中小企業の「うつ病」対策ー人、資金、時間、情報に余裕がない

企業の労働安全衛生、特にメンタルヘルス問題に取り組んでいます。
拙著「中小企業のうつ病対策」をお読みください。

SC(ストレスチェック)制度の準備情報・質問編⑦

2015年10月26日 | 情報
Q:質問編⑤において、「なお、面接指導の申出を行わない労働者に対して、実施者以外の者が勧奨を行うことについては、
ストレスチェックの実施事務従事者に限って可能であることを、押さえておきましょう。(実施マニュアルP54~55)」
とありました。 実施事務従事者には、衛生管理者や人事労務担当、安全衛生担当などの従業員を充てる予定ですが、
これでは、実施事務従事者が重要な個人情報に触れることになります。
 
A:ご指摘のとおり、実施事務従事者には、個人情報の守秘義務が課せられていますが、
立場上、ストレスチェック結果の重要情報に触れることになります、触れることができます。
具体的には、実施事務従事者は、SC受検の有無、SC受検の結果(面接指導対象該当の有無)、集団分析の結果といった
重要な個人情報に触れることができるのです。(ストレスチェック制度実施マニュアルP18参照)
既にお知らせしていますが、固有名詞、すなわち姓名そのものが個人情報ですし、
場合によっては、実施事務従事者がとても親しい友人かもしれないのです。
このことが何を意味するのか、お分かりですよね。
ストレスチェック制度は、「守秘義務」を高度に求めています。
ですから、「実施事務従事者」の存在は、ストレスチェック制度における「大矛盾」なのです。

ストレスチェック制度において、実施事務従事者とは「調査票の回収、集計若しくは入力又は受検者との
連絡調整等の実施の事務については、必ずしも実施者が直接行う必要はなく、実施事務従事者に行わせることができる。
事業者は、実施の事務が円滑に行われるよう、実施事務従事者の選任等必要な措置を講じるものとする」とされています。
 
それでは、この矛盾をどのように回避すればよいのか、どのようにして回避することができるのか?
ストレスチェックの実施を、全面的に外部のEAP機関等に委託すれば解決でいます。
しかし、中小の企業では、外部のEAP機関等に委託するのは費用の無駄遣いです。
これは、当ブログにおいて以前より指摘しています。
従って、以前にも当ブログで紹介済みですが、実施事務従事者は、御社顧問の社会保険労務士や税理士等に
お願いするのが適当と考えています。
小生はコンサルにおいて、「事業所に出入りしている、乳酸飲料の販売員や生命保険の外交員でも良いのです」と、
冗談にしてしていますが、これは、いかにも現実的ではありません。
実施事務従事者は、やはり、守秘義務を課せられている、御社顧問の社会保険労務士がもっとも相応しいと考えています。
これが、最善の解決策と考えています。
 
もし、顧問の社会保険労務士がいなければ、橋本社会保険労務士事務所にお問い合わせください。
まで。
 
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職場の健康づくり

2015年10月23日 | 情報

「職場の健康づくり」推進…国際ワークショップ
2015年10月16日 読売

職場で取り組む健康づくりについて、アジアの6か国・地域の政府機関や企業の担当者らが学び合う国際ワークショップが、
13~15日、東京都内で開かれた。
職場の健康づくりを推進することで、従業員のやる気を引き出して生産性が高まるなど経営面にもプラスとなるとの考えが、
国内外の企業に広がっている。
ワークショップは、先進事例の発表などを通じ、企業が取り組む健康管理への国際理解を深めるのが狙いだ。
ワークショップでは、タイの政府機関、タイ健康促進財団が、
タイ企業に2003年から普及を進めている職場健康づくりプログラムを紹介。
従業員とその家族、地域の人も含めて心身両面で健康づくりを目指す内容で、2000社以上が導入しているという。
日本からは、経済産業省の担当者が、医療費の抑制につながる健康経営に取り組む22社を
「健康経営銘柄」に選んだことを説明。各銘柄の株価は好調で、投資家の評価も得ているとした。
出席者はまた、健康志向の食品を取り扱うコンビニに薬局が併設された「ナチュラルローソンクオール薬局」の店舗や、
従業員が集中力や生産性を高められるよう、様々な高さの机やイスを選べる岡村製作所の実験的オフィスを視察した。
職場の健康づくりのあり方についての討論も行われた。
「仕事がうまくいくと家族や会社の生産性に影響がある」
「わが社は家族を一番大事にするよう会社幹部に求めている」などの意見が出た。
ワークショップは、タイで日系企業に健康教育を行う会社「Marimo5」などが主催。
妻の亜基さんとともに同社を経営する、最高経営責任者(CEO)の大和茂さんは
「今後、アジア共通の職場健康づくりの指針を作り、企業に導入を呼びかけたい」と語った。

