中小企業の「うつ病」対策ー人、資金、時間、情報に余裕がない

企業の労働安全衛生、特にメンタルヘルス問題に取り組んでいます。
拙著「中小企業のうつ病対策」をお読みください。

365日連続勤務でうつ病発症

2015年10月16日 | 情報

この報道には、びっくりしました。365日連続勤務で、長時間残業をしているにも関わらず、
残業代が一切支払われていない、という究極のブラック企業が、報道されました。
一瞬、耳を疑いましたが、すでに労災認定もされているので、事実なのですね。

当ブログを閲覧いただいている皆様も、耳を疑い、びっくりされているのではと推測します。
しかし、笑ってばかりはいられません。御社においては、このようなブラックな側面は全くないと断言できますか?
対岸の火事としての、物見見物ではいけません。他山の石として受け止めてください、御社の状況、規程は如何ですか?

一方で、最近、縁があって、中小規模ですがある企業を具に調べる機会をいただきました。
当企業・事業所では、創業以来、一度も解雇や人員整理をしたことがない、期間従業員にも雇止めをしたことがない、
有給休暇の消化率も約80%と極めて良好、しかも期間従業員には優先的に有給休暇が取得でき、
消化率も100%に近い、衛生委員会も法令通りにしっかりと実施している、
その他ほぼ完ぺきな労働環境にあることが分かりました。アドバイスの余地が殆どありません。
しかも、経営層が従業員を大切にする姿勢が随所に顕れており、法政大学の坂本先生の著作、
『日本で一番大切にしたい会社』(1~4)に登場するような、まさに「ホワイト企業」の典型でした。
下には下がありますが、上には上もあります。
職場環境の改善には、「これでよい」ということはありません。
近ごろ、「健康経営」という考え方がもてはやされていますが、経営層の思想・方針が実態として、
具現化されないと何の意味もありません。

365日連続勤務でうつ病発症、会社と社長を提訴
TBS 10月13日

 365日連続で勤務させられ、うつ病を発症したとして、神奈川県に住む男性が勤めていた会社と社長を相手に
慰謝料などおよそ1150万円の支払いを求める裁判を起こしました。
訴えを起こしたのは、東京都内で印刷業などを営む「株式会社アコ」に勤めていた神奈川県の30代の男性です。
訴状などによりますと、男性は2006年に入社しましたが、会社の社員数が減り業務が増えたことなどから、
2013年にはほとんど自宅に帰ることができなくなり、1日の休みもなく365日連続で勤務を続けたということです。
男性は翌年、2度の自殺未遂をし、病院でうつ病と診断されたということです。
また、この間の残業時間は1か月で257時間に及ぶこともありましたが、
残業代は一切支払われていなかったということです。

男性は今月10日、妻とともに会社と社長の男性に対して未払いの残業代や慰謝料など
1154万円の支払いを求める裁判を東京地裁に起こしました。
「だんだん、考える時間もなく精神的におかしくなっていったのかなと思う。許せないという気持ちが一番強く、
こういう事例が、僕みたいな人を1人でも減らせればという気持ちで訴訟をしようと決断しました」(裁判を起こした男性)
担当弁護士によりますと、男性は今年2月に労災の認定を受けているということです。
一方、会社側は取材に対して、「代表が不在で、コメントできない」としています。

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