恩師の御著書「真理を求める愚か者の独り言」より
第一章 或る愚か者の生涯
◆葡萄一粒で故郷を捨てた少年時代◆
先の続き・・・
或る時、
反省した折りにそれまでは埋もれていた幼年期から少年期にかけての記憶が
鮮明に戻ってまいりました。
四十何歳まで忘れていた幼い時から少年期にかけての
記憶がよみがえってきました。
それまでは十七歳以前のことは記憶にありませんでした。
その年齢を境に家を出ました。
十六歳の時のことです。
大和川に沿ったその地域には四枚の田があって、
早朝その見回りをするのが私のつとめでした。
というのは、秋になりますと稲穂の実る収穫期に入りますが、
雀が集まってきてこれをついばんでしまうと
お米が実らなくなってしまうからです。
雀が田を荒らしていないかどうかを自転車で見て回るのが、
学校に登校する時刻までの私の役目です。