中小企業の「うつ病」対策ー人、資金、時間、情報に余裕がない

企業の労働安全衛生、特にメンタルヘルス問題に取り組んでいます。
拙著「中小企業のうつ病対策」をお読みください。

典型的な流れです

2019年07月19日 | 情報

長時間労働プラス上司から厳しい指導⇒うつ病発症⇒自死⇒公務災害認定⇒安全配慮義務違反を認定
⇒6500万円の賠償命令
典型的な流れです。対岸の火事ではありません。
しかし、繰り返し述べていますが、損害賠償額(≒逸失利益?)が6500万円とはねえ?
亡くなった先生は、若干27歳です。

新任教諭自殺で県町に賠償命じる
NHK 07月10日

5年前、若狭町の中学校の新任の教諭だった27歳の男性が自殺したことをめぐり、
男性の父親が県と若狭町に損害賠償を求めた裁判で、
福井地方裁判所は「校長は勤務時間の軽減など取るべき義務を怠った」として
およそ6500万円の支払いを命じる判決を言い渡しました。
この裁判は、若狭町の中学校の教諭だった嶋田友生さん(当時27)が平成26年10月に自殺したのは、
学校側が業務量の調整や新任教諭であることへの配慮を怠ったりしたことに責任があるとして、
県と若狭町におよそ1億円の損害賠償を求めておととし2月に提訴したものです。
訴状によりますと嶋田さんは自殺するおよそ半年前から中学校の教諭として働き始めましたが、
部活の指導で休日出勤も多く、1か月の時間外労働が最大160時間を超えるなどの長時間労働が
自殺の原因だとして「公務災害」にも認定されています。
10日の裁判で、福井地方裁判所の武宮英子裁判長は「時間外の業務や業務内容は過重なもので、
嶋田さんの心身の健康状態を悪化させうることは認識可能だった」と指摘しました。
その上で「校長は業務の時間や内容を把握した上で勤務時間を軽減する措置などとるべき義務を怠った」として、
県と若狭町におよそ6500万円の支払いを命じる判決を言い渡しました。
判決後の記者会見で裁判の原告で自殺した嶋田さんの父親の嶋田富士男さん(59)は
「正直に生きてきた息子の生き様が判決で全面的に認められてよかったと思う。
この判決で、教師を目指す皆さんが教師として最後までまっとうできる環境が整ってほしい」と話していました。
また、原告側の端将一郎弁護士は「亡くなった理由を明らかにしたいという原告の思いに応える判決で、
福井県と若狭町は判決を踏まえ誠意ある判断をしてほしい」と話していました。
判決を受けて福井県学校振興課は「判決理由を詳細に検討し、
若狭町と相談したうえでコメントしたい」としています。
また、若狭町は「いまの段階ではコメントは差し控えたい」としています。

新任中学教諭自殺 県と町に6500万円賠償命令 福井地裁判決
毎日新聞2019年7月10日

2014年10月、福井県若狭町立上中(かみなか)中学校教諭、嶋田友生さん(当時27歳)が自殺したのは
「学校側が業務量を適切に配慮しなかったためだ」として、
父の富士男さん(59)が県と若狭町に約1億円の損害賠償を求めた訴訟の判決が10日、福井地裁であった。
武宮英子裁判長は「校長は業務内容を変更するなどの安全配慮義務を怠った」と述べ、
県と町に総額約6500万円を支払うよう命じた。
判決によると、嶋田さんは14年4月に新任採用され、1年の担任の他、
1~3年の社会、2年の体育、野球部副顧問を担当。
同年6月ごろに精神疾患を発症したとみられ、同年10月に自殺した。
4~9月の残業時間はほぼ毎月100時間を超えていた。
武宮裁判長は「(嶋田さんは)授業の準備や保護者対応を時間外に行わざるをえなかった」と指摘。
校長の責任について「他の教諭らから嶋田さんの体調について報告を受けており
過重な時間外業務が健康状態を悪化させうると認識できた」と述べて、自殺との相当因果関係を認めた。
請求額から退職金などを差し引いて賠償額を算定した。
判決後、記者会見した富士男さんは「主張がほぼ認められて良かった。
持てる力で一生懸命生きた息子を褒めてやりたい」と話した。
嶋田さんの自殺は16年9月、公務災害と認定されている。

新任教諭自殺、賠償命令 6500万円、父親訴え 
日経・共同 2019/7/10

福井県若狭町立中学の新任教諭だった嶋田友生さん(当時27)が自殺したのは、
長時間勤務や負担の大きい勤務状況を認識しながら校長らが適切な措置を取らなかったのが原因として、
父親の富士男さん(59)が県と町に約1億130万円の損害賠償を求めた訴訟で、
福井地裁(武宮英子裁判長)は10日、約6500万円の賠償を命じる判決を言い渡した。
訴状などによると、嶋田さんは2014年4月に同中学に着任し、1年生の担任や野球部の副顧問などを担当。
恒常的な時間外勤務を余儀なくされ、160時間を超える月もあった。
授業の準備や生徒のトラブル対応などに追われた上、土日も遠征試合のため出勤。
さらに上司から厳しい指導を受けるなどし、同年6月末には、
うつ病など何らかの精神疾患を発症していたとみられ、10月に自動車内で練炭自殺しているのが見つかった。
嶋田さんについて、地方公務員災害補償基金福井県支部が16年9月、
長時間労働が自殺の原因だとして公務災害と認定した。
原告側は「校長は勤務時間の軽減や新任であることへの配慮を怠った」と主張。
町は「残業は自主的なもので勤務時間には当たらない」、
県も「精神疾患を認識するのは不可能だった」と反論していた。


教諭自殺、被告側控訴断念 福井地裁の賠償命令判決
2019.7.12 産経

福井県若狭町立中学の新任教諭だった嶋田友生さん=当時(27)=の自殺をめぐり、
安全配慮義務違反を認めて約6530万円の支払いを命じた10日の福井地裁判決について、
県と町は12日、控訴しないと明らかにした。
父親の富士男さん(59)が県と町に約1億130万円の損害賠償を求めていた。
杉本達治知事は同日、「内容を精査した結果、司法判断を受け入れる」とのコメントを出した。
町の中村正一教育長も記者会見で
「裁判を長引かせず、働き方改革を進めるのが嶋田さんへの一番の報いと判断した」と説明した。

コメント
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