、専門医研修医、一般医など、さまざまな到達度合いの方を対象に教育内容を瞬時に考え、ときに、ほぼ即興的に、audienceの反応を見ながら対応していく難しさを体験しています。(とてもよい経験ですが)これはまるで、芸人の方などが、観客の反応を見ながら、舞台でのパフォーマンスを調整するのにも似ていますよね。
”audienceに共鳴する、共感する、一体感を得る”ことが共通ですね。

教育方法にもいろいろありますが、試験問題を作成する難しさを経験しています。
試験全体で、何をめざすのか、どのような意図で作成したのか、全体としてのバランスはどうか、出題形式はどうか、など、考慮すべき点は多いですね。

こういうところを、オランダの医学教育の大学院で深く学びたいと思っています。

最近受験したTOEFL iBTの質の高さと、post-test surveyには感銘を受けています。
しっかり受験後に受験者へアンケートするところがさすがだ、と感心します。
(emailでアナウンス、回答しないと再度、催促メールが来る、といった徹底ぶり。。)
アンケートの仕方も観察していて勉強になります。


Clinical reasoningの学生セッション

2010-05-12 18:00:20 | 医学教育
今年度は、医学部の学生向けにClinical Reasoning 臨床推論のセッションをさせていただいています。

臨床能力をつけるためにもっとも必要な力のひとつが、臨床推論です。

医療の現場では、

1.患者さんのプロブレムを把握する
2.プロブレムの病態生理を考える
3.鑑別診断を挙げる
4.必要な検査を出す
5.診断をつける
6.治療方針を決める


となります。

プロブレムを把握するためには、患者の情報が必須ですが、これは、医療面接と身体所見から得るのです。History & Physical examinationsです。

その後、病態生理を考えるプロセスですが、ここで、臨床推論が必要です。

ここのプロセスのトレーニングを、学生時代から十分できるといいですよね。
臨床医学のもっともおもしろい部分ですね。

臨床前には、PBL problem-based learning でケースを通して、
臨床実習では、患者さんや模擬患者さんを通して、実践です。

初期研修医になっても、History & Physical と、Clinical reasoningのトレーニングにフォーカスすると、確実に実力はつくと思います。

よき指導医や仲間で、こうしたトレーニングができるといいですね。

感無量

2010-05-09 22:42:31 | 医学教育
私の人生のなかでも、この5-6月は特別な日となります。

これまでに、親しくかかわった研修医、学生の方が、大きく飛躍し、なかには渡米してレジデントになった方が何人もいます。

今年は、私自身と深くかかわった方が、6月に渡米するので、非常に感慨深い思いです。

トレーナーとトレーニー (trainer, trainee)、メンター・メンティー(mentor, mentee)の関係は、一方通行ではなく、常に双方向ですが、私自身、自分が指導する立場でかかわった関係性のなかでも、結局、自分自身がもっとも学んだのではないか、と思う関係が多いです。

そういう意味で、やはり人間同士の関係なので、”対等”ということなのだ、と改めて認識します。

野口嘉則さんの本のなかで、「本物の意思は、受け継がれる」というくだりがあり、いたく感銘を受けました。

自分のメンティー・トレーニーだった方が、知らないうちに、私自身の志を共有してくださっているのを実感できたときの気持ちは表現しようがないくらいうれしいものです。
とてもこころにしみます。感無量です。

今回、それを実感できる場面があり、自分がやってきたことは無駄ではなかった、とうれしかったです。

私は、やる気があってチャレンジしている人は、どんどん応援してあげたいと思っています。自分自身が研修医のころサポートしてくださった恩師たちのことを思いかえすたびに、
当時、私をこのようなお気持ちでささえてくださっていたのかなあ、とようやく想像できる域になってきた、と思っています。

親子と同じで、親になってみないと親の気持ちって、わからないものですよね。

”感無量”の最後のお話は、楽しかったお食事会。
渡米する方を囲んで、プライベートの食事会をしましたが、"Females'の会”という名前をつけています。活躍する女性の方ばかりの会で、とても楽しいひとときでした。

これからも、積極的に、がんぱっている方とのネットワークを維持したいと思っています。