日々是マーケティング

女性マーケターから見た日々の出来事

白戸家の新しい展開

2010-09-05 06:53:22 | CMウォッチ
ソフトバンクのテレビCMが、新しい内容になった。
「敬老の日」にあわせた、モデルの紹介だ。

「敬老の日」にあわせた新型モデルのテレビCMと言っても、ソフトバンクだけが新しくなったわけではない。
docomoにしてもauにしても、いわゆる「高齢者向け携帯電話」のテレビCMは展開をしている。

ただ、ソフトバンクと他社との大きな違いは、他社が「高齢者でも使いやすい」と言うコトをPRポイントとし、「携帯電話がある生活の便利さ」と言ったことを説明するコトに終始しているのに対し、ソフトバンクは「白戸家」のおばあちゃん(若尾文子さん)が、いきなり新しいおじいちゃん(松田翔太くん)を、箱根の温泉宿で紹介をする。と言う展開になっている。

確かに、CM中おばあちゃんが携帯電話を操作する場面があるのだが、受け手である視聴者にとっては、その携帯電話の操作のし易さ(=高齢者向け携帯)と言うコトよりも、孫である上戸彩ちゃんよりと同世代の男性(松田翔太くん)と結婚した!と言うコトのほうに、驚き・目を奪われる。
余りにもインパクトが強すぎて、操作のし易さ(=高齢者向け携帯)と言うコトなど、忘れてしまいそうになるCMだ(もちろん、「ただ友」のCMも兼ねているだろう)。

もしかしたら、このCMの目的は「使いやすい携帯を使うと、驚きのある出会いがある」と言うコトなのかも知れない。
「驚きのある出会い」と言うより、「驚きがありすぎる出会い」と言う気がするのだが、そこはテレビCMという世界。
大袈裟すぎるほどの演出のほうが、視聴者には強い印象を与えることができる。
その意味で、他社のCMと大きく違う内容になっている。

このCMの前のソフトバンクのCMを、覚えていらっしゃる方はいるだろうか?
「海外パケット1日定額・使い放題」と言う内容のCMだったのだが、CMそのものは、2、3年ほど前に放送したCMの焼き直しだった。
おそらく、焼きなおされたCMも「海外通話」をテーマにしたCMだったのだと思うのだが、「海外」と言う点で使いまわしをしながら、着々と視聴者が驚くような展開を用意していたようだ。

ソフトバンクのCMには、どこか驚きやクスッと笑ってしまうユーモアの要素が含まれている。
それだけではなく、「選挙編」のように社会的テーマを使って仕掛けをしている。
単に、サービスやモノをPRすると言うのではなく、様々なストーリーと「次は?」と言う期待をもたせながら展開することで、「白戸家シリーズ」は息の長いCMとなっている。

それにしても・・・おばあちゃんは、一体どこで若いおじいちゃんとなった青年と出会ったのだろう?
いくら「ただ友」で話が弾んで、電撃的に結婚をしたとしても、その出会いが気になる。

野田聖子さんの妊娠

2010-09-03 21:43:36 | 徒然
既に一部の週刊誌などで話題になっている、衆議院議員の野田聖子さんの妊娠。
国会議員である女性が、妊娠⇒出産と言うコトが特別なことではなくなりつつある今、妊娠そのものは、特別なことではないと思う。
ただ、野田さんの場合自然な妊娠ではないと言うコトと、半端な高齢出産ではないと言う点で、様々な話題・問題を提議している。

私個人としては、
1.今妊娠⇒出産と言うコトになれば子どもが成人する頃は、70歳という高齢者である。
2.女性の性的能力が衰えはじめているコトを考えると、妊娠そのものが大きなリスクである。
3.第三者から提供された受精卵による妊娠は、出産後トラブルになるのでは?と言う懸念。
4.養子縁組など、国会議員として問題を提議し、社会に問うコトを考えなかったのか?と言う疑問
などがある。

1についての問題は、あくまでも野田さんのご家庭の問題なので、他人の私がアレコレ言う必要はないと思う。
ただ「子どもの成人と介護」が同時期に発生する可能性があると考えると、子どもの人生を自分の介護に費やすのでは?と言う気がする。
とすれば、余りにも高齢な出産は「当事者である親のエゴでは?」とも思えてくる。

