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女性マーケターから見た日々の出来事

キム・カーダシアンの老獪なビジネスプラン

2019-07-02 17:53:37 | ビジネス

同じ人物が起こした出来事で、3日連続で取り上げたことは無いはずだが、今日もキム・カーダシアンについてだ。
予定としては、今日で最後としたい。

今朝、キム・カーダシアン氏が「KIMONO」のブランド名を使用しない、と発表をした
WWDJapan:キム・カーダシアンが自身の下着ブランド「キモノ」の名称変更を発表 SNSでの批判を受け

一連の関連となるエントリのはじめとなった6月30日で、「炎上商法では?」という指摘をさせていただいたのだが、本当に「炎上商法」だったようだ。
何故なら、新ブランドの発表が6月の下旬。発売が7月。
これほどの短期間で、社会的に自分のブランドを印象づけ、販促をするとなると膨大な宣伝費用が必要になる。
逆に、炎上でも何でもよいから認知度をあげる為には、センセーショナルな手段がどうしても必要だったはずだ。
その騒動から発売する7月に合わせて、ブランド名の変更の発表。
全てのタイミングが、良すぎるのだ。
だからこそ、人の心を逆なでるような方法であっても、知名度を上げるために「炎上」という方法を取ったのでは?と、思ってしまうのだ。

そして今回の「新ブランド名を『KIMONO』ではなく、新たな名前を付ける」という発表についても、「なるほどな~、SNSで非難を買い、自分の至らなさを強調することで、恩を売ったような幕引きをしてきた」という印象と、肝心な「KIMONOについての商標登録の取り下げ」をした「英断を下した」ような見せかけの表現で逃げた、ということが彼女がInstagramに掲載した文章からも、良く分かる。

Instagramに掲載した内容は、以下の通り。

「起業家として自分の力で成長し続けることは、私の人生において最もやりがいのある挑戦の一つです。これまでそれを実現できたのはファンや皆さんとのダイレクトなコミュニケーションがあったからこそ。私は常に耳を傾け、学び、そして成長しています。皆さんから届いた情熱とさまざまな見解に心から感謝します。シェイプウエアブランドの名前を発表したとき、私は考え得る最高のアイデアとしてそう名づけました。私のブランドと商品は、インクルーシビティー(包括性)とダイバーシティ(多様性)が基礎にあり、慎重な検討の結果、新しい名前でソリューションウエアブランドを立ち上げることに決めました。近いうちにお知らせします。いつもご理解とご支援をありがとうございます」

文章をよく読んでほしい、翻訳文ではあるが「商標を取り下げた」とは、一言も書いていない。
逆に、「自分は人の意見を聞き、学ぶことができる常識人であり、人種を超え多くの人達から愛される商品を提供するビジネスパーソンである。間違いを指摘してくださった方に感謝できる人間である」という文になっている。
穿った見方と言われるかもしれないが、掲載をした彼女の文章からはそのような裏を感じ取るのだ。
だからこそ、この発表後日本を中心に「英断である」とか「賢明な判断に感謝」と言う言葉をSNS上で見るたびに、キム・カーダシアンの老獪さを感じてしまうのだ。
何より、このブランド立ち上げの為に「kimono.com」というURLは、既に登録済みであり、おそらく今後このURLを手放す気はないだろう。

今後、米国での商標登録の申請がそのまま認められるのかは、まだ不明だ。
ただ、今回の騒動で日本は多くのことを学ぶ必要があると思う。
一つは、キム・カーダシアンが商標の対象としている分野は「衣装」だけではなく、「靴やバッグ、アクセサリー」など広範囲であり、それらすべては、着物を着るにあたって必要な道具である、という点だ。
このような関連をする分野にたいする商標登録というのは、日本でも当たり前のことではあるが、どれか一つでも引っかかると着物産業の企業が米国でビジネス展開をすることができなくなる、ということにもなる。

着物産業の中心である反物や帯をつくる産業のいくつかは「(日本の)伝統工芸」として保護されてきたた。
ただ、着物はそれだけで着ることはできない。
帯締めに使われる組みひも、帯留めなどは小さくてもブローチ以上の存在感を持つ、着物や帯を引き立てる重要なアイティムだ。
場合によっては、僧侶が使う数珠なども最近では「お守りブレス」として着用する人が多いが、海外の人から見れば「ストーンブレス」となるだろう。それらは当然のことながら「アクセサリー」という範疇でとらえられるはずだ。

日本の企業が中国へ進出しようとしたとき、既に使いたい商標が登録され使うことができなかった、という話を度々聞くが、今回の場合、複数の零細な企業の存亡にまで影響を及ぼす可能性もある商標登録だったのだ。
まして着物産業は衰退と言われて久しいが、海外では「着られるアート」のようなかたちで評価が年々高まりつつある。
関連企業、関連団体はこの機会をピンチをチャンスととらえ、日本の衣装文化の情報発信などを戦略的に行ってほしい、と思っている。

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