フォーブスに掲載されている「コーチの社名変更」の記事が、Yahoo!のトピックスにピックアップされていた。
フォーブス:社名変更の「コーチ」を待ち構える厳しい現実
コーチが、「タペストリー」という社名に変更する、という話は既に報道されている。
ご存じの方も多いと思う。
個人的には、何故今なのか?という疑問があった。
他のファッションブランドを傘下に置く為に、買収をしたからといって「コーチ」という社名を変えるというのは、それまで創り上げてきた「コーチ」という、ブランド力を一度リセットさせるのでは?と、思ったからだ。
現在のコーチの主力商品である、バッグなどに関しては今まで通り「コーチ」という名前を引き継ぎ、新たなファッションブランドグループをつくる為の社名変更、ということのようだ。
記事にある通り、ファッション業界には数多くのブランドが存在するが、その多くはわずか数グループの企業集団の中に組み込まれている。
「組み込まれている」という表現は、心地よいものではないかもしれない。
現実には、LMVHモエ ヘネシー・ルイ・ヴィトンという一大勢力に対抗するように、ケリング、リシュモンというグループが存在している。
特にLMVHの場合、名前が表す通りシャンパンで有名なモエ、ブランデーのヘネシーに、鞄のルイ・ヴィトンが一緒になって始まったグループだ。
LMVHのファッションブランドの買収が始まったのは、1990年代からだったように記憶している。
しかも、あっという間にいくつものファッションブランドを買収していった。
その買収の仕方に当然反発を感じるブランドもあり、ケリングやリシュモンという、新たなファッションブランドグループが生まれたと、思っている。
しかし、これらの動きはすべて欧州のファッションブランドだった(中には、KENZOのような日本のファッションブランドも含まれているが、コレクションなどの発表場所はパリなので、欧州とした)。
その意味では、コーチが新たに創っていきたいファッションブランドグループは、米国が中心ということになるのだろう。
欧州に関しては、上述した3グループがほぼ抑えてしまっている。
ただコーチの欧州のファッションブランドのグループ化が厳しいのでは?と、思われる理由の一つは欧州ブランドほど高級化していない、という点があると思う。
元々米国のファッションは、「リアルクローズ」と呼ばれる、現実的に着られる服が中心で、しかもオフィスワーカーを対象としている。
コレクションの内容を見ても、パリやミラノのコレクションに比べ、地味というか凝った演出は少ない。
コーチ自体、欧州のブランドのような高級感ではない「日常使いの使いよさ」狙いファンを増やしてきたのではないだろうか?
何より、今米国発の勢いのあるファッションブランドが、育っていないような気がするのだ。
コーチが、新しいファッションブランドを育てながら、新たなファッショングループを創り上げていく、というのであれば意味があると思う。
残念なことに、そのような意図が見えないのだ。
「タペストリー(つづれ織り)」というネーミングには、ファッションの経糸と横糸を自由に織りつづる、という思いがあるのだと思う。
そこには、よりグローバルなファッション企業へ変わっていきたい!という考えがあると思っている。
であれば、欧州のようなファッショングループとは違う、創り方をして欲しい。