中小企業の「うつ病」対策ー人、資金、時間、情報に余裕がない

企業の労働安全衛生、特にメンタルヘルス問題に取り組んでいます。
拙著「中小企業のうつ病対策」をお読みください。

安衛法改正の影響⑩

2019年07月23日 | 情報

前項で健康経営を実現すると、
1.人材の採用・確保、
2.法令順守と安全配慮義務の履行
3.さらに、従業員と企業体質の健康確保が、企業の収益増大につながる
というメリットがあると紹介しました。

まず、人材の採用・確保です。

当ブログの不便なところは、図表を貼り付けできないことですので、
少し分かりにくいかもしれませんが、言葉のみの説明になります。
最初に経済産業省の「健康経営の推進について」という資料に、
「就活生 将来どのような企業に就職したいか」という設問に対する回答があります。

1位が、福利厚生が充実
2位が、1位とほぼ同じで、なんと、従業員の健康や働き方に配慮
3位が、企業理念・使命に共感
4位が、魅力的な経営者・人材がいる
5位が、雇用が安定している
6位が、給与水準が高い

1位は、今日的な就活生の心情でしょう、3位は、優等生的な模範解答ですし、
4位は、実際に働いてみないとわからないことです。
それに反して、「従業員の健康や働き方に配慮」しているが2位というのは、時代の変化でしょう。

もう一つ、やはり経済産業省の「健康経営の労働市場におけるインパクト調査」(2016年)で、
約1,400人の就活生と就活を控えた学生を持つ1,000人以上の親に、
就職を希望する企業の条件について質問しました。

就活生は、上述の通りですが、その親に「どのような企業に就職させたいか(3つまで)」を聞いています。
その結果、
1位は、圧倒的に、従業員の健康や働き方に配慮
2位が、雇用が安定している
3位が、給与水準が高い でした。

求人難の時代にあって、「従業員の健康や働き方に配慮」している企業では、
新たな人材の採用に困っていないということです。

健康経営は、通産省が管轄していますが、厚生労働省が管轄している、
同じような施策に「安全衛生優良企業」制度というのがあります。
健康経営より資格認証が難しい安全衛生優良企業を取得している、さる企業を取材させていただく機会がありました。
会社側の説明によりますと、安全衛生優良企業の資格を取得したことにより、
人材採用がとてもやり易くなったとのことでした。
さらに、資格取得は、行政サイドの信用も勝ち取ることができ、
企業活動がとてもスムーズに運ぶようになったと、おっしゃっていました。

東京等の大都市はともかく、地方においては、高校としては、卒業生を安定した企業に就職させたい、
企業としては、優秀な人材を採用したい、こうした双方の考えが合致して、地元の高校と地元の企業は、
人材の採用面での結びつきがとても強いと聞いています。
就活担当の教諭としては、健康経営を目指す企業に、卒業生を就職させたいというのが心情ではないでしょうか。
結論として、優秀な人材を採用したければ、健康経営を目指すべきだということになります。

コメント
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