日々是マーケティング

女性マーケターから見た日々の出来事

50年という時間-徳山ダムにみる公共事業-

2006-09-25 21:58:43 | アラカルト
全国的にはあまり話題になっていない、岐阜県・徳山ダムの徳山ダムで試験湛水が、今日始まった。
計画から50年という時間が経っての試験潅水だ。
しかしこの徳山ダム、使用目的が計画時点から二転三転している。
そして今だ、はっきりしていない部分が多い。
ただ、建設・運用費用として岐阜だけではなく、名古屋市など周辺の住民負担が決まっている。

この徳山ダム、計画から50年という時間で目的が二転三転していく中で、事業の見直しはされてこなかった。
「事業ありき」の計画だけが進むのだが、用地収用などや住民の理解がなかなか得られなかったりしたことも事業の遅れとなった。ただ、旧徳山村の住民が移転してから20年近くも遅れたのは、別の理由がある。
それが、「事業目的」が当初予定から次々と変わり、そのたびに建設・運用費用などを負担することになっている自治体などからの理解を得られなかった、という部分とも言われているようだ。
特に取水目的などは、人口増加を見込んでのことだった。
しかし、ご存知のとおり人口増加どころか、日本の人口は減る傾向にある。
他にも、工業用水という目的も企業の製造部門は次々と海外移転をしたり、環境問題などを勘案した「省エネルギー型製造」へと転換した結果、「水あまり状態」となってしまっている。
それは「徳山ダムを作る」ということが、「目的」で当初の目的などはどこかへ行ってしまったような印象すらある。

「公共事業」といえば、この「徳山ダム」に象徴されるように、当初目的がいつしか建設が目的となってしまうことが少なくない。
これまでも様々な方が指摘してきた。
50年という時間の経過ほどではないが、普通の企業であっても似たようなことがあるはずだ。
事業計画を立てたの市場調査を、適時見直すことなくテストマーケティングをし、当初の市場調査のデータに翻弄され、実際必要と考えられる市場を見誤るということは無いだろうか?

時代とともに、必要とされるモノ・コトは違う。
そして、常に見直すだけではなく時には撤退する勇気も、必要なのではないだろうか?