中小企業の「うつ病」対策ー人、資金、時間、情報に余裕がない

企業の労働安全衛生、特にメンタルヘルス問題に取り組んでいます。
拙著「中小企業のうつ病対策」をお読みください。

ストレスチェック制度解釈①

2014年09月16日 | 情報
既にご案内のとおり、改正労働安全衛生法 (労働安全衛生法の一部を改正する法律)が
成立し、平成24年6月19日に公布されました。
これから、項目ごとに、平成26年中から平成28年6月までの間に順次施行されます。
現在は、施行に向けて、政省令や指針の検討段階にあります。
従って詳細は未だ案内できませんが、本日現在でも確認できる事項、検討しなければならない事項が
すでにたくさんありますので、当ブログにおいて順次案内します。

第一回は、改正案の主要テーマである「ストレスチェック」制度の導入の背景です。
厚労省が、パンフレット等で広報しているのは、
・精神障害の労災認定件数が3年連続で過去最多を更新しており、
 このことから、労働者の健康状態を把握し、メンタル不調に陥る前に対処する必要性を強調しています。
・それから、職業生活で強いストレスを感じている労働者の割合が高い状況で推移していることを挙げています。

それでは、精神障害の労災認定件数の推移をみてみましょう。
25年度:436件、24年度:475件、23年度:325件、22年度:308件、21年度:243件
25年度は、前年を若干下回っていますね。しかし、これは一時的な現象であり、
精神障害の労災認定件数は、メンタルヘルス対策がよほど効果を奏しない限り、
今後も増加していくことは間違いないと、小生は考えています。

さらに、職業生活で強いストレスを感じている労働者の割合が高い状況で推移していることを確認しましょう。
S57:50.6%、S62:55.0%、H4:57.3%、H9:62.8%、H14*61.5%、H19:58.0%、
H24:60.9%(労働者健康状況調査(厚労省)職業生活でのストレス等の状況)と、最近は全体の6割の労働者が
現在の自分の仕事や職業生活に関して強い不安、悩み、ストレスを感じる事柄があると回答している状況にあります。

これからは、小生の推測です。
日本の労働人口から推測すると、メンタル不調で休職または退職(推定20万人以上)する労働者数は、
労災事故(行政への報告数:年10万件)の約2倍と推定できます。
また、自殺者数は、最近やや減少傾向にあるものの、依然として高止まり状態にあり、
H23年では3万人を超え、そのうちの3割は労働者です。
勤務問題で自殺した人は2,689人(H23)にも上りますが、一方で労災での死亡者数は1,195人(H22)です。

加えて、行政は本年度よりスタートした、第12次労働災害防止計画において、
平成29年度におけるMH対策に取り組んでいる事業所の目標を80%に設定しており、この目標の実現に向けて、
具体的な施策に取り組んでいます。
因みに、第11次同計画でも、取り組み事業所割合を50%まで高める目標を掲げていましたが、
H23年度において、 43.6%に止まっている状況にありました。

ということで、労働者のメンタルヘルス対策は、行政にとっても喫緊の課題となっています。

なお、これ以上の情報を希望の場合は、先日ご案内したみどり研究所のセミナーにご参加いただくか、
セミナー・勉強会・研究会等において詳細を説明しますので、講師としてご依頼いただくようお願いします。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする