日々是マーケティング

女性マーケターから見た日々の出来事

その発想で、人はついてくるのかな?

2013-04-23 16:31:48 | ビジネス

今朝の朝日新聞をご覧になられた方は、ビックリしたのではないだろうか?
ユニクロの柳井さんが「世界同一賃金」という考えを発表したからだ。
いくら「グローバル企業」といえども、おそらくその様な賃金形態の企業というのは、無いと思う。
多くの場合、それぞれの国や地域の生活水準のようなモノを参考にして、職務内容を検討したうえで賃金体系を決めていると思うからだ。
それを、職務内容が同じであれば全く同じにする、と言うのだ。大胆と言えば大胆な発想だし、従業員に求めている「付加価値性の高い仕事」というコトは、バブル崩壊後随分言われてきたことではあるのだが・・・何となく、ユニクロという企業で働く人のことを、どのように思っているのだろうか?と、疑問を感じてしまった。

私が疑問に感じた一つが「付加価値性」という、きわめて主観的な価値をどう判断するのか?と言う点だ。
「付加価値性」と言っても、それこそ決められた基準がある訳では無い。それを判断するのはあくまでも判断をする人の主観に頼らざる得ない所がある。
そして残念ながら人というのは、判断をする時にバイアスのようなものがかかってモノを見てしまう傾向がある。
「馬が合わない」人に良い評価をすると言うのはなかなかできない、と言う経験はないだろうか?「付加価値」というと、何となく客観的な印象があるのだが、実はとても主観的で判断をする人の「胸先三寸」と言うトコロがあるのだ。その様なコトを考えた上で、柳井さんは「付加価値性の高い人には高賃金」ということを言っているのだろうか?

もう一つが「グローバル経済」の解釈だ。柳井さんは「グローバル経済というのは『Grow(グロウ) or(オア) Die(ダイ)』(成長か、さもなければ死か)」、と話していらっしゃる様だが、それは高度成長期の発想のような気がする。
確かに、企業は成長が必要だと思う。しかし成熟した社会では高度成長期のような成長は見込めない。
ユニクロが力を入れている新興国であっても、いつかは成熟経済となる日はやってくる。とすれば、成熟経済の中でのグローバル経済という視点が必要だと思うのだ。
新しい商品をどんどんと買い換え、そして消費をしていく・・・そんな生活指向そのものが薄れつつある日本で、柳井さんの言う様な「成長か死か」という、単純な発想の中での「付加価値性」というのは、符合していない様に感じるのだ。

そして「ブラック企業」という指摘だが、おそらくこの3月か4月に報道された「就業者の定着率の悪さ」や「サービス残業の多さ」、経験をほとんど積むコトが無く責任者となるような人事システムによるモノだろう。
この報道を見た時、ユニクロと言うよりも柳井さんの「人への冷たさ」のようなものが、批判されていると感じたのだがご本人は余り感じられていらっしゃらないようだ。
今の生活者は、この様な企業姿勢や経営者の考えに敏感に反応をする。柳井さんは、そのことを知っていらっしゃるのだろうか?
商品への共感性はあっても企業として共感されないとなると、とても厳しいのでは?そんな気がするのだ。