昨日某大学で開かれた、サイエンスセミナーの公開講座に出かけた。
毎年、10月くらいからほぼ毎日のように、名古屋市内のあちらこちらで「サイエンスセミナー」が、開かれる。
あいちサイエンスフェスティバル公式
規模も、大学の大きなホールを使う講座から、仕事終わりの時間に合わせ、30人余りがカフェに集まるようなトークイベントまで、様々だ。
内容も、幼稚園~小学生向きの植物や小動物の観察、プラネタリウムを作ってみるという内容から、研究者の研究成果を発表するような内容まで、実に様々で、中には「サイエンス」とは関係が無いのでは?と、思われる講座を含め100近くある。
元々「筋金入りの文系」の私にとっては、「異文化」のような世界の話を聞きに行くことになる。
昨日の公開講座は、「触媒」というテーマだった。
興味もあまりなく、出かけたのだが、講座が始まり驚いた。
講演者である工学部の教授が、いきなり「破壊的イノベーション」の話をしたからだ。
ビジネスパーソンであれば、幾度となく聞いたコトがあるはずの「破壊的イノベーション」という言葉。
「これまでの既成概念を打ち壊す、社会的影響力のある変革」という意味だが、このようなビジネスで使われる言葉が、大学の研究者が意識している、ということに、とても驚いたのだった。
そして研究者も「破壊的イノベーションを起こすこと」が重要である、という趣旨の話をされたのだった。
それだけではなく、日本人ならではの感性や和を重んじる精神を持っているのは、日本人独特のもの。
だからこそ、日本人らしさを持ったオリジナルな破壊的イノベーションを目指す必要がある、と力強くお話しをされたのだった。
この日本人らしさを持った、オリジナルな破壊的イノベーションの成功例が、中山伸弥教授の「iPS細胞」である、というお話もされていた。
もっとも、その後の本筋である「触媒」の話は、化学式の連続で言葉の意味は理解できても、内容の理解には至らなかった(苦笑)。
考えてみると、このようなお話しが気軽に聞きに行けるのも、おそらく名古屋だからだろう(このサイエンスセミナーは、蒲郡や豊橋でも開催されている)。
東京であれば、このような普段聞くことができないような、学術的な話を聞く機会はもっと多いのではないだろうか?
逆に地方であれば、このような話を聞く機会そのものが、ほとんどないのでは?
上述したように、この「サイエンスセミナー」は、幼稚園~小学生までを対象としたセミナーも数多く用意されている。
もし子供の頃から、このようなセミナーを通じて科学の面白さを知ることができたら、その子供たちの将来に与える影響は大きいと思う。
と同時に、このような地域的な学術セミナーの有無というのは、ある意味「教育機会の格差」ということになっているのではないか?という、気がしたのだ。
都市部にある大学は、積極的に地方に出かけて様々な「公開講座」を開いてほしい、と思ったのだ。
子どもの頃から、知的好奇心を刺激するような環境の地域格差は、将来の子どもたちにとってデメリットはあってもメリットはないのでは?
そしてそのような子供たちを支援できるようなシステム(例えば、給付型奨学金など)を考えるのも、政治家の仕事の一つのような気がするのだ。
もちろん、その前に解決しなくてはならない「貧困家庭への支援」を忘れてはいけないのだが・・・。