健康経営銘柄 通産省
「健康経営」とは、従業員等の健康管理を経営的な視点で考え、戦略的に実践することです。
企業理念に基づき、従業員への健康投資を行うことは、従業員の活力向上や生産性の向上等の組織の活性化をもたらし、
結果的に業績向上や株価向上につながると期待されています。
そこで、日本再興戦略「国民の健康寿命の延伸」に向けた取組の一つとして、東京証券取引所の上場会社の中から、
優れた「健康経営」を実践している企業を「健康経営銘柄2016(仮称)」を選定し、
長期的な視点からの企業価値の向上を重視する投資家にとって魅力ある企業として紹介をすることで、
企業による「健康経営」の取組の促進を図ります。
選定にあたっては、経済産業省が実施する「平成27 年度 健康経営度調査」(委託先:株式会社日経リサーチ)の
調査結果を用い、経営トップが組織として健康経営を実践しているかを重要視しつつ、
「健康経営が経営理念・方針に位置づけられているか」「健康経営に取り組むための組織体制が構築されているか」
「健康経営に取り組むための制度があり、施策が実行されているか」
「健康経営の取り組みを評価し、改善に取り組んでいるか」「法令を遵守しているか」の5つの視点から
評価を行う予定です。
なお、「健康経営銘柄2016(仮称)」に選定された企業の発表は2016 年1月下旬頃を予定しております。

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休めない会社、入りたくない

2015年10月22日 | 情報

休めない会社、入りたくない 学生の意識、変化くっきり
2015年10月15日 朝日

東京都港区の慶応義塾大学三田キャンパスから徒歩1分の場所にあるカフェ。
東大や京大など、有名大学の近くに全国10店舗を展開する「知るカフェ」だ。
ドリンク代などの経費は現在約180社のスポンサー企業が負担する。
企業はここで説明会などを通じ、学生と交流する仕組みだ。
「自分は安定志向なので、就職活動では福利厚生や職場環境を重視したい」
友人とうち合わせしていた慶大3年の男性(20)はこう話した。
長時間労働や過酷なノルマがないか企業の評判に気を配っている。
知るカフェを経営する「エンリッション」の柿本優祐社長は、
「就職で自分のやりたいことを第一に考えるのはごく一部のトップ層だけ。
大半の学生が重視するのは福利厚生で、カフェでの説明会でもそうした質問が多い」と語る。
大学生の就職意識調査で、学生たちの志向の変化はくっきり表れている。
マイナビが今年6月に発表した2016年卒の大学生就職意識調査では、
「行きたくない会社」を聞く質問(二つ選択)で、01年卒と比べ、
「休日・休暇がとれない(少ない)会社」は倍近い27・4%に、「残業が多い会社」は4倍近い11・4%に上った。
(風間直樹)

 ノー残業、決断の陰に妻・娘
世の中の変化を感じ取り動き出した企業がある。
長時間労働が当たり前だったシステムエンジニアの世界で、
労働時間を大幅に減らしたのは、ITサービス大手のSCSKだ。
銀行のATMなどのシステム開発や運用を24時間体制で行っている。

