日々是マーケティング

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今だに「Go Toトラベル」にこだわる理由は、何故か?

2020-12-15 20:00:20 | アラカルト

昨日の夕方「Go Toトラベル」の全国的一時停止が、決まった。
期間が12月28日~来年1月11日までという、「お正月休み期間」の「Go Toトラベル」利用停止ということになった。
ただ「遅きに失した」という言葉が、当てはまるような判断の遅さだったように思う。
実際、今日の一部新聞報道などによると、この決定が遅かったことで年末・年始の予約が入っていたホテルなどの宿泊施設などは、その対応に追われている、という記事もある。
日経新聞:新型コロナ Go To一時停止、近畿の観光地落胆 対応に追われる

「近畿の観光地」となってはいるが、同様の対応を迫られているのは、全国の観光地も同じだろう。
停止となる28日の2週間前では、現場となる宿泊施設などの混乱は想像できる。
もちろん「Go Toトラベル」を利用しない宿泊であれば、問題はないので個人での利用に切り替える、という方法もあるだろう。
そのような方法で、「経済を動かす」ということを考えられている方の行動を制限することはできない、と思っている。

今日、「第3次補正予算案」を閣議決定している。
讀賣新聞:Go Toトラベル延長に1兆311億円、第3次補正予算案、閣議決定

やはり注目してしまうのは「新型コロナ対策費」ということになるのだが、こちらの予算は1兆3011億円。
延長される「Go Toトラベル」は、見出しにある通り1兆311億円。
何となく、バランスの取れていない予算配分のように感じるのは、私だけではないと思う。
「観光対策費」としての金額が、多すぎるような気がするのだ。

今回の「新型コロナ」の感染拡大によって、医療の現場が疲弊しているだけではなく、非正規雇用者の多くが職を失ってしまっている。
東京新聞:就業者数93万人減 11年ぶり減少幅 非正規をコロナ直撃85万人減<総務省調査>

「経済を動かし、気兼ねなく観光が楽しめる」という社会環境を整えることが急務である、ということが雇用調査からもわかるはずだ。
職を失った人が、「Go Toトラベル」を利用して観光に出かけよう!という、気分が生まれるとは思えないからだ。
既に多くの生活者が、「感染リスクを考えた生活」をしていることを考えると、自分が感染してしまった時、安心して治療が受けられるという体制づくりがされていないと、日々の生活そのものにも不安が起きる。
そのような生活者の気持ちを考えれば、当然予算配分は違ってくるのではないだろうか?

菅総理の後ろ盾である二階幹事長は、全国旅行業協会の会長をしているので、「Go Toトラベル」を一時的にでも止めることに反対だった、と言われている。
しかし「旅行に行きたい!という気分を創り出すのは、「Go Toトラベル」のようなキャンペーンではなく、「新型コロナ」の収束なのではないだろうか?

今回の「新型コロナ対策」における政府の後手後手ぶりは、生活者よりも業界団体の意向を優先させた結果、その業界団体に関連する現場で働く人たちを混乱に陥れ、業務を煩雑にさせているだけではないだろうか?