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日本の音楽業界も、グローバル市場を意識する時代なのでは?

2020-12-09 13:40:18 | ビジネス

Yahoo!のトピックスを見ていて「MAMA」という音楽賞の記事が、いくつか上がっていた。
どんな音楽賞なのか?と思い調べてみると、「Mnet」という韓国の音楽専門チャンネル(?)が主催している「音楽賞」ということが分かった。
しかも賞を決めるのは、どうやら視聴者を対象とした「人気投票」のようだ。

ただその名前にやや驚いたのだ。「アジア最大級の音楽賞」と銘打った賞だったからだ。
確かにこの音楽賞に参加している国は、韓国だけではなくマレーシア、インドネシアなどアジアの国々が入っている。
しかし、主だった賞の候補となり受賞しているのは、当然のことながら韓国出身の人たちだ。
これが「アジア最大級の音楽賞と言われてもな~」というのが、率直な感想なのだが、その一方で日本の音楽業界は、アジアを含めた日本以外の国々で積極的にプロモーションを展開してきていなかったのでは?という、気がしたのだ。

日本からは昨年はKing-Gnu、あいみょん、今年Official髭男Dismが「Best Artist Japan」として選出されているが、それはあくまでも日本代表のようなものであり、この賞の主要部門ではない。
だが、日本で人気となっているミュージシャンやバンドのYouTubeなどを見てみると、案外アジアを含む海外からのアクセスコメントが多いことに気づく。どのような方法でYouTubeにアクセスをしてきたのかは不明だが、確実にアジアを含む海外のファンを獲得しつつある、ということがわかる。

今のミュージシャンやバンドの多くは、メジャーデビューをする前からYouTubeなどで、自分たちの楽曲を発表し音楽を発信している。
上述したKing-Gnuやあいみょんなどはデビュー当初から、YouTubeだけではなくSpotifyやAppleMusicのようなストリーミングなどを使って、積極的に日本以外の国々の人たちがアクセスし易いようなアプローチをしてきた。
その結果が「MAMA」の受賞ということになったのだと思う。

ただ、日本の音楽市場と韓国の音楽市場とでは、市場規模が全く違う。
日本のほうが、圧倒的に市場規模が大きいのだ。
そのため、海外を意識しなくても日本国内でヒット曲が出れば、それでレコード会社などは満足だったのではないだろうか?
市場規模が小さいからこそ、韓国の音楽業界はいち早く日本での韓流ブームが起きればその波に乗り、アイドルグループをデビューさせたりしてきたのだろう。
昨年、日本でも話題になった「防弾少年団」等は、今年に入り活動の場を米国に移しBTSという名前で活動を始めている。
今年の夏頃?、ファンの熱心な活動のおかげ(?)もあり、米国の音楽チャート雑誌・ビルボード誌のシングルチャートの1位を獲得している。
このようなことからも、韓国音楽業界全体が相当積極的に、グローバル市場を意識した戦略を立てている、という印象がある。
もちろん、アジア市場の中でも最大規模の日本市場でも、その戦略は抜かりない。
今年のNHKの紅白で「CDデビューもしていないのに、何故出演が決まったのか?」と話題になった、NiziUはソニーエンターティメントと韓国のJYPエンターティメントの共同プロジェクトで生まれた、韓国と日本の混成アイドルガールズグループだ。彼女たちの人気の後を追うように、「Jo1」というボーイズグループも登場している。
ただBTSにもNiziUにも共通していると感じるのは、似たり寄ったりのアイドルグループという印象を持ってしまう、という点では、BTSの成功体験をそのまま引きずっているのでは?という、気がしている。

それに対して、昨年MAMAで日本代表として選ばれたKing-Gnuにしても、今年選ばれたOfficial髭男dismも音楽的個性が、それぞれあって面白い。
もっと言えば、久しぶりにアルバムをリリースしたミスチルや、今年メジャーデビューを果たした藤井風など、バンドやミュージシャンとしての個性があり、バラエティーに富んでいる。
だからこそ、一音楽ファンとしては残念に思うのだ。
日本の音楽業界は、グローバル市場に乗り遅れているのでは?と。