中小企業の「うつ病」対策ー人、資金、時間、情報に余裕がない

企業の労働安全衛生、特にメンタルヘルス問題に取り組んでいます。
拙著「中小企業のうつ病対策」をお読みください。

胆管がん続出の印刷会社、強制捜査へ(続編)

2013年04月08日 | 情報
「きっかけは11年春から、胆管がんのため40歳で死亡した男性の遺族らが熊谷信二・産業医科大准教授に相談したことだった。」
今回の事案の、そもそもを確認しておきましょう。MH対策とはかけ離れていますが、企業・組織の
労働安全衛生対策を検討するうえで重要ですから、取り上げました。
安衛法で定められた産業医がいなかったばかりに、被害が拡大した事例として銘記しておかなければなりません。
もちろん、産業医を委嘱していなかったことが、すべての要因というわけではありませんが。

同じ職場 胆管がんで4人死亡(2012年5月18日NHK)

大阪の印刷会社で、インクの洗浄作業に1年以上関わっていた、およそ40人の従業員のうち、
4人が胆管がんで死亡していたことが、産業医科大学の調査で分かりました。
平均的な日本人男性の胆管がんによる死亡率と比べ、極めて高い値だということで、
研究グループでは、職場で使われていた化学物質などを調べるとともに、全国で同様のケースが起きていないか調査すべきだとしています。
調査を行ったのは、産業医科大学の熊谷信二准教授らのグループです。
それによりますと、大阪府にある印刷会社で、平成17年までの17年間に、
印刷機に付いたインクを洗浄する作業に1年以上関わっていた、およそ40人の従業員のうち、男性5人が胆管がんと診断され、
このうち4人が死亡しました。
これは、平均的な日本人男性の胆管がんによる死亡率と比べ、600倍以上の極めて高い値だということです。
また、胆管がんは、ウイルス性肝炎や胆管結石などが危険因子として知られ、60歳以上が患者の大半を占めますが、
今回死亡した4人は、20代から40代だったということです。
こうしたことから研究グループでは、何らかの危険因子があるのではないかとみて、
従業員がインクの洗浄作業で使っていた溶剤の化学物質などを詳しく調べるとともに、
全国的にも同じ溶剤を扱う職場で胆管がんを発症していないか、調査が必要だとしています。
熊谷准教授は、「普通では考えられない高い頻度でがんになっている。労働基準監督署にきちんと調査してほしい」と話しています。
これについて、印刷会社の顧問弁護士は、NHKの取材に対し、
「事態は把握しており、従業員の安全のために原因究明の調査を、現在しています」と話しています。

<胆管がん>校正印刷会社の元従業員4人が死亡(2012年5月19日毎日新聞)

西日本のオフセット校正印刷会社の工場で、1年以上働いた経験のある元従業員のうち、少なくとも5人が胆管がんを発症、
4人が死亡していたことが、熊谷信二・産業医科大准教授(労働環境学)らの調査で分かった。
作業時に使われた化学物質が原因と強く推測されるという。遺族らは労災認定を求め、厚生労働省は調査に乗り出した。
熊谷准教授によると、同社では91~03年、「校正印刷部門」で1年以上働いていた男性従業員が33人いた。
発症当時の5人の年齢は25~45歳と若く、入社から7~19年目だった。
熊谷准教授が今回の死亡者数を解析したところ、
胆管とその周辺臓器で発生するがんによる日本人男性の平均死亡者数に比べ約600倍になった。
校正印刷では、本印刷前に少数枚だけ印刷し色味や文字間違いなどを確認するが、
印刷機に付いたインキを頻繁に洗うので結果的に洗浄剤を多用する。
洗浄剤は、動物実験で肝臓にがんを発生させることが分かっている
化学物質「1、2ジクロロプロパン」「ジクロロメタン」などを含む有機溶剤。会社側は防毒マスクを提供していなかったという。
91~03年当時、ジクロロメタンは厚労省規則で測定や発生源対策が求められていたが、1、2ジクロロプロパンは規制されていなかった。
熊谷准教授は「これほど高率になると、偶然とは考えられず、業務に起因している。
校正印刷会社は他にもあると聞いており調査が必要だ」と話す。
元従業員らが労災認定を求めたことについて、会社側は「真摯(しんし)に対応させていただいている。
個人情報などもあり、お答えできない」としている。【河内敏康、大島秀利】

排気装置設置せず?刺激臭充満 胆管がん問題の印刷会社(朝日新聞2012年7月8日)

大阪市内の印刷会社で12人が胆管がんを発症、うち7人が亡くなっている問題で、
法律の規則で定められた排気装置がなかった疑いが強まった。
有害物質を含む空気が循環し、換気が不十分だった恐れもある。
窓もない作業場の劣悪な環境が長年続き、従業員の健康をむしばんだとみられる。
「作業場では校正印刷機の下に空気の吸い込み口があり、頭上の吹き出し口からも洗浄剤の刺激臭がしていた。
循環する仕組みなんだと上司がいっていた」。1990年代後半からこの会社で働いていた30代の元従業員は話す。
作業場は91年、地下1階に完成。100平方メートルほどで校正印刷機は少なくとも6台あった。
印刷見本を刷る仕事で頻繁にインクを落とすため、洗浄作業はマスクもなしで1日300~1千回に及んだ。
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