気の向くまま日記

とある凡人の日常から~
日常の生活のなかで感じたこと
日々の写真、食べ歩きなど気の向くまま綴っています。

お母さんの状態が変わると子供が笑顔に

2013年01月15日 | 臨床日記

先日3年ぶりに電話をいただいた方がありました。もの覚えが悪く、人の名前をすぐ忘れてしまう私ですが、この方のことは良く覚えていました。重度の自閉症のお子さんをお持ちのお母さんです。子供の調子が悪いので何とかしてほしいとのことでした。

重度の自閉症のこのお子さんは。人の言うことや文字の理解はある程度ありますが、会話はほとんど成り立ちません。常にブツブツとひとりごとを言っています。このひとりごとが、ここ数ヶ月、だんだんハイテンションに声も大きくなって非常に心配で困っておられるとのことでした。

私に予約をしたあと、今日はいつもより落ち着いています、との状態で連れてこられました。
お話を伺っている最中もずっと独り言が続いていましたが、それより私は、彼が母親を見るとき眉がつりあがっているような、ちょっとけげんな表情が気になりました。

まず彼の頭に手を当てて少しすると、あくびが出始めて、だんだん眠そうになってきました。
そしてある程度落ち着いてきたところで、私にはお母さんのほうが、気になったのです。

「お母さんが、苦しいんですね・・・」
「そうです。私が心配で恐怖なんです」とわっと泣き出されました。

今度はこのお母さんの胸の中に氷の塊のようになっている、不安、恐怖、ストレスを和らげ、取り除いていくと、お子さんのほうにおもしろい現象が起こりました。

なんと、先ほどまで眉のつりあがった怒ったような表情で母親を見ていた彼の顔が、だんだんとにこやかになり、目じりが下がり、ニコニコと笑い顔をしはじめたのです。これにはお母さんもビックリ。
「そういえば最近彼の笑った顔を見てなかったわ・・・」

母親の心配、恐怖を子供が敏感に感じてそれを表現していたんですね。
この方は、親が子供を何とかしたい、と連れてきたようで、じつは子供に親が連れてこられて、心配の種は本当は親の自分のほうにあったことに気づかれ、楽になっていかれたのでした。

 


最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。