2についてだが、実は私自身が野田さんと同世代であると言うことと、その私が今年大きな体の変化を遂げたと言う点で、「女性としての体の変化を受け入れる」と言う考えがなかったのか?と言う疑問がある。
拙ブログに来られる方の多くが男性なので、余り興味のないことだと思うのだが、女性の49歳~50歳という年齢は、閉経の時期と重なる。
言い換えれば、子どもが欲しくても妊娠ができない年齢と言うコトなのだ。
体力云々ではなく、女性の体の大きな変化と言う点で、相当無理な妊娠と言うコトなのでは?と思うのだ。
そのことは取りも直さず、母体にも胎児にも大きなリスクがあると言うコトなのだ。

3については、「代理出産」などでも問題になった点だ。
「自分の体の中で大きくなってきている胎児が、自分とは血のつながりのない胎児である」と、頭で理解していても、フッ時に思わぬ行動となって子どもを傷つけるのでは?と言う不安が、心の狭い私などはよぎってしまうのだ。

4は、国会議員として「子どもが欲しくても持てないご夫婦」と「虐待される子どもたちの増加」を結びつける重要な活動なのでは?と思うのだ。
確かに、日本の社会では「嫡子」と「養子」とでは、見る目が違うと言う現実がある。
野田さん自身も、養子縁組を考えなかったわけではないようだが、申請時に「高齢」を理由に断られたらしい、と雑誌の記事にあった。
しかし、今の野田さんが妊娠⇒出産⇒育児と言う時間を考えれば、どちらが「高齢」なのだろうか?
野田さんのように、社会的地位が有り、経済的にもシッカリとした基盤がある人が、そのような理由で断られたとすれば、日本での「養子縁組」はますます難しくなってしまうのでは?

そして、このような問題は「女性の問題」ではなく、男性を含めた「社会の問題」だと思うのだ。

「ツムラ」と「バスクリン」-社名変更の背景にあるモノ-

2010-09-01 21:14:13 | ビジネス
今日の新聞に、大きな広告が掲載されていた。
「バスクリン」でお馴染みのツムラ・ライフサイエンスが、「株式会社バスクリン」と言う社名変更の案内の広告だ。

先日、毎日新聞の「ず~っと愛して:ロングセラー物語」と言う企画記事に、「バスクリン」が取り上げられていた。
日本で初めて「入浴剤」を製造・販売をしたのが「津村順天堂」で、その商品名が「バスクリン」(発売当初は「浴剤中将湯」)だった。
昭和40年代に入ると、イロイロな企業が「入浴剤」が製造・販売をするようになり、その後「温泉シリーズ」、今では海外ブランドやハーブで作られたバスソルト、手作りバスボムなど、お風呂場には様々な「入浴剤」が一般家庭に置かれるようになってきた。

その走りとなったのが、ツムラの「バスクリン」だったのだ。
もちろん、単なる「入浴剤」と言うのではない。
あせもやしっしん、冷え性の改善といった、薬効もある。
むしろ、漢方薬を作っていた「津村順天堂」としては、「お風呂に入れる薬剤」と言うような意味合いの方が大きかったようだ。

昭和40年代から、急速に「入浴剤」を製造・販売する企業が増えたのには、理由がある。
それは「内風呂」が増えたからだ。
「内風呂」がまだまだ少なかった時代には、「入浴剤」と言う市場は、とても規模が小さいモノだった。
住宅事情の変化で、「内風呂」が一般的になり、同時に「入浴剤」と言う市場も広がるコトになったのだ。

それから、時代を経て「ツムラ」と言う企業名と商品名「バスクリン」が、合致し難いという状況が生まれはじめたと言うコトなのではないだろうか?
それが、今回の社名変更に繋がったのだろう。

むしろ、「ツムラライフサイエンス」と言う名前ではなく、「バスクリン」と言う名前に変わったコトで、「お風呂で使うモノ」と言う特化性のあるモノづくりが出来やすい環境ができたとも、考えられる。
逆に、「ツムラ」自体はより「漢方」をキーワードとした医薬品作りがしやすくなったのではないだろうか?
そんな気がした、新聞広告だった。