恩師のご著書「講演集」より
講演集、 三
救われたい「迷える意識」――竜の話
先の続き・・・
その方に、約束してもらおうと思いまして
「では私が、この場であなたに憑いている竜を救い上げたら、
あなたはS宗教を止めますか」と言いますと、
考えこんでいます。
「じゃあ、どうぞそのまま帰って拝んで取ってもらいなさい」と言うと、
「いえ、取って下さい。私、もう止めます」と決心して、おっしゃいました。
「では、取ってみましょう」と言って、その方に入れますと、
最初はなかなか口を切らなかったのですが、
「はい、口を支配しなさい。この方を支配しなさい。
口を通して語ってみなさい」と言いますと、
竜が乗り移ってきてこう言いました。
「この女は、ものすごく信仰厚いから、この女に憑いていたら、
わしはお経文をいただいて救われると思っておりました」と、
今日までまる三年取り憑いていたというのです。
「では、あなたは救われましたか」と尋ねると、
「なかなか救われない」と言います。
それはそのはずで、お経文によって救われることはありません。
なぜ救われないかというと、お経文の意味が理解できないからですね。
難しい中国の漢文である上に、当時のお経文です。
いくら読んでも、意味を理解しない限り、百万遍唱えても功徳はありません。
意味を理解して、そして日々の生活に実践してこそ、経文の功徳は現れます。
その竜さんに話しました。
「あなたは、よく自分自身を振り返ってみなさい。
今あなたはそういう竜の姿です。
しかし、ようく振り返ってみなさい。あなたも、私たちと同じように
この地上において生活をした同じ人間のはずです。あなたはこの世に生きた時、
あまりにも物事に強く執着しました。如何ですか」と聞きますと、
「その通りでございます」と言います。
そこで、「この世に生きた時、怒り、妬み、謗り、愚痴、或いは取越し苦労を
してみたり、恨んだり、憎んだり、そういう思いはいかがですか」と言いますと、
突然鼻汁をバーッと流してきまして、汚い汚い鼻汁がいっぱい出ます。
そして涙をぶるぶるこぼして、そういう間違いの生活をしていたことを
自ら認められました。
そして、その人生を悔い改め、神にお詫びをされました。
そこで、「あなたの帰る世界に帰りなさい。私がお送りしましょう」と言って
送りますと、その方から抜けましたから、
突然、すごく可愛い顔になってしまったのです。