中小企業の「うつ病」対策ー人、資金、時間、情報に余裕がない

企業の労働安全衛生、特にメンタルヘルス問題に取り組んでいます。
拙著「中小企業のうつ病対策」をお読みください。

安衛法改正の影響⑧

2019年07月09日 | 情報

もう一人のキーパーソンである、衛生管理者について再確認しましょう。
まず、大切なことは、衛生管理者(1種、2種)は、国家資格であることです。
そして、衛生管理者の活躍度が、事業所の産業保健活動のバロメーターであるといってもよいでしょう。

ところが、実態は
・衛生管理者を配置していない
・衛生管理者はいるが、何もしていない
・担当業務が忙しくて、衛生管理者の業務がほとんどできていない
事業場が多いのではないでしょうか。

一方で、衛生管理者の仕事は、質量ともに増えています。
このことを意外と認識していない企業・事業所が多いように認識しています。
例えば、事業者から産業医に所定の情報が毎月提供される場合には、
産業医の作業場の巡視の頻度を、毎月1回以上から 2か月に1回以上にすることが可能となりました(安衛則第15条)

ア:衛生管理者が少なくとも毎週1回行う作業場等の巡視の結果
イ:アに掲げるもののほか、衛生委員会等の調査審議を経て事業者が産業医に提供すること としたもの
ウ:1月の所定労働時間以外が100時間超の労働者の情報

また、衛生管理者の職務を再確認しておきましょう。
衛生管理者の職務は、総括安全衛生管理者の職務とされる次の事項のうち、
衛生に係る技術的事項とされています。(安衛法第10条)

1.健康に異常がある者の発見及び処置
2.作業環境の衛生上の調査
3.作業条件、施設等の衛生上の改善
4.労働衛生保護具、救急用具等の点検及び整備
5.衛生教育、健康相談その他の労働者の健康保持に関する必要な事項
6.労働者の負傷及び疾病、それによる死亡、欠勤及び移動に関する統計の作成
7.その事業の労働者が行う作業が他の事業の労働者が行う作業と同一の場所において
  行われる場合における衛生に関し、必要な措置
8.その他衛生日誌の記載等職務上の記録の整備等

さらに、第十一条で、  衛生管理者は、少なくとも毎週一回作業場等を巡視し、設備、作業方法又は
衛生状態に有害の おそれがあるときは、
直ちに、労働者の健康障害を防止するため必要な措置を講じなければならない。
2  事業者は、衛生管理者に対し、衛生に関する措置をなし得る権限を与えなければならない。
とされています。

参考までに、常時1,000人超の労働者を使用する事業場等では、専任の衛生管理者を一人配置しなければなりません。
「専任」ということは、衛生管理を専らとする担当者を配置しなければならないということです。
中小規模の事業所・企業でも、同様なのです。
最後に、衛生管理者には、例え1000円でも結構ですから、ぜひ「衛生管理者手当」の支給をご検討ください。
衛生管理者のモラルアップに貢献し、御社の産業保健活動の活性化が期待できます。

 

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする