中小企業の「うつ病」対策ー人、資金、時間、情報に余裕がない

企業の労働安全衛生、特にメンタルヘルス問題に取り組んでいます。
拙著「中小企業のうつ病対策」をお読みください。

SC(ストレスチェック)制度の準備情報・質問編③

2015年10月08日 | 情報

Q:事業主が面接指導した医師の意見に基づいて、残業の少ない部署に配転するとか、
残業や休日出勤を減少させる措置を講じた結果、残業手当や休日出勤手当が減少、またはなくなり、減収となった。
これは、申出を理由とした不利益な取扱いに当たるか?

A:不利益な取扱いに当たりません。
面接指導した医師の意見に基づいて、残業の少ない部署に配転するとか、
残業や休日出勤を減少させる措置を講じた結果ですから、問題になりません。
ただし、面接指導した医師の意見を無視した、または意見と異なる措置を講じたとなると、
不利益な取扱いに当たることになるでしょう。
なお、当該従業員には、面接指導した医師の意見を説明の上、会社側の対応策を丁寧に説明し、
納得を得ることが求められます。面接指導した医師の意見だから、当然に従ってもらうというような対応は、
当該従業員の反発を買うことになり、無用なトラブルの元になります。

マニュアルにも、多くのスペースを割いて詳細な対応方法、心得を紹介しています。
微妙な問題が絡みますから、慎重な対応が必要です。
しかし、そうは言っても、実際にどの程度の頻度で発生するかというと、それほどではというのが実感でしょう。
さりとて、油断はゆめゆめあってはなりません。

(参考)
(面接指導の結果についての医師からの意見聴取) 
第52条の19
面接指導の結果に基づく法第66条の10第5項の規定による医師からの意見聴取は、
面接指導が行われた後、遅滞なく行わなければならない。

(心理的な負担の程度を把握するための検査等)
第 66 条の 10
事業者は、前項の規定による医師の意見を勘案し、その必要があると認めるときは、
当該労働者の実情を考慮して、就業場所の変更、作業の転換、労働時間の短縮、深夜業 の回数の減少等の措置を講ずるほか、
当該医師の意見の衛生委員会若しくは安全衛生委 員会又は労働時間等設定改善委員会への報告
その他の適切な措置を講じなければならない。 
 
(ストレスチェック指針より抜粋)就業上の措置の決定及び実施 
 法第 66 条の 10 第6項の規定に基づき、事業者が労働者に対して面接指導の結果に基 づく就業上の措置を決定する場合には、
あらかじめ当該労働者の意見を聴き、十分な話し合いを通じてその労働者の了解が得られるよう努めるとともに、
労働者に対する不利 益な取扱いにつながらないように留意しなければならないものとする。
なお、労働者の 意見を聴くに当たっては、必要に応じて、当該事業場の産業医等の同席の下に行うこと が適当である。  
事業者は、就業上の措置を実施し、又は当該措置の変更若しくは解除をしようとするに当たっては、
当該事業場の産業医等と他の産業保健スタッフとの連携はもちろんのこと 、
当該事業場の健康管理部門及び人事労務管理部門の連携にも十分留意する必要があ る。
また、就業上の措置の実施に当たっては、特に労働者の勤務する職場の管理監督者 の理解を得ることが不可欠であることから、
事業者は、プライバシーに配慮しつつ、当 該管理監督者に対し、就業上の措置の目的及び内容等について
理解が得られるよう必要 な説明を行うことが適当である。  
また、就業上の措置を講じた後、ストレス状態の改善が見られた場合には、
当該事業 場の産業医等の意見を聴いた上で、通常の勤務に戻す等適切な措置を講ずる必要があ る。

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