日々是マーケティング

女性マーケターから見た日々の出来事

「軽自動車」に注目

2013-04-05 12:21:14 | ビジネス
先日発表された「新車販売台数」では、「プリウス」が「アクア」に首位の座を奪われた、と報道された。
いずれにしても、ハイブリッド車であるコトには変わりなく、「プリウス」よりもやや小型で足回りの良さそうな「アクア」を選ぶ人が増えた、と言うことだろう。
クルマのデザインから考えると、もしかしたら女性がハイブリッド車に乗るきっかけを「アクア」が創りはじめているのかもしれない。

そんな中、Yahooに掲載されるネット広告で増えているのが「軽自動車」だ。
ここ数日特に多いのが、スズキの「スペーシア」だ。
それに続くのが、スズキからOEM供給を受けるマツダの「フレア」
どちらもワゴンタイプのクルマで、一見すると「スペーシア」なのか「フレア」なのか判らない。
マツダがスズキからOEM供給を受けているのだから、当然と言えば当然なのだが、ネット広告を見る限りその違いが分からなさすぎて、「アレ???」と思ってしまう。

何よりこの2車種(と言うべきなのか?)、昨年秋にホンダが発売した「N BOX」にそっくりな印象で、益々「???」という印象を持ってしまうのだ。
もちろん、細かな部分でのデザインの違いはあるのだと思うのだが、素人目には一見して判らない。
ただ、この様な「似たデザインのクルマが登場する」と言うことを考えると、軽自動車の使われ方が今までとは変わってきているのかも知れない。

例えば、ラゲッジスペースの使い方。
これまでの軽自動車というと、「ママ・クルマ」というイメージが強かった。
「女性が買い物などに使う便利なクルマ」という位置づけだ。
ところが、提案されている使い方などを見て見ると「遠出」や「遊び」などの言葉が使われている。
広く設計されたラゲージスペースに、キャンプ用品やマウンテンバイクなどを載せて、「暮らしを楽しむ」提案を積極的にしているのだ。
それをより効果的にしているのが、燃費の良さということになるのだろう。

今までは「ママ・クルマ」という、「女性が買い物などに使う便利なクルマ=生活のクルマ」だったのが「生活を楽しむクルマ=暮らしのクルマ」へと変わり始めているのかも知れない。
もちろんホンダのN BOXが提案している、「介護の為に車いすなどを載せやすい」と言う点も見逃せない。
一般的なワゴン車が、余りこの点をPRしないことを考えると、介護の中心がまだまだ女性や高齢者である、と言うことだろう。

「軽自動車というクルマの使い方が、変わり始めている」、それが社会にどんな変化をもたらすのだろう?
少なくとも、小型車への影響があるのではないか?
そんな気がする、この頃だ。

意外に思えて、地元民からすれば当然?

2013-04-04 12:58:29 | ライフスタイル
昨日の産経新聞に、松江にオープンしたスターバックスが、開店初日売り上げが全国店舗最高だった、と報じていた。
松江のスタバ、開店初日の売り上げが全国店舗の最高を記録

記事の内容を読むと「意外な結果」という印象がある。
しかし、地元の人達からすれば当然!と言う気がしているのでは?
と言うのも、松江には古くから珈琲専門店がいくつかあり、珈琲そのものを楽しむ人が多かったからだ。
それだけでは無く、松江市のお隣・安来には「カフェロッソ」と言う、世界バリスタチャンピオンシップで準優勝をし、数年前は、某コンビニの「達人の珈琲」という商品を監修していらっしゃっていた方が開いた珈琲専門店がある。
西に行けば、石見銀山近くの大田市にはイタリア・カフェ・カリアーリの日本代理店・山内交易のお店がある。
島根県では無いが、お隣の米子には楽天のショップ・オブ・ザ・イヤーを連続で獲得している「澤井珈琲」がある。

都会に人達からすれば、「カフェ」と言うオシャレな雰囲気とはかけ離れた田舎と言う印象なのかも知れないが、決して「コーヒー」を楽しむ文化が無かったわけではない。
むしろ、松江などは「不眛流」という独特の茶道の文化があり、お茶を楽しむことそのものが、日々の生活の中に溶け込んでいる。
その流れとして、コーヒーを楽しむと言うことも、ごく普通のこととしてあったのだ。
もしかしたら、テイクアウトのカップやマグを持って、足早にオフィスに向かう都会の人達よりも、ゆっくりと楽しむ時間を持っているかもしれない。

