◆ちゃんとしゃべれ!治納由気(はるなゆき)◆

変な日本語、敬語もどき、崩れていく日本語、そして、正しい日本語とハムスター。

「皆さんご理解いただけるように」って?

2015-03-22 09:35:46 | 言葉についてあれこれ
                                  うん、のぞいてる

 「君が○ニャンになってもらうしかないよ」ではなく「君に○ニャンになってもらうしかないよ」、「親が払ってもらってるんですけど」ではなく「親に払ってもらってるんですけど」、「県民の皆さんが元気を出していただけるような」ではなく「県民の皆さんに元気を出していただけるような」ですね、「○に~てもらう」が基本です。だれが、だれに、~てもらうのか、きちんと意識しないといけません。
 「ご迷惑をかけた皆様に誠意をもって行動してほしいです」と言ったのは女優ですが、ちょっと言葉が足りません。名前はメモしていなかったのでだれだか忘れましたが、そう若くない人だったと思います。これは“大勢の人(皆様)に迷惑をかけた張本人である○さん”へのメッセージで、「○さんには、迷惑をかけた皆様に対して、誠意をもって行動してほしいです」と言ってくれれば分かりやすいのですが。
 「私自身も、今まで○さんに随分迷惑をかけましたし、欠点に目をつぶってくれていました」と書いたのは一般の人です。「私自身も」で区切って読点、ですから余計にそう感じるのですが、「欠点に目をつぶって」ならお互い様かと思ったら「くれていました」と来て、急に行為の主体が○さんになり、何だかもやもや( ̄д ̄)。
 「私自身も今まで○さんに随分迷惑をかけましたし、○さんは私の欠点に目をつぶってくれていました」とか、分かりやすいように書けませんかねぇ。もっと言えば、○さんは、迷惑をかけても、欠点だらけでも、そんな私を許して(ぐっと我慢して?)くれていたわけで、「私自身も今まで○さんに随分迷惑をかけたうえに欠点だらけ、それでも○さんは目をつぶってくれていました」とかね。
 「先日、義理の姉に『○※◇△◎』と意味の分からないことを私に言ってきました。前にも、主人が留守中に来て、勝手にお菓子を出して子どもに食べさせる、部屋を勝手にのぞかれる等していました」という文章、これを書いた人は行為の主体を全く意識していません。義理の姉に、私に言ってきました、主人が留守中に、食べさせる、のぞかれる・・・、これだと、だれがだれに、だれがどうしたという関係がめちゃくちゃです。
 これを書いた人の家に来て部屋を勝手にのぞいたのは義理の姉なんですよね。「先日、義理の姉が『○※◇△◎』と意味の分からないことを私に言ってきました。前にも、主人の留守中に来て、勝手にお菓子を出して子どもに食べさせる、部屋を勝手にのぞくなどしていました」と書いてくださいよ。
 「繰り返し話を聞きながら皆さんご理解いただけるように」と言ったのは役人です。ベッキーの「ゲストの皆さん、お越しいただきましたぁー」よりずっと前に聞いたのですが、「皆さん」の挟み方が役人らしいですね、これでするっと主語がすり替わりました。「話を聞きながら」までは話を聞く側の人たちで、「ご理解いただけるように」の主語は話をする側の役人です。繰り返し話を聞くのが役人ならいいのですけれどね。
 「繰り返し話を聞いてしっかり理解できるように」と言いたいところですが、そのまま言うわけにもいかないのですよね。それならそれで「繰り返し話を聞き、十分に理解してくださいますように」とでも言えばいいのですが、これも抵抗があるのでしょうね。それなら最初から自分を主語にして「繰り返しご説明して皆さんにご理解いただけるように」と言ってくださいよ、簡単でしょ?!

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