中小企業の「うつ病」対策ー人、資金、時間、情報に余裕がない

企業の労働安全衛生、特にメンタルヘルス問題に取り組んでいます。
拙著「中小企業のうつ病対策」をお読みください。

ストレスチェック制度解釈②

2014年09月17日 | 情報
第二回は、「ストレスチェック」制度の導入の狙いです。
厚労省が、パンフレット等で広報している、ストレスチェック制度導入の目的は、
・一次予防を主な目的とする(労働者のメンタルヘルス不調の未然防止)
・労働者自身のストレスへの気付きを促す
・ストレスの原因となる職場環境の改善につなげる
ことであるとされています。

ここで問題となるのは、法案の審議過程で大きな動きがあったことです。
パンフレット等による広報で、第一の狙いが、
「・一次予防を主な目的とする(労働者のメンタルヘルス不調の未然防止)」となっていることです。
しかし、厚労省は、当初より「第二次予防」を目的としていました。
すなわち、メンタル不調者の早期発見です。

なぜでしょう。それは、国会における法案の審議過程で、参議院・衆議院の両院において、
「一次予防を主な目的とする」という付帯決議が決定されたからです。
厚労省は、「メンタルチェック」という言葉で成案にむけて作業を進めてきましたが、
現在は一次予防に適うように、「ストレスチェック」という言葉で統一されています。
そして、一次予防に適うストレスチェック項目の検討に入っています。

参考までに、両院の付帯決議を紹介します。

「ストレスチェック制度については、労働者個人が特定されずに職場ごとのストレスの状況を
事業者が把握し、職場環境の改善を図る仕組みを検討すること。
また、小規模事業場のメンタルヘルス対策について、産業保健活動総合支援事業による体制整備など必要な支援を行うこと。」
(参議院厚生労働委員会)
「ストレスチェック制度は、精神疾患の発見でなく、メンタルヘルス不調の未然防止を主たる目的とする位置づけであることを明確にし、
事業者及び労働者に誤解を招くことのないようにするとともに、ストレスチェック制度の実施に当たっては、
労働者の意向が十分に尊重されるよう、事業者が行う検査を受けないことを選んだ労働者が、
それを理由に不利益な取扱いを受けることのないようにすること。
また、検査項目については、その信頼性・妥当性を十分に検討し、検査の実施が職場の混乱や労働者の不利益を招くことがないようにすること。
ストレスチェック制度については、労働者個人が特定されずに職場ごとのストレスの状況を
事業者が把握し、職場環境の改善を図る仕組みを検討すること。
また、小規模事業場のメンタルヘルス対策について、産業保健活動総合支援事業による体制整備など必要な支援を行うこと。」
(衆議院厚生労働委員会)

厚労省では、現在法案の施行に向けて具体的な作業を進めていますが、
その中で、ストレスチェック項目等に関する専門検討会において、ストレスチェック制度の目的を、
「主に一次予防(本人のストレスへの気づきと職場環境の改善)とし、
副次的に二次予防(メンタルヘルス不調の早期発見)になり得るものと整理することが適当である。」としました。
今後、制度の施行までに、制度の目的がこの方向で決定される予定ですが、
制度の根幹をなす、制度の目的を奈辺にするのか、関係者間で「ぐらついて」いるようです。

なお、これ以上の情報を希望の場合は、先日ご案内したみどり研究所のセミナーにご参加いただくか、
セミナー・勉強会・研究会等において詳細を説明しますので、講師としてご依頼いただくようお願いします。




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