むしろ、オープン初日の売り上げが多かった分、その後が大変だと思う。
「物珍しさ」が無くなったとき、スターバックスの実力が試されるからだ。
もし今後撤退ということがあれば、「田舎だから、集客出来ずに撤退した」と思われるかも知れないが、決してその様な理由ではない、と言う可能性もある。
何故なら、上述した通り既にコーヒーの名店と言われる様なお店が、普通に松江周辺にはいくつもあるからだ。

ところでスターバックスのコーヒーって、価格に対して美味しいのだろうか?
「スターバックス」という雰囲気を売っていて、その雰囲気に価値を見いだしているファンが多い、と言う気がするのだ。
その「雰囲気」も「タリーズ」のようなライバル店も登場し、「カフェ」というスタイルと雰囲気だけでは、難しい時代になってきているのでは?と、感じているのだが・・・。

「お手本」では無くなった、女性誌

2013-04-03 19:07:31 | ライフスタイル
今週、ある女性誌が創刊した。
幻冬舎が、Gift社という会社を創って出版した「Dress」と言う雑誌だ。
書店で、パラパラと見てきたのだが・・・何だかな~と言うのが率直な感想だ。
と言うのも、とにかく広告が多い。
記事なのか広告なのか判らない程、多い。

それだけでは無く、「この雑誌何が言いたいの?」と言う気になってしまうのだ。
読者は「40代のファッションや美容に敏感な女性」を対象としているようなのだが、今の40代の女性って、こんなこと考えているのかな?という疑問と、本当の読者として考えているのは、案外30代の独身女性なのでは?と言う気がしたのだ。
やや高め年齢の読者を設定し、雑誌で紹介されるようなライフスタイルに憧れを持つやや下の世代を、本当の読者層として考えているようなファッションや美容の紹介だったからだ。

かつて「JJ族」という言葉があった。
雑誌「JJ」に掲載されている、ファッションやヘアスタイル、メイクをお手本にした女子大生達のことだった。
雑誌に登場するモデルも「読者モデル」と呼ばれる、素人モデル。
ただし、東京の有名私大に通う華やかな雰囲気の学生に限定されていた。
その「東京の有名私立大に通う女子大生」が、全国の多くの女子学生(高校生も含まれていた)の一つのライフスタイルのお手本でもあった。

以来、女性雑誌の多くは「各世代のライフスタイルのお手本」になった。
残念ながら、私はこの手の女性雑誌には縁が無く(と言うよりも、全く似合わなかった)、傍観者的立場で見ていたのだが、最初の「JJ族」がOLになると、新しい雑誌が創刊され留様になり、その出版スタイルが現在まで続いている。

休刊になった「Glitter」は、「JJ」とは全く違う傾向のファッションだったが、「ライフスタイルの提案」という点では、同じだった。
ところが、今の30代から若い世代の女性達にとって、女性誌そのものが「ライフスタイルのお手本」では無い様に感じるのだ。
理由は「ライフスタイルの多様性」だ。
30代、40代になっても、独身の女性は多い。
独身といっても結婚経験者と言う女性も、増えてきている。
とすれば、「独身女性を読者層に」と考えても、未婚独身者と結婚経験独身者とでは、全く違う感覚を持っていても当然だし、違っているのが当たり前だ。
「JJ族」と呼ばれる女子大生が誕生する様な要素が無いのが、今のだと思う。

これから先登場する女性誌は、ステレオタイプ化した読者を想定するのではなく、雑誌そのものの「個性」で、読者を獲得して行く時代のような気がする。


日本の醸造技術の高さを活かせないか?

2013-04-02 12:53:28 | ビジネス
朝日新聞のWEBサイトを見ていたら、日本の酒造メーカーがイギリスのウィスキーコンペティションで「世界最高賞」を受賞した、と言う記事があった。
受賞したのは、鹿児島に本社を置く「本坊酒造」と言う、焼酎などを中心に造っている企業。
本坊酒造ニュースリリース(注意:pdfファイル)
HPを見ると、ウィスキーだけでは無くワインなども造っているようだ。

このニュースを読んで思ったことが、日本の酒造メーカーの醸造技術の高さだ。
日本で洋酒メーカーと言えば、サントリーやニッカウィスキーを思い浮かべる方も多いと思う。
サントリーの「山崎」と「白州」は、本坊酒造とは違うウィスキーの世界コンテストで、をここ2,3年連続受賞をしている。
ワインなども、日本のワインは海外でとても評価が高い、と言う話もよく聞かれるようになってきた。
3年ほど前には、「白雪」のブランドでおなじみの小西酒造が、独で開かれたビールのコンテストのベルギービールの部門で金賞を受賞している。

