中小企業の「うつ病」対策ー人、資金、時間、情報に余裕がない

企業の労働安全衛生、特にメンタルヘルス問題に取り組んでいます。
拙著「中小企業のうつ病対策」をお読みください。

精神的不調による退職「13%」

2015年02月04日 | 情報
少し古い案内になりましたが、昨日のブログの関連情報です。

「第2回日本人の就業実態に関する総合調査」結果
独立行政法人労働政策研究・研修機構 平成26年11月25日

・過去1年で、いじめ・嫌がらせやパワーハラスメントと見られる行為の経験者は3人に1人
・4人に1人が、過去3年間でメンタルヘルスの不調を感じたことが「ある」

調査結果のポイント
<過去5年間で、退職勧奨など、会社から意に沿わない行為を経験した人は15.8%>
過去5年間で、会社から「希望退職に応じるよう、退職勧奨を受けた」「意に沿わない配転・出向命令を受けた」
「人事評価を下げられたり、降格・減給された」など、何らかの自分の意に沿わない行為を受けたことがある人の割合は雇用者で15.8%、
うち正規従業員では17.1%、非正規従業員では13.7%となっている。

<過去1年で、いじめ・嫌がらせやパワーハラスメントと見られる行為の経験者は3人に1人>
過去1年間で、「怒鳴られたり、暴言をはかれた」「仕事をする上で必要な情報を与えてもらえなかった」
「陰口や噂を広められた」など、いじめ・嫌がらせやパワーハラスメントと見られる行為を職場で受けた経験のある人の割合は、34.0%と3人に1人。
そのうちの3分の1がその行為をパワーハラスメントと認識している。

<4人に1人が、過去3年間でメンタルヘルスの不調を感じたことが「ある」>
過去3年間で、落ち込んだり、やる気が起きないなどの精神的な不調(メンタルヘルス上の不調)を感じたことが「ある」人が、
25.7%と4分の1を占めた。そのうち、76.5%は「通院治療なしでも、日常生活を送れる状態」だが、
「通院治療しながらなら、日常生活を送れる状態」(16.2%)、「通院治療しながらでも、
日常生活を送るのが困難な状態」(3.3%)を合わせて、不調を感じた人の2割程度が通院治療を必要としていた。

<メンタルヘルス不調になった人の13.3%が結局、職場を退職している>
メンタルヘルス不調になった人が、その後、職場でどのような状態になっているかをみると、
「休職も通院もせずに働いている」人の割合が72.0%ともっとも高いが、結局退職した人(「休職せず退職した」
「休職を経て退職した」「休職を経て復職後、退職した」の合計)も13.3%と1割を超えている。

<ここ4年で、すべての年代の女性の就業率が若干高まり、20代女性では約7ポイントの伸び>
就業者の割合(就業率)は77.8%。性別でみると、男性の就業率は87.8%、女性では69.5%。
2010年調査と比べると、男性は変化がないが、女性は3ポイントと若干の伸び。性・年代別では、
男性は20代、60代でわずかに高まっている以外は、すべての年代で若干低くなっている。
一方女性は、約7ポイント高くなった20代をはじめ、すべての年代で2ポイント程度伸びている。

<ここ4年で、働き盛りの30代40代男性の「仕事」を生きがいとする割合が低下>
生きがいについて「仕事」と回答した割合は、男性が33.0%、女性が32.2%。
性・年代別では、男性50代が40.5%と最も高く、次いで男性60代(37.9%)、女性60代(37.8%)、女性30代(33.4%)、
女性40代(32.9%)、女性50代(31.9%)などの順。女性で仕事を生きがいと考える割合が高くなっている。
2010年調査と比べると、男性30代、40代で「仕事」を生きがいとする割合が低下している。

<20代30代男性で、就業経験「なし」の割合が2割を超えている>
現在、仕事をしていない人(在学者除く)を対象に、過去の就業経験を聞いたところ、「あり」が94.4%と大多数。
しかし、細かく性・年代別で見ると、男性20代、30代のどちらも23.5%と2割以上が「就業経験がない」と回答しているのが特徴的。

http://www.jil.go.jp/press/documents/20141125.pdf
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精神的不調による退職「13%」検証記事

2015年02月04日 | 情報
精神的不調による退職「13%」 特に「派遣」「契約」に多い“労務実態”  
2015.1.28 産経

 「こんなはずじゃなかったのに…」。いつの間にか抱えてしまった精神的な不調がきっかけとなり、
勤め先を退職せざるを得ない人が後を絶たない。休職して適切な治療を受けたとしても、
社内制度の不備や周囲の無理解などが“再発”を呼び込んでしまう。
精神的・肉体的に健康なまま働き続けられる人はむしろ少数ともいえる中、労使間をはじめ相互理解が求められている。(日野稚子)

退職者に目立つ派遣、契約
 精神的な不調で退職した人は13・3%で、就業形態別では派遣社員や契約社員は正社員より高い割合だった…。
独立行政法人労働政策研究・研修機構(東京都練馬区)が昨年行った「第2回日本人の就業実態に関する総合調査」で、
こうしたデータが明らかになった。昨年1~2月、20~65歳の男女4573人から回答を得たという。
 過去3年間で「落ち込んだり、やる気が出ない」など精神的不調を感じたことがある人は25・7%で、
このうち76・5%が「通院治療無しで日常生活を送れる」状態と答えた。
一方、通院治療を受けて日常生活が「送れる」状態の人は16・2%、「困難な状態」が3・3%。性別や世代での大差は見られなかった。
 このうち、雇用者として働いているときに不調を感じたと答えた894人にその後の仕事の状況を聞くと、
「休職・通院せずに働いている」人が72・0%。「休職せず退職」(8・6%)、「休職を経て退職」(3・2%)、
「休職、復職を経て退職」(1・5%)と、結局は退職した人の合計は13・3%。このうち正社員が12・6%に対し、
派遣社員27・3%、契約社員21・6%、アルバイト19・9%、パート10・9%…となった。
派遣社員や契約社員といった非正規社員では働き続けられないのか? そんな疑問がわき上がる結果だが、
同機構調査・解析部の担当者は「非正社員は雇用に対して有期契約で、傷病後に働き続ける制度がない。
また、正社員と比べ、今までの職歴や病歴が問われることが少ない分、入職のハードルは低い。
通院加療が必要だが働きたい人の受け皿にもなっている」と指摘する。
同機構の調査面談を受けた、精神疾患を抱える派遣社員は「派遣という形態があるからこそ、通院しながら働ける」と訴えたという。
契約、派遣社員だから退職しがちという社会通念がある一方で、長い目で見ると自分で“働き方”を調整できるというメリットもあるのだろう。
 「派遣社員などは休職制度などが未整備で退職せざるを得ないのが実情だが、正社員も退職せざるを得ない状況は、
職業生活と通院治療の両立が難しさの一端を示している。さまざまな状況を抱えた人が混在する職場が成り立つような環境が必要だ」(担当者)

