中小企業の「うつ病」対策ー人、資金、時間、情報に余裕がない

企業の労働安全衛生、特にメンタルヘルス問題に取り組んでいます。
拙著「中小企業のうつ病対策」をお読みください。

(参考情報)40歳目前で

2022年01月09日 | 情報

小職も門前の小僧式ににわか勉強しました。結論は、発達障害の症状を、多くの、あるいは殆どの人が、何らか呈しているように理解しました。日頃より、自覚している小職の難点も、発達障害の一症状ではないかと、ある意味、納得できていますし、それによる安心感も醸成されているように思いました。ほんとに、発達障害で悩んでいる方には申し訳ありませんが。

40歳目前で「隠れ発達障害」が発覚 「私自身に差別意識があった」不登校新聞編集長の気づき  
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近年、「大人の発達障害」について各方面で話題になることが多くなりました。脳の特性一つですが、社会生活を送るうえで「生きづらい」と悩んでいる人は少なくありません。不登校新聞編集長の石井志昂さんもその一人でした。石井さんはこのほど、診断を受けたそうです。障害を知ることにどんな意味があるのか、そして実際に診断を受けてみてどんなことを感じ、何に気づいたのか。当事者の言葉でつづります。

40歳を目前にして自分が「発達障害」であることがわかりました。この年になっても「自分に対する発見」をするとは思いもしませんでした。ある程度、自分の好みや性格などは

「わかってきたな」と思っていたからです。しかも、発達障害については断続的に15年間も取材をしてきました。それにかかわらず自分の障害には気がつきませんでした。

発覚してわかりましたが障害について知らないせいで、自分を追い詰めていた部分もあります。一方で知ったことで気が楽になった部分もありました。もしかしたらみなさんのなかにも私と同じように「隠れ発達障害」の人がいるかもしれません。家族や大切な人がそうとは知らずに苦しんでいるかもしれません。発達障害は自分が「生きづらい」「苦しい」と思ったときにそれらを解明する手段の一つになりえます。今回は発達障害とは何かを説明するとともに、当事者になって初めてわかったことをお伝えしたいと思います。また最後には代表的な症状も記します。もしかしたらと思う方がいましたら、その部分だけでも指針としてご参考ください。

そもそも発達障害とは何か。発達障害とは生まれつきの脳の特性で「できること」と「できないこと」の能力に差が生じ、日常生活や仕事に困難をきたす障害のことを言います。発達障害は、ADHD(注意欠如・多動性障害)、ASD(自閉症スペクトラム)、LD(学習障害)の3種類に大別されます。

かんたんに症状を紹介すると、「ADHD」は、不注意が多い、落ち着きがない、多動・衝動性が強いなど。「ASD」は、コミュニケーション方法が独特、特定分野へのこだわりが強いなど。「LD」は知的発達の遅れがないにもかかわらず、読み書きや計算が苦手など。3種類のうち「これだけが当てはまる」という人は、ほとんどいません。障害の程度や出方は人それぞれちがうので、苦手なことも個々にちがいます。また、発達障害かそうでないかのちがいについても、あいまいな部分が多いです。医師から発達障害だと診断されなくとも、定型発達とも言い切れない「発達障害のグレーゾーン」という層もあります。そしてグレーゾーンでも生きづらさを抱える人が多いです。

今回の診断で私はADHDの診断を受けました。ASDの特性は弱く、LDは検査していません。ADHDの具体的な特徴と言えば「落ち着きがない」「気が散りやすい」「忘れ物をしやすい」など。私もさんざんにやらかしてきました。すぐに思い出すのが「傘の忘れ物」です。傘を持って出かけても帰るまでに傘を失くしてしまう。私にとってはそれが通常運転です。小さいころから数えきれないほどの傘を失くしてきました。傘を買ったその日に失くしたこともありますし、地下鉄の駅で傘を購入して電車に乗り込むもその電車に置き忘れたことだってあります。先日は、雨天にもかかわらず傘を持っていくことすら忘れて出勤したので、傘を失くさなくてすんだという日もありました。

このほか、新幹線のなかにコートを置き忘れて震えながら帰ったこともあります。お付き合していた人から貰った財布をなくし、気を失うかと思うほど怒られたこともありました。「気が散りやすい」という特性のせいか、日程調整をしくじってダブルブッキングもよくやらかします。あれは入社1年目の冬、同日同時刻に2つの取材を入れてしまいました。取材先には何度もお詫びしましたが、再取材はかないませんでした。落ち込む私に心優しい先輩が「ミスは誰にでもあるから、忘れなければ大丈夫だよ」と言ってくれました。あれから20年、最近の私は年に1回のペースでダブルブッキングをやらかしています。忘れないどころか、ハイペースで再生産してしまっています。一つのことに集中すると、ほかのことが目に入らなくならず、遅刻なども頻発しています。

これらの失敗は「自分のポンコツさゆえ」だと思っていましたが、すこし違うようです。傘の忘れ物も「傘を持っていたことが記憶できない」からではありません。注意が散漫になって傘の存在を忘れてしまうのだ、と。まあ結果は同じなのですが、メカニズムがわかってくると、重ねてきたミスや「できないこと」の理由がわかってきます。「怠慢ではなかったんだ」と思えて気も晴れます。診断が降りてから「気が楽になった」という声は私以外からも聞いてきました。つまり、みんな「できない自分」を責めてきたわけです。

自分が発達障害だと知ることは「自分のトリセツ(取扱説明書)」を得ることかもしれません。もちろん「あなたは発達障害です」と告げられるのは、少なからずショックを受けます。「何年も受けいれられなかった」という声も聞いてきました。それでも生きづらさの解消は「自分自身を正しく捉えることから」とも言われています。そのひとつに発達障害の診断も位置づけられるのだろうと思います。

一方で恐ろしいこともわかりました。正直に言いますと、診断を受けたことで、私自身が発達障害に対する差別意識を持っていることがわかりました。発達障害の診断が降りる直前、すごく悩みました。もしも発達障害だとわかったら、いっしょに働く社員はどう思うだろうか。「障害を持った編集長とは働けない」「上司だけは『ふつう』であってほしい」「どうやって付き合えばいいかわからない」、そんなふうに思われないだろうか。かなり怖かったんです。しかし、そんな恐怖心こそ差別意識の裏返しです。発達障害の人とは「働きたくない」「ふつうがいい」「付き合い方がわからない」と私が思っていたから怖いのだ、と。

悩んだ結果、診断結果や考えていたことをすべて社員に打ち明けました。みんな快く事態を受け入れてくれました。そして「発達障害の当事者としても発信を」とも言ってくれました。私の差別意識は、発達障害に対する無知ゆえです。無知ゆえに差別し恐れ、長年の取材から慢心していました。しかし素人では見抜けません。発達障害は専門家が複数回の診察と検査によって診断するものです。

一方で、なんでもかんでも本人の特徴を「発達障害」と括ってしまうことにも抵抗があります。発達障害の名前はひとり歩きしている感もありますし、偏見につながることもあります。実際、私も差別意識を持っていました。ただし、一定の知識は持っておく必要があり、心配だったり、困っていたりすれば受診してみるのもいいかもしれません。また、子どもが発達障害の疑いがあればいっそのこと親子で検査を受けてもいいかもしれません。診断を受けなくても支えるための勉強になるかと思います。私も「自分で受けてみた」というのがとても勉強になりました。

一点だけ注意をいただきたいのは、他人に対して「あなたはおかしいから発達障害の検査を受けなさい」と言うのはおやめください。そう指摘する人が発達障害について学び、理解を深めて、本人との関係を考え直せばいいのです。くり返しになりますが診断を受けるのはレッテルを貼るためではありません。あくまで自分に対する理解を深めるため。生活を楽にするための工夫や支援を受けやすくするためです。

それでは最後にADHDの代表的な症状を紹介します。国立精神・神経医療研究センターによれば、各項目(不注意と多動・衝動性)の9つの症状の中で6項目以上に該当し、それらが6か月以上継続、かつ家庭や学校など2つ以上の環境で、生活や学業に悪影響をきたしているときにはADHDの可能性があります。

■不注意
・学業・仕事中に不注意な間違いが多い。
・課題や遊びの活動中に、注意を持続することが出来ない
・直接話しかけると聞いていないように見える。
・指示に従えず、業務をやり遂げることが出来ない
・課題や活動を順序立てることがむずかしい
・精神的努力の持続を要する課題を避ける、いやいや行う
・失くし物が多い
・他の刺激によって気が散りやすい
・日々の活動の中で忘れっぽい

■多動・衝動性
・手足をそわそわ動かしたり、いすの上でもじもじする
・授業中に席を離れる
・不適切な状況で走り回ったり高いところに登ったりする
・静かに遊べない
・まるでエンジンで動かされているように行動する
・しゃべりすぎる
・質問が終わる前に出し抜けに答えてしまう
・順番を待てない
・他人の邪魔をする 
(国立精神・神経医療研究センターHPより)

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