先回は、吟行の様子をお伝えしたが、今日は肝心の俳句について報告しよう。
私が好きな句を三句。
ゆらゆらと伸ぶ朝顔の高さかな
今時は、朝顔が緑のカーテンとしての役割も果たしている。
朝顔市の朝顔の感覚だと、朝顔が自分よりも背が高くなることはなかなか考えられないが、
緑のカーテンになると、2階、3階まで伸びる。何となく頼りげがなくまさに
ゆらゆらと伸ぶ という表現がぴったりである。
秋の蝶電車に揺られて君のもと
こういう句は、若くなくてはできない。中学生・高校生の特権のような句だ。
秋の蝶は飛ぶ力も次第に衰えている。それでも君の元に行きたいのだ。
電車に乗ってまでも、君の元へという心が表れている。
然し、そう考えてみると、これは老人の恋の話かもしれない。
老境になって、初恋の人が忘れられずに一目会いたい。
俳句と言うのは、こんな風に自由に想像を広げられる。
それも俳句のおもしろさである。
雲間から声がれもんの色してる
よく考えてみると、雲間から声などしないし、しない声に更に色がついている。
そんなことも現実にはあり得ない。だからなんじゃいと言いたくなるが、
理屈を追求せずに何となく雰囲気がある。
中学生が、色々工夫し実験している様。完成形であるよりも、そうしたチャレンジ精神を買いたい。