8年間に4回の転職を経験して
 関東地方在住の会社員、田中一郎さん(仮名、32)は大学卒業後、精神的不調がもとで、
8年で4回の転職を経験、今は5つ目となる職場で3年働き、自身の最長記録を更新中だ。
 ネットビジネスに将来性を感じた田中さんは、中規模商社のネットビジネス担当として新卒入社した。
3年後には起業したいと考えていた田中さんは、東京で知り合ったIT起業家と意気投合し、商社は2年で退社。
自らネットビジネスで起業したが、半年ほどで精神的不調に見舞われ、再就職することに。十数人規模のウェブ制作会社で営業職として働き始めた。
直属の上司は営業責任者でもある「社長」だった。
「朝8時に家を出て帰宅は午前様。社長は提案力で仕事を落とす実力派だが、僕には感覚的にモノを説明する社長の言葉が分からない。
だから自分の仕事の範疇が、どこからどこまでなのか見えなくなった」。
質問したいのに尋ねられない“質問下手”になり、社内の他部署の人にさえ質問できず、仕事を抱え込んだ。
 そして入社半年で、疲れて起き上がれないなどの鬱症状を起こして休職した。「社長はじめ皆さん心配してくれた。
僕の復職後のためにと、誰がどの仕事をするのか、仕事の分業体制も構築してくれていた」。
1カ月後に復職したが、繁忙期を迎え、以前と変わらぬ職場環境に逆戻りした。
 「実はその職場、精神的不調で休職と復職を繰り返している女性がいたんです」。
社長が「(働き続けるのは)あの子は難しいかも」と話していたのが頭の片隅に残った。
そして数カ月後、再び自身が鬱症状を起こして2度目の休職に至ったとき、「もう次は(休職状況に)ならない、
という保証がないと困る」と言われ、さらに傷病手当申請をしようとして拒否されたことで退職の覚悟を決めた。
「次は不調にならないなんて、僕には保証がない」。
創業から働く人は幹部だけ、ウェブ制作業務に関わる社員は激務などのため数年で入れ替わる職場と後から知ったが、
働き続けようと思っていた会社を1年で辞めることになった。
4カ所目は教育系ベンチャー企業で、友人からの紹介だった。
自社ウェブサイトの運営担当で、専門家である田中さんの仕事内容を理解できる人はほぼ皆無の中、
サイトがきちんと稼働していれば同僚は安心した。
猛烈に働いたが、半年後に鬱症状に見舞われ、1カ月の休職を経て復帰。そして1年後に2度目の休職をした際、人事担当者が面談にやってきた。
「田中君はもしかしたら、鬱病ではなくて双極性障害ではないか?」
 田中さんは大学4年の就活後、自分の進路決定に悩んだことがきっかけで外出できなくなり、鬱病の診断を受けていた。
自営を含め勤務4カ所目で2度目の鬱症状による休職に、自信を喪失。
社会不適合なのではないかとさえ思った田中さんだが、人事担当者の説明を受けて、
「エネルギーが切れるまで活動的に過ごす軽躁(けいそう)状態が続いて、ガス欠になって鬱に転じて休職する。
そして転職など職場環境が変わり、軽躁状態になって元気に働く…。思い当たることばかり」と話す。
会社の指導で受診した精神科医の診断はやはり双極性障害II型だった。
 治療と復職に向け、会社はさまざまな配慮をしてくれた。それでも、田中さんは退職を決めた。
「際限のない仕事をしながら、自分で自分を管理する“裁量型職種”は僕の鬱症状を起こしやすいと思った。
もう一度、仕事との向き合い方、働き方を見直したかった」と振り返る。

「制度」だけでなく「マニュアル」も
 鬱病など気分障害の人の復職・再就職支援事業を展開するリヴァ(東京都豊島区)取締役の青木弘達さんは、
「鬱病や双極性障害との診断を受けた人はしっかり休み、日常生活ができるようになったら職場復帰トレーニングに取り組むべき。
少し休んだだけですぐ職場復帰すると、また症状を悪化させてしまって休む。
それを繰り返すと、あっという間に傷病休職期間を使い切って退職せざるを得なくなる」と指摘する。
 復職・再就職を目指す人を対象に、グループワークなどをしながら体力とコミュニケーション能力などを回復させるための支援施設を
都内3カ所で運営。平成23年6月~26年10月で200人が社会復帰を果たした。
 休職中の利用者で、復職条件として「元通りに仕事ができるようになったら」と言われる人がいた。
勤務先の人事担当者の合意のもと、青木さんは利用者との間の仲介に入ったが、
会社側も本人も、復職までに何をどうすればいいのか分からない状況だったという。
 産業医の診断だけで時期を決めるのか、いきなり以前と同じ働き方を求めるのか、通院の必要性をどう考慮するのか…。
休職者が復職するまで、配慮すべき段階は多い。「休職・復職制度を用意するだけでは、制度利用者が出たときに同僚も労務担当者も本人も迷う。
運用マニュアルも用意すべきだ」(青木さん)
冒頭の労働政策研究・研修機構の調査で、精神的不調の経験者に希望する支援策を聞いたところ(複数回答)、
「業務内容や業務量への配慮」42・3%▽「職場の同僚・上司との人間関係を配慮した配置」34・9%
▽「日常的な声かけ」29・6%…が挙げられた。
 医学の進歩に伴い通院治療で慢性疾患と二人三脚を続ける人は多い。
人材活用の観点からも、多様な働き方ができる職場づくりの模索が続いている。

記事のベースになっている調査データです。
「第2回日本人の就業実態に関する総合調査」結果
平成26年11月25日 独立行政法人労働政策研究・研修機構
http://www.jil.go.jp/press/documents/20141125.pdf#search=
'%E3%80%8C%E7%AC%AC2%E5%9B%9E%E6%97%A5%E6%9C%AC%E4%BA%BA%E3%81%AE%E5%B0%B
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