中小企業の「うつ病」対策ー人、資金、時間、情報に余裕がない

企業の労働安全衛生、特にメンタルヘルス問題に取り組んでいます。
拙著「中小企業のうつ病対策」をお読みください。

医師による意見の聴取・面接指導

2015年02月20日 | 情報
労働者数50人未満の事業所のみなさまへ 
長時間労働者への医師による意見の聴取・面接指導を知っていますか。
(労働安全衛生法第66条の8、第66条の9、第104条関係)

過重労働による健康障害を防止するため、長時間労働者に対する面接指導を実施する義務が
平成20年4月1日からこれまで猶予されていた常時50人未満の労働者を使用する事業場についても適用されています。

・ 対象 全ての事業場
・ 事業者は、長時間の労働により疲労の蓄積が認められるときは、医師による面接指導を行わなければなりません。
・ 事業者には次の(1)に該当する労働者に対しては面接指導を実施する法的義務があり、
  (2)または(3)に該当する労働者にも面接指導又は面接指導に準ずる措置を講じる努力義務があります。

(1) 労働者の週40時間を超える労働が1月当たり100時間を超え、疲労の蓄積が認められる労働者(申出を受けて実施)
(2) 長時間の労働(週40時間を超える労働が1月当たり80時間を超えた場合)により疲労の蓄積が認められ 
  又は健康上の不安を有している労働者(申出を受けて実施)
(3) その他事業場で定める基準に該当する労働者(事業場の規定により実施)

・参考までに、各地の地域産業保健センターでは、50人未満の事業場の健康管理を支援しています。
 医師による面接指導についても 無料で相談を行っています。
 各地の地域産業保健センターでも、積極的に利用してほしいと、リーフレット等を配布して広報活動をしています。
 50人超の事業所でも、相談に乗ってくれますよ。

○「長時間労働者に対する医師による面接指導等の実施状況調査」報告書
平成22年8月 独立行政法人労働安全衛生総合研究所
https://www.jniosh.go.jp/publication/doc/houkoku/2010_02/report_longwork_201008.pdf#search=
'%E5%8C%BB%E5%B8%AB%E3%81%AB%E3%82%88%E3%82%8B%E6%84%8F%E8%A6%8B%E3%81%AE%E8%81%B4%E5%8F%96%E3%83%BB%E9%9
D%A2%E6%8E%A5%E6%8C%87%E5%B0%8E%E3%82%92%E7%9F%A5%E3%81%A3%E3%81%A6%E3%81%84%E3%81%BE%E3%81%99%E3%81%8B%E3%80%82'

「事業場で労働衛生管理業務に通じている者の認知度も61%」
4-2. 長時間労働者に対する医師による面接指導(面接指導制度)の認知度
長時間労働者に対する医師による面接指導(面接指導制度)について知っていると回答したのは、
事業場で労働衛生管理業務に通じている者の立場での回答(以下、事業場側と省略)では全体で60.7%、
労働者数50人未満で40.1%、同50~299人で79.0%、同300人以上で97.0%(p<0.001、図2a)、事業場労働者の立場から推測した回答
(以下、労働者側と省略)では全体で41.9%、各々の労働者数規模では23.3%、54.9%、84.4%であった。

「面接指導を実施しなかったのは労働者数50人未満で、僅か2.4%」
4-3. 長時間労働者に対する医師による面接指導の実施状況
長時間労働者に対する医師による面接指導を実施したのは全体で16.6%、労働者数50人未満で2.4%、同50~299人で26.3%、
同300人以上で47.0%であったことから、面接指導を実施しなかったのは全体で83.4%、
各々の労働者数規模では97.6%、73.7%、53.0%であった。
面接指導を実施しなかった事業場のうち、面接指導等の対象者がいたが面接指導を実施しなかったのは
労働者数50人未満で13.7%、同50~299人で27.6%、同300人以上で40.0%であり、
その理由(複数回答)は「労働者の申し出が無かったため」が一番多く、各々73.5%、70.6%、100%であった。
労働者300人以上では14事業場が面接指導等の対象者がいたが面接指導を実施しなかったものの、
その全てで労働者の申し出が無かったため面接指導を実施しなかったと回答した。

