中小企業の「うつ病」対策ー人、資金、時間、情報に余裕がない

企業の労働安全衛生、特にメンタルヘルス問題に取り組んでいます。
拙著「中小企業のうつ病対策」をお読みください。

偏見拡大に懸念

2022年01月04日 | 情報

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心療内科・精神科の受診、偏見拡大に懸念…放火事件後にネットで中傷も
2021/12/29 読売

25人が亡くなった大阪・北新地の放火殺人事件で現場となった「西梅田こころとからだのクリニック」には、心の不調と向き合う大勢の人が通っていた。仕事や人間関係のストレスなどから、誰もが心療内科や精神科を受診する可能性はあるが、社会の理解が十分に進んでいるとはいえない。事件の容疑者がクリニックに通院していたこともあり、関係者は社会の無理解や患者への偏見が広がらないか懸念している

増える患者
精神疾患は2011年、がんや糖尿病などと並ぶ5大疾病に位置づけられた。長時間労働やパワハラなどで心に不調を来す人は増加。厚生労働省によると、仕事のストレスが原因で精神疾患になったとして、20年度は608人(前年度比99人増)が労災認定され、過去最多となった。

厚労省の調査によると、精神的不調で1か月以上連続して休業したり、退職したりした労働者がいる事業所は9・2%に上った。メンタルヘルス対策の重要性は高まっており、15年には50人以上の従業員を抱える事業所に対し、自分のストレスの状態が分かる検査「ストレスチェック」の実施を義務づけた。

精神科や心療内科といった心に関する医療機関(17年)は5824か所、患者は419万人で、02年と比べ1700か所以上、患者は約160万人増えている。心療内科も1996年に診療科として認められて以降、ほぼ右肩上がり。心療内科を主とする医療機関は、17年までの約20年で14倍になった。

明確な定義はないものの、一般的に心療内科は心理的要因から起こる胃腸や皮膚などの身体疾患を心身両面から治療する。重いパニック障害や依存症、統合失調症など専門的な治療を行うのが精神科とされる。

通院隠す人も
偏見を恐れ、通院を隠す人は少なくない。人権擁護団体・神奈川精神医療人権センターの佐藤光展さん(54)は、偏見の背景について「過去に精神科病院で隔離収容中心の施策が行われ、危ない存在とのイメージが、改善されてきてはいるが根強く残っている」と指摘する。

今回の事件後、ネット上には心療内科や精神科に通う人を危険視し、中傷する書き込みが散見され、大阪市内のある心療内科クリニックでは、こうした書き込みを見た患者から不安や憤りを訴える相談が増えているという。

現場となったクリニックに通っていた大阪市の男性(39)は、周囲に配慮が必要なことを示して思いやりのある行動を促す「ヘルプマーク」を付けて外出することもあったが、事件後は付けるのをやめた。男性は「『あいつも容疑者と同じようなことをするんじゃないか』と思われることが怖い」と語る。

昭和大の岩波明教授(精神医学)は「精神疾患への理解は十分広がっておらず、何となく怖い、自分とは違う世界と思われている」と分析。17年の調査では精神疾患の人は、糖尿病患者より約90万人多く、誰でも当事者になる可能性があり、「実は身近という前提で、高校や大学で精神疾患についてきちんと教えるべきで、行政が後押しする必要がある」と強調している。

大阪市北区の「まきメンタルクリニック」には、会社の人間関係に悩む人や、発達障害が疑われる児童らが連日30人ほど訪れる。西崎真紀院長は威圧感を与えないよう白衣は着ず、ソファに座った患者の話をゆっくり聞く。「受診に抵抗感を抱く人もいるが、特別なことではない」と話す。

事件の現場となったクリニックにも近く、発生の2日後には行き場を失った患者の受け入れを始めた。西崎院長は「薬で何とか日常生活を保っている人もおり、迅速な手助けが必要だと考えた」とする。

同区の「天神橋こころのクリニック」では、コロナ禍の外出自粛でストレスを発散する機会を奪われ、うつ病になった人の来院も多いという。菊川大吾院長は「非常に活発な人が発症し、本人が驚くこともある。精神疾患は誰もがなり得るものだ」と語る。

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