日本酒や焼酎などは、日本生まれの日本育ちの酒類。
それらのお酒が美味しくても当然といえば、当然だろう。
しかし、ビールやワイン、ウィスキーとなると話は別。
お酒に対する文化や社会的背景、歴史などが全く違う。
何よりワインやビール、ウィスキーの本場である欧州各国には、世界に名をはせる醸造メーカーが沢山ある。
その様な本場で、高い評価を受ける日本の酒造メーカーの実力とは?と、考えるとやはり高い醸造技術だと考えるのだ。

先日、産経新聞にはサトウキビから同時に砂糖とエタノールを増産させると言う技術を、アサヒグループホールディングスが開発した、と言うニュースを報じていた。
産経新聞「すごいぞ!ニッポンのキーテック」砂糖とバイオエタノールの同時増産 食料・燃料危機も一挙解決!
この砂糖とバイオエタノールの同時増産の技術も、醸造技術の一つだとすれば、日本の醸造技術は世界でもトップクラスの高い技術力を持っているのではないだろうか?

そう考えると、日本の高い醸造技術はもっと多方面へと活用できるのでは?と、思ってしまうのだ。
もし、その様な技術転用が出来れば、バイオエタノールにしても海外依存では無く、国内生産で十分まかなえる様になるかも知れない。
それだけではなく、醸造所が自然豊かな地域にあることを考えると、地方の新しい産業になるのではないだろうか?

「普通の会社になる」って、どんな会社になるの?

2013-04-01 14:35:02 | ビジネス
今日から4月。
企業だけではなく、国や地方の自治体でも「新社会人」を迎えた。

Yahooのトピックスでは、パナソニックの入社式を取り上げていた。
津賀社長の訓示が「普通の会社に・・・」と言うことだったようだが、その「普通の会社」って、どんな会社なのだろう?と思ったのだった。
おそらく津賀社長の言いたかった「普通の会社」というのは、「赤字経営では無い会社」という意味だったのでは?と、想像をするのだが、やや言葉足らずという印象がある。

産経新聞2012.10.31掲載「普通の会社ではない」パナソニック社長、巨額赤字に厳しい表情

確かに、今のパナソニックは薄型テレビなどの不振により、巨額赤字経営の状況にある。
でも、それは新入社員には関係のないコト。
巨額赤字を計上してしまったことに対して、新入社員達に言うとすればもっと他の言葉なのでないだろうか?
なぜなら「普通の会社」といっても、「どんな会社なのか判らない」からだ。
「赤字経営では無い会社」が普通の会社なのか?と問われた時、それだけで「普通の会社」と言えるのだろうか?
「巨額の赤字を出している」という点では、「異常な経営状態にある」と言えると思うが、だからと言って、「赤字経営では無い=普通の会社」だとは言い切れないはずだ。

例えば、赤字経営をしていない企業でも、社会から批判されるような企業は「普通の会社」だろうか?
監督官庁から業務停止命令を受けた金融会社であっても、「普通の会社」と言えるのだろうか?
おそらく、生活者の感覚から言えば「NO!」だと思う。
社会の一員として果たすべき責任を全う、初めて「普通の会社」と言えるのではないだろうか?

そしてこの「社会の一員として果たすべき責任」を全うすることこそ、とても難しいことだと思う。
何故なら、社会の変化は企業が思うよりも速く、生活者の意識変化に多くの企業がついて行けていない、と言うのが現状だからだ。

高度成長期の頃のように市場が未成熟の頃であれば、企業はモノさえ作ってさえすれば良かった。
生活者のことなど考える必要も無ければ、同業他社と同じようなモノでも生活者は満足をした。
ここ20年ほどは、「生活者の満足度」を満たす為に、他社との差別化に励んだ。
ところが「他社との差別化」が、生活者側から見た時判らない程の差別化になってしまった、と言うのが今だと思う。

そう考えると、「普通の会社」と言うことそのものの定義が、曖昧過ぎてわかり難くなっているのではないだろうか?
もし、津賀社長が「とても厳しい経営環境ではあるが、イノベーティブな企業に変わるために、君たちの力を貸してほしい」と話したのであれば、新入社員だけでは無くニュースを知った生活者も「パナソニックが、変わりはじめたのでは?」と感じ、大きな企業メッセージとなったはずだ。

目指すトコロは、「生活者から支援されながらイノベーティブな社会を創る企業」だと思うし、それがこれからの「普通の会社」だと思う。
そのために、津賀社長以下新入社員を受け入れたパナソニックの社員一人ひとりが、社会から応援されるビジネスパーソンに変わる必要があると思う。
それは何もパナソニックに限ったことではないのだが・・・。