十分間俳句

発見・感動・創造! 子どもたちの感性を培い日本語力を高める十分間俳句

拡散的思考

2011-02-28 | ジュニア俳句
心のプリズム (朝日文庫)
 
朝日新聞社

朝日文庫の一冊。朝日新聞にかつて連載された記事を一冊にまとめた本である。発行は、昭和61年だから、25年も前の本である。
本棚を整理しなくてはと、捨てようとしてページを開いたら、丁度そこにこんな文章があった。

「思考活動には、理屈で攻める『集中的思考』と、飛躍に基づく『拡散的思考』とがあり、創造に関係しているのは、『拡散的思考』のほうだということが、ここ二十年来の研究でわかってきたが、これまでの教育は『集中的思考』ばかりトレーニングして、知能を高めることに専念してきた。人間、ヘタにかしこくなると、教養がじゃまして、すぐ『そんなバカなことをして・・・』と突飛なものを排除しだす。脳の記憶を取り出すソフトウェアの様式が固定してしまうのだ。これは、思考の効率追求の結果つくられた人間のちえなのだが、ここからは創造への飛躍は歯生まれない。」

さらに、 人は創造的思考を学習することができる

とし、「飛躍の回路」に磨きをかけることだ としている。
論理の世界に留まっていては、アイデアは生まれない。非論理のイメージの世界との往復運動が必要だ これは、NHK中央研究所の高橋浩教授の話。

創造性こそ心の本性であり、コンピュータと違った人間の多様さの現れではないか。と結論づけている。

俳句教育は、この文脈の中にも位置づけられる。私は、このことを茂木健一郎の「俳句脳」から学んだが、茂木健一郎ならずとも、これは半世紀前からのじょうしきであったということか。

折角、本棚を整理しようと思ったのに、この「心のプリズム一冊のおかげで挫折してしまった。トホホ(>_<)


俳句のコツ 数矢小学校の児童の感想から

2011-02-25 | ジュニア俳句

引き続いて、数矢小学校の児童の感想文を紹介する。

 僕は、一年を通して小山先生に俳句を教えてもらい、いろいろなことを学びました。

 例えば、俳句のコツです。俳句は思いもかけない言葉を入れるとおもしろいと気付きました。だから、夏にフォト俳句を作ったとき、おもしいろと思った一言を入れてみました。そうしたら、「おもしろいね」と言われたので嬉しかったです。

 他に、句会をやったときに、今まで知らなかった友達の性格などが見れて楽しかったです。・・・・・

 どんなコツを提供できるか、これは、出張教室の眼目である。時にあわせて、話をしたり、アドバイスをしたりしているのだが、定式化されているわけではない。
指導案を整理して提供すること、このコツを明文化して定式化することは課題だろうと感じている。


八名川小学校3年生の授業

2011-02-25 | ジュニア俳句

久しぶりに八名川小学校の三年生で授業をした。

一クラスは、句会。

 朝早くパジャマのまんま雪がっせん

作者によると、これは実景らしい。「パジャマのまんま」この表現が、「雪合戦をしたいと思っているはやる気持ちにぴったりだ」という評が多かった。

最近の授業では、「この俳句についてはなしてください」となるべく聞くようにしている。そうすとる、実景が出てくる。つまり、子どもの生活だ。子ども同士がそれを知ることが友だち理解に繋がると思うからだ。

句会は、句としてうまいかどうかを見極める場という意味はあるが、それ以上にクラスの子ども達の相互理解の場、つまりコミュニケーションツールとしての俳句の役割の大きさに注目している。

授業の最後に、俳句直してもらいたい人?直してあげるよ。

 節分でえほうまき食べ元気100

面白い句だ。
「この俳句には要らない言葉がある。どの言葉だか分かりますか?」
すると立派なもので
「節分」
と多くの子どもが答える。重複が分かっているのだ。
「だれと食べたの?」
「妹と・・・・・」
だったら、そう入れたら、

 妹とえほうまき食べ元気100

もう一つ、

 めいろがねどこまでつづくか分からない

「この俳句は、大事なものがない。何だろう。」
「季語がない」
「じゃあ季語を入れよう」
「どの言葉を替えたらいいかな」
こうしてできた句は、

 めいろがねどこまでつづくか春の空

面白い句がたくさんあった。

えほうまき幸せ半分まあいっか

バレンタイン帰って一つつまみ食い

福はうちお豆はわたしのおなかの中

雪がっせん妹しょうぶぼくの勝ち

 

 

 


俳句はひらめき 数矢小学校児童の感想から

2011-02-24 | ジュニア俳句

一年間継続して指導してきた数矢小学校の5年生全員の感想文が送られてきました。感謝です。こうした子どもの感想文は、今後の指導の指針になり得えるものです。
数矢小学校の先生方に感謝しながら、いくつかの感想文を紹介させていただきます。