厚労省:長時間労働者への医師による面接指導制度について 
http://www.mhlw.go.jp/bunya/roudoukijun/anzeneisei12/pdf/08.pdf#search=
'%E5%8C%BB%E5%B8%AB%E3%81%AB%E3%82%88%E3%82%8B%E6%84%8F%E8%A6%8B%E3%81%AE%E8%81%B
4%E5%8F%96%E3%83%BB%E9%9D%A2%E6%8E%A5%E6%8C%87%E5%B0%8E%E3%82%92%E7%9F%A5%E3%81%A
3%E3%81%A6%E3%81%84%E3%81%BE%E3%81%99%E3%81%8B%E3%80%82'



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過重労働⇒精神疾患⇒自殺⇒労災認定

2015年02月19日 | 情報
過重労働⇒精神疾患⇒自殺⇒労災認定。典型的な事例です。
御社の人事労務管理体制は、万全でしょうか?
当ブログで繰り返し指摘してきましたが、労災認定されると、安全配慮義務違反も問われますし、
その後の民亊損害賠償責任を問われます。
因みに、裁判例から見ると、企業の体力を斟酌されるようですが、1億円前後の賠償責任額を覚悟しなければなりません。

国民銀行行員の自殺で労災認定 不正融資検査で負担増
2015/2/9 日経

中央労働基準監督署(東京)は、韓国最大手・国民銀行の東京支店に勤務、2013年12月に自殺した韓国人男性(当時37)について、
過労による精神障害などが原因だとして労災認定した。遺族の代理人弁護士が9日、明らかにした。認定は6日付。
弁護士によると、労基署は、歴代支店長と役員による不正融資の対応で仕事量が増えたことに加え、大きな心理的負荷があったと判断した。
男性は06年に入行。東京支店で融資業務を担当していたが、13年6月ごろから韓国当局などへの検査対応で仕事量が増加した。
9月と10月の時間外労働は約100時間に上り、11月にはうつ病とみられる症状を発症した。
東京支店は、多数の不正融資をしていたなどとして、金融庁が昨年9月からの4カ月間、
新規顧客との取引など一部業務の停止を命じている。〔共同〕

(参考)「心理的負荷による精神障害の認定基準」厚生労働省
http://www.mhlw.go.jp/bunya/roudoukijun/rousaihoken04/dl/120427.pdf

(参考)「脳・心臓疾患の労災認定」(過労死と労災保険)厚生労働省
http://www.mhlw.go.jp/new-info/kobetu/roudou/gyousei/rousai/dl/040325-11.pdf#search=
'%E9%81%8E%E5%8A%B4%E6%AD%BB%E8%AA%8D%E5%AE%9A%E5%9F%BA%E6%BA%96'

(参考)最近の同様な事例です。
3年間の重労働-33歳「光通信」元社員の両親訴えに、「疲労蓄積解消されず」と過労死認定 大阪地裁
2015.2.4 産経

東証1部上場の光通信(東京都豊島区)の男性社員=当時(33)=が突然死したのは過労が原因だったとして、
神戸市内に住む男性の両親が国に労災認定を求めた訴訟の判決が4日、大阪地裁であった。
中垣内(なかがいと)健治裁判長は「3年間に及ぶ過重な業務で、疲労の蓄積が解消されなかった」として、労災を認定した。
原告側代理人によると、死亡3年前の業務までさかのぼって過労死を認めた判決は異例。
厚生労働省が定めた過労死の労災認定基準は原則、死亡半年前までの業務内容から判断するとされており、
時間外労働(残業・休日出勤)の目安は月平均80時間となっている。
男性のケースは月平均62時間余りで、池袋労働基準監督署が平成23年3月、労災を認めない決定をしていた。
判決によると、男性は11年3月に光通信に入社し、主に携帯電話販売の法人営業を担当。
20年11月以降、中間管理職として部下による不正契約の事後対応やクレーム処理に追われた末、22年2月に虚血性心不全で死亡した。
中垣内裁判長は「半年間の業務だけでは過労とは認められない」と判断した一方、それ以前の2年半(30カ月)のうち、
時間外労働が月80時間を超えた月が21カ月もあった点を重視。
死亡前の半年間の業務についても「クレーム処理の精神的負荷が大きく、週休2日だったことを考慮しても、
疲労の蓄積は解消されなかった」と指摘し、死亡との因果関係を認めた。
両親は今回の訴訟とは別に昨年6月、光通信に対して約1億6400万円の損害賠償を求めて神戸地裁に提訴している。

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明18日は、休載です

2015年02月17日 | 情報
生憎の雪模様ですが、明18日は、出張のため休載です。
19日より、再開です。
よろしくお願いします。
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事業場内メンタルヘルス推進担当者とは

2015年02月17日 | 情報
現在、事業場内メンタルヘルス推進担当者の選任は、努力義務です。
事業場内メンタルへルス推進担当者は、
「産業医等の助言、指導等を得ながら事業場のメンタルへルスケアの実務を担当する」者として位置づけられています。
対象者は、衛生管理者や常勤の保健師等から選任することが望ましいとされています。
なお、すべての事業場で選任されることが望ましいことですので、小規模事業場では人事労務管理スタッフを充てることも想定されています。

事業場内メンタルへルス推進担当者の役割としては、次の4つが主なものです。
① 心の健康づくり計画の策定・労働者への周知・実行状況の把握の実務
② セルフケア、ラインによるケアを推進するための労働者教育、管理監督者教育の計画・立案・実施・評価の実務
③ 事業場内のメンタルへルスに関する相談窓口
④ 事業場外資源との連携の窓口
事業場内メンタルへルス推進担当者には、教育や相談そのものを直接担当することは求められていません。
事業場内で行われるメンタルへルス対策がスムーズに推進されるよう調整する機能を果たすことが期待されています。

事業場内メンタルへルス推進担当者には、資格取得制度はありません。
民間機関には、有料の事業場内メンタルへルス推進担当者の教育機関もありますが、
以下のテキストを熟読することによって、事業場内メンタルへルス推進担当者の役割を果たすことができます。

事業場内メンタルヘルス推進担当者テキスト
http://www.jaish.gr.jp/information/mental/mental_text_201002.pdf

(参考情報)
厚生労働省は、事業場におけるメンタルヘス対策の適切・有効な実施を推進するための指針として、
「労働者の心の健康の保持増進ための指針」(メンタルヘルス指針)を策定した。
同指針は、同省が平成 12 年8月に策定した「事業場における労働者の心の健康づくりための指針」(労働基準局長通達)を見直し、
労働安全衛生法第 70 条の2に基づく厚生労働大臣による指針として、新たに策定したもの。
指針は、メンタルヘルスケアの基本的考え方として、「事業者は、事業場におけるメンタルヘルスケアを積極的に推進するため、
衛生委員会等において十分調査審議を行い、「心の健康づくり計画」を策定し、実施に当たっては、関係者に対する教育研修・情報提供を行い、
「4つのケア」(セルフケア、ラインによるケア、 事業場内産業保健スタッフ等によるケア、事業場外資源によるケア)を効果的に推進し、
職場環境等の改善、メンタルヘルス不調への対応、職場復帰のための支援が円滑に行われるようにする必要がある」としている。

そして、メンタルヘルスケアを進めるに当たっては、実務を担当する「事業場内メンタルヘルス推進担当者」を選任するよう努めること、
健康情報を含む個人情報の保護に配慮することが極めて重要であること、小規模事業場においては、地域産業保健センター等の
事業場外資源の提供する支援等を積極的に活用することが望ましいこと―などとしている。
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事業場内メンタルヘルス推進担当者の選任は、60%に届かず

