シルクロードを放浪中の長男坊が、チベットのラサに着いたらしい。ラサの消印がある絵葉書が今日到着しました。
私の腰痛のことを案じる文面が一行あったので、インターネットでこのブログを見たのでしょう。 それがラサなのか、ラサまでの途中の大きな街なのかはわかりませんが、インターネット社会が確実に中国大陸にも広がっていることに、「当たり前、だからインターネット!」と言われれば、それまでですが・・・・驚いています。
私が自分のパソコンを持ったのは、三重県宮川村に行った後のことですから、考えて見れば、10年もたってない。黒ねおす・ステップワゴンを入手した頃ですから、7年前だもんなあ・・・。 中国内陸は、ここ数年でインターネットが爆発的に広がっているんだろうなあ。 中国はいったい・・どうなってゆくのだろう・・・。
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ラサ・・・・
ダライ・ラマ好きの私にとっては、行ってみたい場所です。
今は、中国共産党・覇権主義の中で民族紛争のポテンシャルが高い地ですが・・・。 この彼からの葉書も検閲されているんだろうか。 もっとも、検閲されそうなことは書いてませんがね。
インターネットで私のブログを読んだんだから、インターネットで回答すればいいだろうが・・、
彼はE-mailアドレス持っているんですが、書き込んで来ないのは、筆不精なのか、それとも他の理由か・・・? まあ、過去の経緯からは前者だと思いますが・・。 しかし、「手紙書け」とは、アナログオヤジとしては言っておいたので、ほんとは、嬉しいです。
しかしなあ・・・、インターネットで私の腰痛のことを知ることができる・・・ それだけでもビックリです。
私は21歳の時、初めての海外旅行をしました。
もう、30年以上前なんだなあ・・。
秋に出国し、香港・タイ経由でネパールに2ヶ月近く滞在したことがありました。 旅の目的地域であったのですが、あの時、ヒマラヤ山脈の高峰群を、チベットとネパールを結ぶ街道筋をネパール側からたどり、4000mほどの峠を越えて抜け、チベット高原が見渡せる高原に身を置いたことがありました。
最後のチェックポスト(パスポート持っている外国人、パスポートを持ってない地元人達を検閲する関所)を抜け・・パスポートを持っている外国人は行っちゃいけない場所・・つまり パーミッション(許可)を取ってない、国境曖昧地帯のバッファーゾーンに、今考えれば、信じられない位の荷物を背負って歩いた、登ったことがありました。
オフクロがその前年に永い闘病、私も大学を休学・・その末亡くなり・・・、
そのショックと言うか、虚無的感情から立ち直るのにあがいていた青春時代でした・・・。 思えば、そのはけ口に 山に傾注してゆき、それでも満たされぬ気持ちが続き、「これではダメだ!」と、なんとか気持ちを奮い立たせて、アルバイトで貯めたお金で出かけた「初の海外」でした。今みたいに情報や案内人は簡単に得ることはできません。
それでも、「行った事がある」という程度の話しや、同地域へ入った、これまた、ひとつ位もあるかないかの数少ない日本のヒマラヤ遠征隊の道中記録を集め、アンナプルナ本峰の初登頂を目指したヘルマンブール、メッセ?だったかな(彼はナンガパルパット?)・・・ともかくも、探検時代の海外登山家のヒマラヤトレッキングの翻訳本などを手に入れ、周辺情報をかき集めて、出かけました。
「それをしなければ、俺は立ち直れない」みたいな気持ちだったんでしょう・
出国から1ヶ月くらいかかって・・・、
高度が高いから、もう樹木もない、距離感が分からぬ、高原砂漠のような荒涼として風景の先・・・、何十キロ、何百キロ向こうにある、溶けることがない永久な氷雪を冠る5~7000mが見えるチベット高原・・・それを見ました・・・、
人間臭いものは何もない3~4000mの大高原です。 目指していたのは、ティリッツオ湖という 当時写真も手に入れられなかった幻の「神々の住むという湖」でした。
結局・・・、高山病と食糧も尽きて、ゆけませんでした。
下山を決めた日・・、 下山を決めたその時・・・、
身体の動きも緩慢になり、思考回路もいたくゆっくりとした中で、目の前に広がる信じられぬ、しかし現実に我が身がいる とてつもなくだだっ広い「宇宙」を感じるような風景に・・・
「地球の鼓動が止まっている・・ 時間がとてつもなくゆっくりと流れている」
と、涙を流したことがありました・・・
そして・・・
・・
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「俺は、なんてチッポケなことを悩んでたんだ」
との想いが湧き上がり・・いっぺんに「悩み開眼」したことがありました。
ラサは・・・
この高原の遥か彼方にありました。
この・・・宇宙そのものを感じるような高原の遥か彼方のラサからネパール、そしてインドへ向かって、交易のために ヤギと一緒にあるいは、荷物を背負って歩いて行き来するチベット人・・・に出会った時・・・
これ、宗教=宇宙観 が一体になった そうしないと、説明がつかないような、原始宗教の始まりが分かったような気がしたことがありました。
消印は8月21日ですから、もうラサにはいないでしょう。
アイツ・・・・・
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無事に旅しろな。
肉筆アナログナ手紙を送れよ。
楽しみにしてるよ。