はんどろやノート

ラクガキでもしますか。

10・1詰将棋の解答

2012年10月08日 | つめしょうぎ
 2七桂

 初手は「2七桂」。


[紛れ:初手2六銀] ▲2六銀に△同玉は▲3七金で(長手数だが)詰んでしまう。▲2六銀△同玉▲3七金に、△同玉なら▲3四飛、△1七玉と逃げても▲1四飛△16歩合▲同飛△同玉▲2七金以下の詰み。
しかし初手▲2六銀は△16玉と交わす手で逃れている。以下▲1四飛には△1五歩合▲同飛△2六玉▲3七金△15玉と応じて不詰め。


 この詰将棋は21手詰ですが、

(1)1~8手目 導入部
(2)“打ち歩詰”の図に
(3)9~16手目 “打ち歩詰”解消の為に4枚の大駒(飛車角)を全部捨てる!!
(4)“打ち歩詰”解消→これで歩が打てる(17手目)
(5)17~21手目 収束部

という構成になっています。要するに「打ち歩詰の禁じ手解消問題」です。
しかし一番厄介なのは「導入部」かと思います。



 2七同と

[変化:2手目2五玉と逃げたら?] この2手目の[変化]が骨太というかちょっと大変だったかもしれません。△2五玉には▲2六銀と捨て、△同玉に、▲4六飛で詰みます。これが見つけられないとこの変化はやっつけられません。

“▲4六飛”の意味は、(a)4六同香なら▲6二角成、(b)△3六歩合なら▲1八桂から玉を2九まで追って▲3九金で仕留める(そのためには4八の飛車はいないほうがよい)、という意味です。具体的な手順は以下の通り。
 (a)△4六同香▲6二角成△4四歩合▲同馬△1六玉▲1七歩△2五玉▲3五馬まで。
 (b)△3六歩合▲1八桂△1七玉▲1四飛△1六歩合▲2九桂△1八玉▲1六飛△2九玉▲3九金まで。(21手駒余り)



 というわけで2手目は「2七同と」。



 1六銀  同玉  2七金  2五玉

 続いて「1六銀、同玉、2七金」と迫ります。


[4手目△2六玉の変化] △2六玉▲2七金△3五玉▲6二角成△4四歩▲同馬△同香▲3六歩△3四玉▲4四飛行△3三玉▲4二飛成まで詰み。(15手駒余り)




[変化:6手目△1五玉と逃げると] ▲1六歩△2五玉▲3七桂△3五玉▲6八角△4六歩合▲4七桂まで早詰(下図)。 なお、▲6八角に5七歩合なら▲同角引と取る。



 で、6手目は「2五玉」と逃げる。



 1七桂  1五玉 

 「1七桂」で代わりに▲3七桂は、△1五玉で詰まなくなります。あとで▲5九角が王手にならなくなるからです。

[変化:8手目△3五玉と逃げるのは] これはやはり▲6二角成から詰み。上の[4手目△2六玉の変化]と同じ要領。



 4五飛  同香  5九角

 「(1)導入部」が終わり、ここで「“打ち歩詰”の図」が現れています。

 “打ち歩詰”は禁じ手なのでこれを“歩を打っても詰まないように”改造する必要があります。


[紛れ:9手目▲2四銀不成] ▲2四銀不成△同歩▲1六歩△1四玉に
(a)▲2六桂は△2三玉にて逃れ。(うっかり△1三玉と逃げると▲3一角成から詰んでしまう)
(b)▲2四飛△同玉▲5一角成も△3三歩▲3六桂△3五玉で逃れている。


 “打ち歩詰”打開のカギは9四にいる飛車です。この飛車がなければ“▲1六歩”から詰ますことができます。
 でもだからといって▲1四飛△同玉とその飛車を捨てるのはその後がうまくいきません。▲2六桂は△1五玉で再び“打ち歩詰”状態です。持ち歩が二つあれば▲1五歩△同玉▲1六歩とできるのですが、現実には一歩のみ。ないものはない。

 ではどうするか。


 まず、「4五飛」。 こちらの飛車から捨てていき、続いて角も…




 5九同香成  4八角  同香成  9五飛

 じつは二枚の角を捨てるための「4五飛」でした。
 そして二枚の角を捨てるのは、次の「9五飛」の飛車捨て実現のため。




 9五同成桂  1六歩  1四玉  2六桂  1三玉  2五桂  まで21手詰

 「9五飛」、これがやりたかった手です。
 「9五同成桂」と取るしかありませんが、これで9四の飛車が消えました。“打ち歩詰”の解消に成功です。
 以下「1六歩」からの収束。




詰め上がり図


 この詰将棋は、「四枚の大駒を連続で捨てる」というのがやりたくて作りました。
 攻め方の大駒を四枚も盤上に置くと、余詰めが生じてこまるもの。ですがこの詰将棋は「余詰め防止のためだけに置いた変な駒」がなくてよかったです。


[9六の成桂はなぜ“成桂”なの?] 9六に“成桂”を配置していますが、「これ、“と金”ではいけないのか?」という疑問を抱いた方もおられるかもしれませんので説明しておきます。もしこれが“と金”の図ですと、2手目2五玉の変化で、2六銀、同玉、4六飛、同香、6二角成となったとき、4四桂という合駒が可能となります。(王方の持ち駒に桂馬が一枚あるのでこの手が生じたわけです。) これも同馬、1六玉、1七馬、同玉、2九桂以下面白い手順で詰むのですが、これが27手詰(駒余り)になってしまうのです。“変化”のクセに正解手順よりも長い「変化長手数(=変長)」になってしまう。この「変長」の生まれる「桂合」の変化をつぶすための“9六の成桂”という意味です。
コメント
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