中小企業の「うつ病」対策ー人、資金、時間、情報に余裕がない

企業の労働安全衛生、特にメンタルヘルス問題に取り組んでいます。
拙著「中小企業のうつ病対策」をお読みください。

治療・生活・就労

2014年09月09日 | 情報
うつ病をはじめとする精神疾患をり患した人たちは、多くの場合、社会復帰を目指します。いや、目指すべきだと考えます。
そこで、重要になるのが、「治療・生活・就労」の三大課題です。

まずはじめに、治療です。自明の理ですが、病気を治さないことには、その先一歩も進めません。
うつ病をはじめとする精神疾患は、精神科、心療内科、メンタルヘルス科等の診療施設を訪ねることになります。
しかし、その精神科、心療内科、メンタルヘルス科が、なかなか見つからないのですね。
内科や歯科は、日頃よりお世話になっていることもあり、住まいの近所にもたくさんあることが、知識として承知しています。
しかし、精神科、心療内科、メンタルヘルス科等は、日常的に意識していませんから、はて、どこにあるのやらということから始まります。
ネット検索や電話帳などを頼りにしながら探すわけです。そして、ようやく数か所の診療施設をピックアップすることができます。
しかし、ここで問題発生です。近所の方や、会社の同僚にピックアップした診療施設の評判を聞くことはできないわけです。
会社に休業届を提出していれば、幾つかの施設を紹介してくれるかもしれません。
これが、いちばん間違いのない診療施設の選択なのですが、休業届の提出前では、会社に問い合わせることすら憚られます。
ですから、精神科、心療内科、メンタルヘルス科等の診療施設を探すことすら難しい課題なのに、
評判の良い、精神科、心療内科、メンタルヘルス科等の診療施設を探すことは、至難の業なのです。

多くの場合、自分にあった施設にたどり着くまで、数件の施設を渡り歩いているのが実態ですし、
お話を伺っていると、かかりつけの診療機関が本当に相応しい施設なのかどうか疑問を感じることが多々あります。
何故かというと、評判の良い診療施設でも、ご本人の気持ちや意向に相応しい施設なのかどうか、ということです。
なにしろ、「こころの病」を治療するための施設探しなのですから、主治医となる医師とご本人との、相性がとても重要な要素になるのです。
ですから、繰り返しますが、ご本人に相応しい、精神疾患は、精神科、心療内科、メンタルヘルス科等の診療施設の選択は、
とても難しい課題なのです。

次の課題が、どうやって生活を維持するかです。
通常の場合は、会社を休業すると、まず健康保険の傷病手当金を受給することになります。
なお、国民健康保険には、この傷病手当金制度はありません。
また、退職した場合には、雇用保険の基本手当(所謂、失業保険)も受給できます。
しかし、傷病手当金の受給期間は、最長18か月ですから、療養が長期に亘れば収入が途絶えます。
そこで、障害厚生年金、障害基礎年金の受給を申請することになります。
うつ病をはじめとする精神疾患の場合は、1級の認定は原則ありませんので、2級ないし3級の申請ということになりますが、
年金の説明は、長くなりますのでここでは省略します。
もし、2級の認定を受けることができれば、当面の生活資金は確保できることになります。
その他に、障害者手帳を取得すれば、税金の減免などさまざまな優遇制度の恩恵もあります。

最後が、復職または、再就職ということになります。
復職の場合は、別項に譲るとして、再就職の問題を考えます。
最近は、アベノミクス施策の浸透や、障害者雇用の施策もあって、精神障害者または、キャリアの就職環境は、
ほんの数年前に比べても格段の改善が図られています。
数年前における、精神障害者または、キャリアの就職先探しは、とても難しい問題でした。
しかし、最近では、受け入れる企業・事業所においても、経験と知識の蓄積により、受け入れ態勢も整ってきました。
さらに、大企業においては、特例子会社制度もあります。
再就職先を探すのは、通常であればハローワークでしょう。しかし、最近のハローワークは、障害者専用の相談窓口を
設けるなど、それなりの態勢はできていますが、今一つピンとこないところもあります。
従って、ハローワーク以外にもNPO法人、リハビリ支援施設、行政の窓口などさまざまな機関でも、
再就職先の相談・あっせんを行っていますので、幅広く柔軟な気持ちで、再就職先を探すとよいでしょう。

再就職することにより、年金など国からの恩恵を受ける自分から抜け出して、
社会に貢献できる自分があることを実感できることになります。





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