中小企業の「うつ病」対策ー人、資金、時間、情報に余裕がない

企業の労働安全衛生、特にメンタルヘルス問題に取り組んでいます。
拙著「中小企業のうつ病対策」をお読みください。

休職教員:「心の病」、復職を支援 文科省が報告書

2013年04月05日 | 情報
休職教員:「心の病」、復職を支援 文科省が報告書
毎日新聞 2013年03月30日 
うつ病など「心の病」で休職する教員が社会問題化する中、文部科学省は、教師に対する本格的な復職支援に乗り出す。
教育委員会と校長、主治医らが情報共有し、休職した教員が孤立しない体制づくりを目指しており、
専門家による検討会議の報告書を全国の教委に配布して、早急な対応を呼びかける。
文科省によると、11年度に精神疾患で休職した教員は5274人。10年前の約2倍の水準で、08年度から5000人台が続く。
一方、復職率は37%で、43%が休職継続、20%が退職した。
文科省は昨年1月、専門家による「教職員のメンタルヘルス対策検討会議」を設置して対応策を議論。29日、最終報告書を公表した。

教職員のメンタルヘルス対策検討会議の最終まとめについて(平成25年3月29日文部科学省)
http://www.mext.go.jp/component/b_menu/shingi/toushin/__icsFiles/afieldfile/2013/03/29/1332655_01.pdf
http://www.mext.go.jp/component/b_menu/shingi/toushin/__icsFiles/afieldfile/2013/03/29/1332655_02.pdf

教職員のメンタルヘルス対策について(中間まとめ)(平成24年10月3日文部科学省)
http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chousa/shotou/088/houkoku/__icsFiles/afieldfile/2012/10/03/1326385_1.pdf
(概要)
以下は、小学館HPを参考にしています。http://family.shogakukan.co.jp/news/2013/01/61.html
・学校種別では、特に中学校の教員の割合が高く、増加傾向にある。
・年代別では、教員全体の構成比に対して、40歳代の割合が高い。
・新規採用の若手教員では、条件付採用期間中に病気で離職した教員のうち9割以上が精神疾患による
(平成22年度・新卒病気離職者101人中91人)。
・精神疾患で休職中の教員の約半数が、所属校に配置後2年以内に休職にいたっている。
・精神疾患で休職してから1年以内に復職した教員は全体の約4割。
・復職から1年以内に再度の休職となった教員の割合は、15.1%。

○先生たちを取り巻く状況
教員の心の病の背景として、文科省は以下のように分析しています。
いずれも、人間対人間という仕事の難しさを痛感させられる指摘ばかりです。
・メンタルヘルス不調を訴えて受診をする教員の多くが「生徒指導」に関してストレスを感じ、
続いて「同僚・管理職との人間関係」をストレス要因に感じている。
さらに分析すると、保護者対応は、20歳代、30歳代の教員がストレス要因として挙げる割合が多く、40歳代は少ないのが特徴のよう。
逆に40歳代の教員は、校内の仕事が集まりやすいことに対してストレスを感じる割合が増加。
それが一因となり、若手の教職員の人材育成に関わる余裕がなくなっているという状況も指摘されています。
・教職は対人援助職であるために、終わりが見えにくく、目に見える成果を実感しづらい。
自分の行動が適切かどうか迷いや不安を抱きながら対応している教員も多く、
自分自身の努力に対する周りからの肯定的な評価やフィードバックが得られにくいことから、
燃え尽きてしまうこともあると指摘されています。
・児童生徒と共に過ごす時間や権威といったものが教員を支えていたが、
これらが減り、消耗する要因である事務的用務、保護者対応等が増えてきている。
学校の異動などの心理的な負荷がある場合や、職場内の対人関係が良好でないときに、事務的用務の増加や保護者対応、
生徒指導といった困難なケースの心理的負荷が加わると、事例化が起こりやすくなっていると指摘されています。
・教職員間のコミュニケーションに対して苦手意識を持つようになったり、上司や同僚に悩みを相談しづらく、
職場での人間関係が十分形成されない。
異動後、前任校と違って自分の指導が児童生徒に適合できないような状況になると、今までの指導方法が否定されたようになり、
戸惑い、強いストレスを感じるようになってしまうと指摘されています。

○先生たちの「仕事」と「意識」の変化
通常の授業に加え、山のような報告書、さまざまな研修会・研究会、突発的に起こる生徒指導や保護者対応。
さらに、心身を休めるための休日にも部活動の指導などを抱える人が多いなど、とにかく先生たちは日々、とっても、忙しい。
そんな中、文科省は以下のような具体例をあげながら、教職と心の病がどのようにつながっていくのかを報告しています。
・仕事の質や量の変化に対応できず、効率的にこなせないと精神的に負担を感じてしまう。
・生徒指導上の課題、保護者や地域との関係において、困難な対応が求められることがあり、
教員個人が得てきた知識や経験だけでは十分に対応できない。
・教員の職務は個人で抱え込みやすく、一人で対応する傾向にある。
職場で良好な人間関係が十分に形成されていないと、うまく対応できない状況が生まれやすい。
・同僚の教員に対して意見を言いにくいことがあり、言いたいことが言えない雰囲気が、ストレスの原因になる。
・自分たちの指導をあまり干渉されたくないという気持ちもあり、職場における人間関係が持ちにくい。
・教員は完璧にやって当たり前、子どものために身を粉にして頑張るもの、といった思いが強すぎ、
理想的にできていないことをストレスに感じ自らを責めてしまう。
・児童生徒や保護者に対して、正しいことをストレートに伝えて傷つけてしまい、対人的なトラブルに発展するようなケースもある。
・自分は大丈夫だとか、忙しいなどの理由で健康診断における再検査等を受けない。

どんな仕事も大変なことにかわりはありませんが、こうしてまとめられたものを見ると、
改めて「教員」という仕事の特殊性と難しさを感じずにはいられません。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする