中小企業の「うつ病」対策ー人、資金、時間、情報に余裕がない

企業の労働安全衛生、特にメンタルヘルス問題に取り組んでいます。
拙著「中小企業のうつ病対策」をお読みください。

主治医の重要性

2014年09月01日 | 情報
ほんの数日前にも同じテーマでブログ掲載しましたが、
その後、主治医をめぐる質問・問い合わせ、加えて議論もありました。
重要なテーマですので、情報を追加して、再度掲載します。

まず、企業サイドから見た「主治医」の評価です。
企業のメンタルへルス対策においては、はっきりと申し上げて「主治医」は「かたき役」です、なぜか?
それは企業サイドから見ると、「主治医」のみが唯一の部外者だからです、
しかし、これは事実であって致し方がないことです。
あと、大きな理由が二つあります。
ひとつは、「診断書」に病名を正確に記していない、
もうひとつは、「診断書」に「復職可」とあるが、
どう考えてみても、働くことができる状態にない
この二つの理由から、主治医を信用することはできない、ということです。
これは、大きな誤解から起きている思い込みなのですが、現実です。
因みに、小生のセミナーで小生が「主治医」という単語を発すると、会場内に「失笑」が漏れます。
これは、「誤解」なのですから、「思い込み」を解決する必要があります。

また、小生は、職場復帰支援は、「復帰可」の「診断書」が提出されてから始まるのではなく、
労働者が休職した時から始まるのだ、と主張しています。
なぜなら、休職したときから当該労働者に関わらないと、あとあと困るのは企業であるからと説明しています。
具体的には、「主治医」に対して、当該労働者(患者)の業務内容、性格・行動、
事業所の事業内容、復職判断時の会社としての要望等を説明しておくことが重要ですと、解説しています。
職場復帰には、主治医が重要な役割を担っているのだ、ということを認識してください。
参考までに、当該労働者(患者)の承認、説明の予約、主治医への謝礼の必要を付記しています。
しかし、その理由・背景などは、これは小生のアドバイスノウハウの一つですので、詳細は省略させていただきます。

そして、特に産業医の選任義務のない企業が頼るのは、結局は「主治医」しかいないことを理解させています。
因みに、このような中小零細企業は、地域産保に相談してください、ということなのですが、
この地域産保には格差があって、「当てにならない」センターが沢山あるからです。
ただし、とても頼りになる地域産保も現実にはあります。
日頃より、情報交換等お付き合いのある地域産保の保健師さんで、使命感に燃えている保健師さんは一人や二人ではないことを、
地域産保の名誉のために付け加えておきますが、「当たり外れ」がありますので、どうしても躊躇してしまいます。

さらに、ある著名な産業医の先生のお話なのですが、主治医に手紙を出状しても、返信があるのは1割だという、事実の紹介がありました。
小生の認識を超える事実に驚きを禁じ得ません。
医師というより、社会人として如何?と感じますが、主治医の心中を推察するとやむを得ない点も指摘できます。
それは、わが国には、日本を代表する超大企業から、産業医を委嘱する必要がない零細企業までが、混在しています。
当然に、企業が「主治医」の先生に対応する姿勢、言動は百社百様です。
暴言を発するブラックな企業から、コンプライアンスを厳守する優良企業まで、
数多ある企業に接する「主治医」の先生の心労を察するには余りあるものがあります。
主治医に対する誤解や先入観を排除してください。

一方、小生は、うつ病と双極性障害のり患者とその家族を支援する団体に、ボランティアでアドバイザー役を務めています。
ご家族の心労は想像を超えるものがあります。
アドバイスの一つとして、家族は「主治医」と積極的に関わりを持つよう助言しています。
参考までに、小生のアドバイスではないのですが、事実として申し上げます。
あるご家族は、自ら診察券を申請し、一患者としてその「主治医」に、
り患者の日常の行動や発言を伝え、り患者の治療の参考としていただくとともに、
相応しい対処方法のアドバイスを求めているそうです。
そうしないと、貴重な診療時間を浪費してしまうからです。
そしてこの行動は、家族会に広がっています。
社労士として保険診療の精神から、正しい判断・行動なのかどうか疑問に感じますが、これも現実です。

また、著名な精神科医の医師より、「主治医」の立場から、 貴重な経験談を拝聴できました。
特に、「企業側に意見を無視される」というある精神科医の「お悩み」には、
繰り返しになりますが、百社百様の現状ではあり得ることと、こころに響きました。
精神科医の先生が、企業の現実や要求に寄り添う姿勢には、新たな「主治医」像に接した思いがあり、感銘を受けました。
今後は、企業の現実や要求に寄り添う姿勢がある「優良医」として、
小生の細やかな「精神科医推奨リスト」に貴重なお話をされた精神科医を付け加えることとしました。

主治医の重要性を、思いつくままに記しました。
コメント
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