中小企業の「うつ病」対策ー人、資金、時間、情報に余裕がない

企業の労働安全衛生、特にメンタルヘルス問題に取り組んでいます。
拙著「中小企業のうつ病対策」をお読みください。

過重労働⇒精神疾患⇒自殺⇒労災認定

2015年02月19日 | 情報
過重労働⇒精神疾患⇒自殺⇒労災認定。典型的な事例です。
御社の人事労務管理体制は、万全でしょうか?
当ブログで繰り返し指摘してきましたが、労災認定されると、安全配慮義務違反も問われますし、
その後の民亊損害賠償責任を問われます。
因みに、裁判例から見ると、企業の体力を斟酌されるようですが、1億円前後の賠償責任額を覚悟しなければなりません。

国民銀行行員の自殺で労災認定 不正融資検査で負担増
2015/2/9 日経

中央労働基準監督署(東京)は、韓国最大手・国民銀行の東京支店に勤務、2013年12月に自殺した韓国人男性(当時37)について、
過労による精神障害などが原因だとして労災認定した。遺族の代理人弁護士が9日、明らかにした。認定は6日付。
弁護士によると、労基署は、歴代支店長と役員による不正融資の対応で仕事量が増えたことに加え、大きな心理的負荷があったと判断した。
男性は06年に入行。東京支店で融資業務を担当していたが、13年6月ごろから韓国当局などへの検査対応で仕事量が増加した。
9月と10月の時間外労働は約100時間に上り、11月にはうつ病とみられる症状を発症した。
東京支店は、多数の不正融資をしていたなどとして、金融庁が昨年9月からの4カ月間、
新規顧客との取引など一部業務の停止を命じている。〔共同〕

(参考)「心理的負荷による精神障害の認定基準」厚生労働省
http://www.mhlw.go.jp/bunya/roudoukijun/rousaihoken04/dl/120427.pdf

(参考)「脳・心臓疾患の労災認定」(過労死と労災保険)厚生労働省
http://www.mhlw.go.jp/new-info/kobetu/roudou/gyousei/rousai/dl/040325-11.pdf#search=
'%E9%81%8E%E5%8A%B4%E6%AD%BB%E8%AA%8D%E5%AE%9A%E5%9F%BA%E6%BA%96'

(参考)最近の同様な事例です。
3年間の重労働-33歳「光通信」元社員の両親訴えに、「疲労蓄積解消されず」と過労死認定 大阪地裁
2015.2.4 産経

東証1部上場の光通信(東京都豊島区)の男性社員=当時(33)=が突然死したのは過労が原因だったとして、
神戸市内に住む男性の両親が国に労災認定を求めた訴訟の判決が4日、大阪地裁であった。
中垣内(なかがいと)健治裁判長は「3年間に及ぶ過重な業務で、疲労の蓄積が解消されなかった」として、労災を認定した。
原告側代理人によると、死亡3年前の業務までさかのぼって過労死を認めた判決は異例。
厚生労働省が定めた過労死の労災認定基準は原則、死亡半年前までの業務内容から判断するとされており、
時間外労働(残業・休日出勤)の目安は月平均80時間となっている。
男性のケースは月平均62時間余りで、池袋労働基準監督署が平成23年3月、労災を認めない決定をしていた。
判決によると、男性は11年3月に光通信に入社し、主に携帯電話販売の法人営業を担当。
20年11月以降、中間管理職として部下による不正契約の事後対応やクレーム処理に追われた末、22年2月に虚血性心不全で死亡した。
中垣内裁判長は「半年間の業務だけでは過労とは認められない」と判断した一方、それ以前の2年半(30カ月)のうち、
時間外労働が月80時間を超えた月が21カ月もあった点を重視。
死亡前の半年間の業務についても「クレーム処理の精神的負荷が大きく、週休2日だったことを考慮しても、
疲労の蓄積は解消されなかった」と指摘し、死亡との因果関係を認めた。
両親は今回の訴訟とは別に昨年6月、光通信に対して約1億6400万円の損害賠償を求めて神戸地裁に提訴している。

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