「我が社は『ブラック企業』の筆頭だった」
2011年に合併して誕生したSCSK初代社長の中井戸信英会長は、こう振り返る。
住友商事の副社長からSCSKの前身の住商情報システム会長兼社長に転じた際、会社で寝泊まりする社員に衝撃を受けた。
個人的な経験が改革への決意をさらに固くさせた。
出産した娘は、孫がまだ生後8カ月のときに職場復帰を決めた。
「止めたが、娘の意思は強かった。女性の意識の変化を実感した」。
残業時間を減らすことで女性が働き続けられ、
共稼ぎの夫婦が子育てをできる職場の実現が必要だと本気で考えるようになった。
12年度から、残業時間の削減を開始。残業時間が多い部署には、次の四半期に半減を求めた。
会議時間を短くするための「立ち会議」などを導入。上司が定時に帰ることも徹底した。
浮いた残業代は社員に還元して給料が減らないようにし、やる気を高めた。
08年度に月35時間を超えていた平均残業時間は今では20時間以下に。
12年度から増収と経常増益が続いている。課長級以上の女性社員数は15年度には54人に増え、11年度の6倍に。
18年度には100人を目指している。16年度入社の会社説明会へ来た学生も前年比9%増。
中井戸氏は「自然と入りたい人が増え、優秀な人も集まる。それが企業の強さになる」と語る。
下着メーカー大手の「トリンプ・インターナショナル・ジャパン」元社長の吉越浩一郎さん(68)にとっては、
フランス人妻の存在が大きかった。
社員時代、残業で深夜に帰るたびに「家庭の作り方を知らない」と怒られ、離婚もほのめかされた。
1987年、代表取締役に就任すると長時間労働の改革を次々と実行。92年に社長に就き、さらに加速させた。
残業禁止日を増やしていく一方、毎朝、担当社員を交えた会議を開き、それぞれの仕事の締め切りを決めさせた。
午後0時半から2時間は私語やオフィス内の移動を禁じる「がんばるタイム」とすると、仕事の効率が上がった。
2003年、残業ゼロを実現。会社の意思決定が早まり、社員一人ひとりの生産性も高まった結果、
19期連続で増収増益となった。「残業をなくせるかどうかはトップの覚悟次第だ」(鈴木友里子、津阪直樹)

過労死、年間100人超
だがこうした取り組みは全体から見ればまだ一部にとどまっている面もある。
連合によると近年、労働時間は高止まりし、
働き過ぎによる精神障害や脳・心臓疾患の労災認定件数は依然として高水準にある。
認定されているだけでも年間100人を超える人が過労死している。
それは日本を代表する大手電機メーカーでも起こっている。
大学院の理工学研究科を首席で修了してからわずか4年、28歳だった男性は自ら命を絶った。
学生時代は趣味の自転車と学業を両立し、自転車を楽しむスナップ写真をブログに頻繁に載せていた。
メーカーにはソフトウェア開発担当のエンジニアとして就職した。
異変が起こったのは3年目の夏。担当プロジェクトで不具合やクレーム対応が発生し、本来の開発業務が遅れがちとなった。
「一生懸命やってきた仕事から外されたくない」。
働き詰め、秋口からは月の残業時間は100時間を超え、土日も休みがなかった。
「納期を守らなければ殺すぞ」。プロジェクトのリーダーからはそう脅された。ブログからは、自転車を楽しむ記述が消えた。
結局、プロジェクトが完了した翌年3月にうつ病と診断され休職。数カ月後、変わり果てた姿を家族が発見した。
昨年12月、男性のうつ病の発症と自殺は労災と認定された。男性の父親は言う。
「異常な長時間労働なのに会社の認識が甘すぎる。それが息子を死に追いやったのではないか」

