中小企業の「うつ病」対策ー人、資金、時間、情報に余裕がない

企業の労働安全衛生、特にメンタルヘルス問題に取り組んでいます。
拙著「中小企業のうつ病対策」をお読みください。

SC(ストレスチェック)制度の準備情報・質問編⑤

2015年10月12日 | 情報

Q:面接指導を受けない従業員に対して、会社としてどのようなフォローをすれば良いのでしょうか?

A:会社は、面接指導の対象者が誰であるのか、一切わかりません。わからない仕組みになっています。
もし、わかるようであれば、個人情報の保護が出来ていないということになります。
会社がわかる、知りうる情報は、本人の同意により面接指導が必要であるという評価結果を事業者が把握している場合を除き、
面接指導の対象者が、医師に面接した場合にはじめて、面接指導の対象であることがわかるわけです。

ですから、面接指導は、面接指導を行う医師の主導で実施することになります。
ということは、会社は「傍観者」でよいのでしょうか。

少し、話を戻しましょう。
まず、ストレスチェックの実施者は、対象者に対し面接指導の申出の勧奨を行わなければなりません。
(ストレスチェック指針より)
面接指導の申出の勧奨   
ストレスチェックの結果、高ストレス者として選定され、面接指導を受ける必要が あると実施者が認めた労働者のうち、
面接指導の申出を行わない労働者に対しては、 規則第 52 条の 16 第 3 項の規定に基づき、
実施者が、申出の勧奨を行うことが望ましい。

なお、面接指導の申出を行わない労働者に対して、実施者以外の者が勧奨を行うことについては、
ストレスチェックの実施事務従事者に限って可能であることを、押さえておきましょう。(実施マニュアルP54~55)

そして、事業者(会社)は、 同じくストレスチェック指針において、役割を与えられています。
「事業者は、ストレスチェック結果の通知を受けた労働者に対して、相談の窓口を広げ、相談しやすい環境を作ることで、
高ストレスの状態で放置されないようにする等 適切な対応を行う観点から、
日常的な活動の中で当該事業場の産業医等が相談対応を行うほか、産業医等と連携しつつ、保健師、看護師若しくは
精神保健福祉士又は産業カウンセラー若しくは臨床心理士等の心理職が相談対応を行う体制を整備することが望ましい。」

分かりやすく説明すると、医師の面接指導以外にも、たくさんの選択肢を用意すべきであるということです。
面接指導をする医師では対応できない課題もあるからです。例えば職場での人間関係のような問題では、
医師よりも産業カウンセラー若しくは臨床心理士等の心理職が、ふさわしい場合も考えられるからです。

次に、面接指導を行う医師の役割も明確です。
(ストレスチェック指針より) 
ストレスチェックの結果、面接指導が必要とされた労働者に対しては、
結果通知 に合わせて面接指導の申出窓口等を知らせることとなっていますが、なる べく面接指導を申し出るよう、
面接指導の対象者を把握している医師等の実施者が、 以下に掲げる方法により申出の勧奨を行いましょう。    
① 実施者が個人のストレスチェック結果を本人に通知する際に、面接指導の対象者であることを伝え、
面接指導を受けるよう勧奨する方法。    
② 個人のストレスチェック結果の通知から一定期間後に、実施者が封書又は電子 メールで本人にその後の状況について確認し、
面接指導の申出を行っていない者 に対して面接指導を受けるよう勧奨する方法。    
③ 面接指導の申出の有無の情報を、事業者から提供してもらい、
すでに事業者に 対して申出を行った労働者を除いて勧奨する方法。

従って、もうご理解いただいているでしょうが、中小の企業においては、
ストレスチェックの実施者と面接指導を行う医師は、同一であれば仕組みは簡単になります。
さらに、繰り返しになりますが、この業務を嘱託の産業医に担当してもらえば、もっと簡単に
ストレスチェックが実施できることになります。

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