2015年02月16日 | 情報
東京都のみの調査結果ですが、参考にしてください。

平成26年度企業におけるメンタルヘルス対策の取組状況を取りまとめました  
平成26年12月24日 東京労働局

~90%以上の事業場が、メンタルヘルス不調者の相談体制を整備するも、事業場内メンタルヘルス推進担当者の選任は、60%に届かず。~

東京労働局(局長西岸正人)は、平成26年度、東京都内所在の労働者数150人以上300人未満の事業場(4,130事業場)に対して、
メンタルヘルス対策の取組状況について調査を行い、回答事業場(2,187事業場)の状況を以下のとおり取りまとめました。
これは、平成25年度に行った東京都内所在の労働者数300人以上の事業場(2,846事業場)を対象とした調査(回答事業場1,643事業場)に
引き続き実施したものです。

東京労働局は、第12次東京労働局労働災害防止計画(平成25年度~同29年度)1の目標の一つとして、
「安全衛生管理体制の構築が必要なすべての事業場2でメンタルヘルス対策に取り組む」ことを掲げ、
メンタルヘルス指針3などの職場のメンタルヘルス対策を推進しています。
このたび、昨年に引き続き調査したところ、92.6%の事業場がメンタルヘルス不調者の職場内相談体制の整備に取り組んでいました。
しかしながら、職場のメンタルヘルス推進担当者を選任している事業場は、57.6%、
休業者の職場復帰支援プログラムを作成している事業場は、55.8%に止まっています。
昨年度の調査結果(労働者数300人以上の事業場)と今年度の調査結果(労働者数150人以上300人未満の事業場)を比べると、
今年度の回答内容が全項目で低くなっています。
{昨年度の回答結果におよそ10ポイント程度以上の差で低い結果となっている項目で、対応が遅れていると思われるものが
8項目(4、5、6 ページの調査回答項目番号3①、3②、4②、5①、5②、6、7③、8 )あります。}
東京労働局では、今後、労働者数150人未満の事業場に対しても順次、同様の調査を行い、
より多くの事業場でメンタルヘルス対策に取り組んでいただけるように、引き続き、事業場への指導、周知啓発を進めることとします。

1 第12次東京労働局労働災害防止計画(平成25年度~同29年度)
東京労働局が、国が策定した第12次労働災害防止計画の推進のために、
東京都内の労働者の安全と健康を確保するため策定した5ヵ年の推進計画のことです。
2 安全衛生管理体制の構築が必要なすべての事業場
労働安全衛生法において、衛生管理者・産業医の選任、衛生委員会の設置が義務付けられている労働者数50人以上の事業場のことです。
3 メンタルヘルス指針
平成18年3月に厚生労働省から「労働者の心の健康の保持増進のための指針」が公示されていますが、本指針の略称です。
本指針ではメンタルヘルスの基本的な考え方、衛生委員会等における調査審議、心の健康づくり計画、
4つのケア(セルフケア、ラインによるケア、事業場内産業保健スタッフ等によるケア及び事業場外資源によるケア)の推進や
具体的な進め方などを示しています。

平成26年度調査結果の主な内容(※150人未満の事業所は、調査の対象外です)
Ⅰ 事業場内のメンタルヘルス上の問題の把握状況
メンタルヘルス上の理由による不調の休業者がいる事業場の割合は67.9%

Ⅱ 「心の健康づくり計画」の策定状況
「心の健康づくり計画」を知っている事業場の割合は66.8%
事業者がメンタルヘルス対策を積極的に推進することを表明している事業場の割合は66.3%

Ⅲ 事業場内部の体制の整備状況
メンタルヘルス推進担当者を選任している事業場の割合は57.6%

Ⅳ メンタルヘルスケア推進のための教育・研修状況
メンタルヘルスに関する研修会を開催した事業場の割合は68.7%
管理監督者への教育研修を実施した事業場の割合は69.2%

Ⅴ 職場復帰支援プログラムの作成状況
職場復帰支援プログラムを作成している事業場の割合は55.8%

Ⅵ メンタルヘルス不調者の早期発見と対応の状況
メンタルヘルス不調者の相談体制がある事業場の割合は92.6%
メンタルヘルス不調者を医療機関に取り次ぐ体制がある事業場の割合は87.1%
長時間労働者に対し、面接指導5を行う仕組みがある事業場の割合は78.4%

http://tokyo-roudoukyoku.jsite.mhlw.go.jp/var/rev0/0138/4849/mental_jisyutenken_h26.pdf
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