◆ちゃんとしゃべれ!治納由気(はるなゆき)◆

変な日本語、敬語もどき、崩れていく日本語、そして、正しい日本語とハムスター。

「流出」と「流失」。

2009-11-25 20:22:26 | 気になる言葉、具体例
                           流れてるだけですやん
 「アリコ流出3万2359件に」というのを見て、ああ、またか、と思いました。「また」というのには二つあります。まず、アリコに限らず、情報流出というのはそう簡単には止まらないものなんだなぁということ。システムだ何だといってもしょせんは人間がかかわるわけで、人間のミスや不道徳な行いは完全になくすことはできないという悲しい事実、そしてもう一つ、この変な省略は何とかならないんだろうか、ということです。
 msnのトップページで「○○を撮影したテープ流失にがく然」というのを見て・・・というより、その画面の中で最も大きな文字だったので否応なく目に入ってきたのですが、あまりにもくだらないのでそれは無視しました。内容も内容ですが、「流出」を「流失」って・・・( ̄д ̄)ダラケッ! 無視したのに、結局こうして書いています。
 記者のいいかげんな仕事ぶりにあきれ、すぐにYahoo!に切り替え、トップページのニュースを見たのですが、「アリコ 情報流出者に1万円」と書いてありました。流出者に1万円ってどういうこと? なぜ加害者にお金? 訳が分からず、続きを読みました。情報が流出した事件の被害者に1万円の商品券を配ったそうです。
 確かに「流出」は「流れ出ること、流し出すこと」という意味ですが、「情報流出者」と書いてあるのを見て、すぐに「情報が流れ出た人(被害者)」と「情報を流し出した人(加害者)」との区別がつきますか? 私は「情報を流し出した人(加害者)」と受け取り、なぜ1万円なのか、罰金にしては少ないと思いました。
 「アリコ 情報流出被害者に1万円」と書けば誤解を避けられるのに、なぜそう書かないのか。字数制限のせいかと思って数えてみましたが、13.5文字までいけそうですから、「1」を半角にすれば、「アリコ情報流出被害者に1万円」でちょうど13.5文字です。「アリコ」はカタカナなので半角にできますが、社名は全角が原則ですからね。「アリコ流出3万2359件に」なんて、余裕で「情報」を入れられます。
 「流失」は、「失」ですから流れてなくなってしまうわけですが、○○を撮影したテープなんて、流れた先でコピーされ、それが流れてまたコピーされ、どんどんコピーされて広がり、なくそうと幾ら頑張っても完全になくなることはないでしょう。人の手によって流出したものは、垂れ流しの変な日本語同様、どんどん増えるのです( ̄_ ̄)ア~ア。
コメント
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