長くではなく「濃く」働く
一人ひとりの意識改革を促す取り組みは少しずつ広がっている。
「消しますよー」。7日の午後7時ちょうど、フロアの照明が一気に暗くなった。
40人ほどの社員が残っていたが、照明が消えると次々と社員が帰り、10分後には5人だけになった。
人材派遣会社「リクルートスタッフィング」は13年から「スマートワーク」という働き方に取り組む。
東京・中央エリアの営業を担当するマネジャー、春木将平さん(31)のグループでは今春から、
普段の日は午後8時、第1、第2、第3水曜は夜7時に消灯する。
取り組みが始まった当初、春木さんは「派遣スタッフの方やお客さんのために仕事をしているのに、
なぜ妨げるようなことをするんだろう」と戸惑った。しかし、次第に時間の使い方が変化した。
電車での移動時間にメール返信し、歩きながら電話する。
かつて午後9時~10時ごろまでの残業が多かった職場は、午後7時以降に出先から戻ると冷たい視線を感じるように。
春木さんはいま、「働ける時間は有限だと感じ、効率的な配分を意識するようになった。
濃く働くためにやっているのだと分かった」と語る。来月には子供が生まれる予定で、両立が楽しみだ。
社長の長嶋由紀子さん(54)の原点は、人事担当時代、営業成績が良い人が
長い時間働いているわけではないことに気づいたことにある。
13年に「スマートワーク」を導入した当初、若い世代を中心に異論が100件近くメールなどで届いた。
「目の前のことに頑張るだけじゃなく、将来の種を植えることも必要」「ゲームのルールはどんどん変わっている」。
一人ひとりにそう返信した。
14年度の1日あたりの労働時間は12年度比で3・3%減り、時間当たりの売り上げは4・6%増えた。
長嶋さんは言う。「頑張るスイッチの入れ方を少し変える。何かを諦めるのではなく働き方を進化させたい」

「経営者の意識改革が不可欠」
労働問題に詳しい日本労働弁護団常任幹事の棗(なつめ)一郎弁護士の話
不払い残業代の請求訴訟や、過労死、過労自殺の件数は一向に減っていない。
実際、寄せられる相談内容を見ても、多くの会社は労働時間の短縮に真剣に向き合ってない。
生産性を高め短時間で効率良く働くよりも、長時間働くことを美徳として評価している限り、何も変わらない。
時短の取り組みには、そうした経営者の考えと職場の雰囲気を根本的に変えることが欠かせない。
基本給が最低賃金水準のため、生活のために残業するしかない会社もある。
そうした長時間労働を前提とした給与体系も問題だ。

 

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20.21は休載です

2015年10月19日 | 情報

20,21日は、19日より出張のため、ブログを休載します。22日より再開します。

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政府目標の「7割」は遠く

2015年10月19日 | 情報

有休取得率、47.3%へ低下=政府目標に程遠く―厚労省
時事通信 10月15日

厚生労働省が15日発表した就労条件総合調査によると、
2014年に民間企業で働く労働者が取得した年次有給休暇の割合は47.3%となり、前年から1.5ポイント低下した。
政府は2020年までに取得率を70%に引き上げる目標を掲げているが、50%にも届かない状態が続いている。
労働者1人当たりに与えられた有給休暇の日数は平均18.5日と前年と同じだったが、
実際に取得した日数は8.8日と0.2日減少した。景気の回復で仕事が忙しくなり、
休暇を取得しにくい環境になったことが原因とみられる。
医療法人や協同組合など民間企業以外の法人も含めた取得率は47.6%。
与えられた有給休暇の日数は平均18.4日、実際の取得日数は8.8日だった。
調査は従業員30人以上の6302法人を対象に1月に実施し、4432法人から回答を得た。 

年休取得率、5割割れ 政府目標の「7割」は遠く…
朝日新聞 10月16日

民間企業や医療法人、社会福祉法人などで、2014年に従業員が与えられた年次有給休暇を取った割合は、47・6%だった。厚生労働省が15日発表した。政府は20年までに取得率70%をめざしているが、目標達成は遠い。
従業員30人以上の6302法人を対象にした就労条件総合調査で、4432法人が答えた。
民間企業だけの取得率は47・3%。企業のみを対象としていた前回調査より1・5ポイント低く、
15年連続で50%を下回った。
業種別では、製造業や卸売業・小売業などで前年に届かず、
厚労省の担当者は「景気がよくなり、製造業などで残業時間が増え、休暇を取りにくくなったのではないか」と話す。
政府は今年の通常国会に提出した労働基準法改正案で、年次有給休暇を10日以上与えられた労働者については、
5日分は企業側が時期を決めて取らせるよう企業に義務づける内容を盛り込んだ。
ただ、法案には残業代や深夜手当が払われなくなる新たな制度も盛り込まれており、「残業代ゼロ法案」などと批判が強い。

就労条件総合調査 厚労省発表
http://www.mhlw.go.jp/toukei/list/11-23.html

 

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