中小企業の「うつ病」対策ー人、資金、時間、情報に余裕がない

企業の労働安全衛生、特にメンタルヘルス問題に取り組んでいます。
拙著「中小企業のうつ病対策」をお読みください。

御社の基本的スタンス・アドバイス編

2015年02月02日 | 情報
絶対的に正しい解答は、実は少ないのです。なぜなら、企業・事業所ごとに考えが異なるからです。
ですが、小生の今までの経験則から、法令違反にならない、また、無用なトラブルを回避する、という観点で、模範的な対応を簡単に案内します。
なお、これらの問題は、小生の当ブログにおいてすべて取り上げてきているテーマですので、詳細は該当のブログを照会してください。

就業規則は
・どのような事態にも対応できるよう万全である
・まったく自信がない
・状況によって運用で対応できている

アドバイス:答えは、当然に「どのような事態にも対応できるよう万全である」ですが、実態は全く異なります。
嘘だと思ったら、御社の就業規則を点検してください。まず、直近の更新日時です。

受診する医療機関は
・あくまでも本人に任せる
・会社が指定する
・本人の希望によっては会社も協力する

アドバイス:病気・けがの治療は、あくまでも本人責任です。
会社が指定する必要はありません。
「本人の希望によって会社も協力する」スタンスで対応してください。

精神疾患の場合
・原則として、私傷病として対処する
・労災に当たるか、私傷病か原因を追究する
・労災に該当するとわかっても、指摘されるまで私傷病扱いする

アドバイス:「原則として、私傷病として対処する」企業が多いようです。
しかし、これからが運用の問題になります。

・主治医とは、一切接触しない
・主治医とは、必要に応じて接触する
・主治医とは、良好な関係をもつよう努力する

アドバイス:「主治医とは、良好な関係をもつよう努力する」ようにしてください。
特に、産業医の選任義務がない50人以下の事業所は、主治医に頼らなければなりません(頼らざるを得ません)。

・職場復帰支援制度は、規程している
・職場復帰支援制度は、今後規程の予定
・職場復帰支援制度は、ない

アドバイス:最近は、民間・公的に関係なくさまざまな機関が「職場復帰支援制度は、必要です」といいます。
しかし、制度を無理に規定する必要はありません。
因みに、大企業の半数において、職場復帰支援制度は、ありません。

制度がある場合
・リワークを推奨する
・リワークは、推奨しない
・リワークは、休職者の任意で、干渉しない

アドバイス:リワークは休職者の判断です。推奨する必要はありません。

・試し出勤は、休職中でも実施する
・試し出勤は、復職後実施する
・試し出勤は、休職中および復職後にまたがって実施する

アドバイス:個々の企業の考え方で決定してください。
ただし、「休職中でも実施する」は、休職中で労働者性がないにも拘らず、業務命令で試し出勤を
実施しなければならないという問題があります。
また、「復職後実施する」と、事業所の中が、リハビリ施設状態になることを覚悟してください。

・休職者の復職申請があれば、原則復職を認める
・試し出勤のようなステップを踏んでから復職を認める
・原職に復帰できるようになるまで、復職は認めない

アドバイス:これも、個々の企業の考え方で決定してください。
なお、「原則復職を認める」と、前項同様、事業所の中が、リハビリ施設状態になることを覚悟してください。
「原職に復帰できるようになるまで、復職は認めない」は、多くの企業で採用されている規程ですが、
これでは、片山組事件の最高裁判決をクリアできません。

復帰する職場は、
・原則、原職である
・原職ではないが、同様な業務に復帰させる
・原職を全く考慮しない
・休職者の希望を考慮する

アドバイス:原則として「原職ではないが、同様な業務に復帰させる」が妥当でしょう。

如何でしょうか?
ご相談・お問い合わせは、橋本社会保険労務士事務所まで
s-hashi@ya2.so-net.ne.jp
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