翌朝、おばあさんは本堂に食事を運んでくれた。脚のついたお盆に、小さなお椀がたくさんのっていた。本堂のガラス戸をすべて開け、おばあさんは入りこむ陽をさけてお盆を向かいあわせにならべて、いってしまった。私とおとうさんは向きあってすわった。ずいぶん豪華な朝ごはんだった。満月みたいな黄色いたまご焼き。あじのひらき大根おろし添え。こぶりのお椀にもられた色あざやかなサラダ。油揚げとにんじんお入ったつややかなひじき。白身魚のお味噌汁。こんにゃくをたらこであえたもの。ほうれん草のごまよごし。おひつからごはんをよそい、私たちはいただきますと声をあわせた。
(角田光代著「キッド・ナップ・ツアー」より)
うーん、うまそう…。
(角田光代著「キッド・ナップ・ツアー」より)
うーん、うまそう…。