中小企業の「うつ病」対策ー人、資金、時間、情報に余裕がない

企業の労働安全衛生、特にメンタルヘルス問題に取り組んでいます。
拙著「中小企業のうつ病対策」をお読みください。

同一労働同一賃金の原則

2014年09月02日 | 情報
新聞記事は、正社員の残業時間に焦点を当てていますが、
小生は、「非正規社員は残業することが少ないため、…(厚労省)」に目が点になりました。
つまり、行政は、非正規社員に残業があることを認めています。
即ち、先日も指摘しましたとおり、同一労働同一賃金の原則をクリアするために、経営側が主張している論旨の一角が、
見事に崩れていることを行政も認めたということです。
もはや、わが国の労働界は、建前だけの「同一労働同一賃金の原則」です。
しかも、新聞記事にあるように、正社員の残業時間が最長になったのですから事態は深刻です。
事態は深刻というのは、企業社会において、メンタルヘルス問題がさらに拡大・複雑化するということです。

「正社員の残業時間が最長」ということに少し言及します。
わが国の産業界においては、先進諸国に比べて、極めて労働生産性が低いとされおり、未だに是正の糸口を見いだせていません。
それでは労働生産性が低いのに、なぜわが国産業界の国際競争力があるのか? なぜでしょう?
小生は専門家ではありませんので、僅かな経験と知識でその要因を追求してみると、幾つかの現象を指摘することができます。

代表的な現象として、わが国は産業界のみならず、「ボトムアップ」が意思決定の大原則になっています。
即ち、担当者レベルでの提案をだんだん上位職に上げていくという手法です。
最近のTV-CMでもありました。昭和西川のパロディCF「上にあげてみて」です。部長ー本部長ー常務ー専務ー副社長―社長、
なんと「専務」はチンパンジー、「副社長」はロボットです。
この手法は、時間がかかります、ですから労働生産性が低いということになります。
一方、西欧先進国では、殆どが「トップダウン」の意思決定方式です。
ですから、労働生産性が高いというということになるのでしょう。
これ以上は、本題から外れますので、またの機会にしますが、
必ずしも「ボトムアップ」が悪いということではない、ということを申し添えます。

正社員の残業最長、人手不足響く 1~6月
2014/8/23 日本経済新聞

正社員の残業時間が増えている。厚生労働省の毎月勤労統計調査によると、
1~6月期の残業時間指数は110.8と前年同期を7%上回った。
比べられる1993年以降で最長になった。景気回復で売り上げが増えているなか、人手不足で新しい人の採用が思うように進まないためだ。
 5人以上のオフィスや工場で、正社員を中心とするフルタイム労働者の残業時間を調べた。
1~6月期の残業時間は1人当たり月約14時間。業種別にみると、経済対策や復興事業で人手が足りない建設業が8%伸びた。
製造業(12%増)や運輸・郵便業(11%増)、卸売・小売業(5%増)は消費増税前の駆け込み消費も残業時間を押し上げたが、
4月以降も前年を上回る水準が続いている。
 正社員の残業時間が増えているのは雇用形態が変わった影響もある。
働く人に占める正社員の比率は1990年の80%から2013年には63%まで下がっている。
「非正規社員は残業することが少ないため、正社員が労働時間を延ばして人手不足の現場をしのいでいる」(厚労省)のが実態だ。
 残業が増えれば、受け取る残業代が増えることになる。
最新の6月は正社員の平均で2万6025円と前年同月から3.6%伸びた。
賃金が増えれば消費の拡大につながることが期待できる。
 ただ2012年の就業構造基本調査によると、トラック・タクシー運転手や理容師・美容師の約3割が、
残業時間が過労死の認定基準となる月80時間以上を上回っている。企業は従業員の健康維持にも目配りする必要がある。

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