 ぼくは、俳句に出会って思ったことがあります。俳句とは、考え込んでやるものではなくて、ぱっとひらめいたり、すぐに頭にうかんだことをノートや紙に書いたりするものとわかりました。
 ぼくは、俳句の勉強をすると、のうがやわらかくなります。
 なぜ、ぼくののうがやわらかくなるかというと、考えていると、「あっ、ここをこうすればいいんだ」とか、「ここをなくしてこれにすればいい」とか思ったからです。
 ぼくは、小山先生がいなくても、俳句を、きっちり、かんぺきに書きたいです。小山先生のことはわすれません。だから、小山先生も五年三組のことをわすれないでください。


東京書籍の教科書 その2

2011-02-23 | ジュニア俳句

東京書籍の教科書で特筆すべきは、6年の教科書である。

子ども句会を開こう-表現をくふうしてね俳句や短歌輪作りましょう-

が単元名である。これは、画期的である。と思う。

俳句をつくり、それを句会形式で相互鑑賞する。これは、座の文芸という俳句の特質をよく捉えている。

俳句の作り方は、
1、題材を集めよう
・自分の目や耳、体全体で感じたこと、発見したことから題材を集めましょう。

2、俳句を作ろう

3、表現を工夫しよう

こども句会を開こう
子ども句会の進め方の例も載っている。

実におもしろい。


東京書籍の教科書 その1

2011-02-22 | ジュニア俳句

見落としがなければ、東京書籍の国語の教科書では、3年下、5年上、6年下の3カ所で俳句を取り上げている。

3年は、俳句に親しもう-日本の言の葉- という単元である。俳句についての簡単な説明があり、6ページにわたって、春から冬まで四季の句が12句 それに最初に例として、

菜の花や月は東に日は西に 蕪村

がある。計13句である。
取り上げられている俳人は、
与謝蕪村、村上鬼城、小林一茶、松尾芭蕉、芥川龍之介、高野素十、正岡子規、橋本多佳子、高浜虚子、水原秋桜子、山口誓子、 蕪村と一茶は2句ずつである。
表記については、基本的には旧かなであるが、促音だけは現代表記?である。
学習活動としては、
☆四季の句の中から好きな句を選んで゜「四季のしおり」をつくる。
☆みんなで作って読みあう。

5年上では、5句取り上げられている。
これは、鑑賞である。
松尾芭蕉、高浜虚子、山口誓子、水原秋桜子、黒田杏子である。

閑さや岩にしみいる蟬の声

この句については、解説がついている。
大きな自然の中で、小さなせみががんばって鳴いている。鳴けば鳴くほど、辺りにとけこんで、しずかきさをいっそう引き立ててしまう。ふだんはうるさいはずのせみの鳴き声を、逆に使った表現のくふうである。「蟬」は夏の季語。

解説というはの、難しいものだと思う。

 


数的な整理 分析とまでは言えないが・・・・

2011-02-19 | ジュニア俳句

数矢小学校での一月の授業。
富岡八幡宮吟行。


八幡宮、大鳥居を頭に置いて俳句を作る。


その後、教室に戻って変身俳句に取り組むという授業だった。


一クラスを抽出し、この授業で子ども達がどのくらいの数の俳句を作ったかを調べた。
35人の学級である。(写真の俳句は、隣のクラス)

総数

吟行 富岡八幡宮約30分  195句 一人平均5.6句

合計 教室での指導+約20分 335句 一人平均9.6句
 ここでは、その後句会をおこなった。

吟行段階で

一句も出来ていない子 3人

一句だけできた子    2人

二句             4人

反対に十句以上できた子 7人 最高は20句

教室での指導を含めると、

一句もできない子   0人

一句できた子      1人

二句できた子      1人

四句できた子      4人

五句から九句     17人

十句以上        12人  最高は29句

できた句数の変化も見る必要があるが、データをざっと見た段階では、ほぼ平均的に伸びていることから、 ここでは省くことにする。

☆実際にものに触れて、ターゲットを明確にすると、俳句は作りやすい。4分の3の子が、ほとんど指導なしに、3句以上作っていることはそれを示す。 (上五に「八幡宮」「大鳥居」をおくことは一つのポイント)

☆特別によく書ける子が20%、引っかかる子が20%程度いることがわかる。

☆吟行の段階で3人が一句もできなかった子がいるということは、この子達を見逃したということである。こうした子ども達は概ね指導者に自分から聞きにはこない。目星をつけて、教師の側からアドバイスをする必要がある。

☆教室では、吟行と比べて容易に書けない子を見つけられるので、全員ができたということだろう。

☆平均の約十句は、目標をほぼ達成というレベルだが、逆に言えば、1回に50分もかけて10句作らせる必要は無い。1回5句、かける時間を半分にする方がよい。そのためには、なかなか出来ない子どもに一句以上作らせれば、その時点で指導を打ち切って良いということである。出来なくても良いのだが、出張授業の際は、出来るだけ全員が作ることが必要なので、その子に対する配慮をしっかりして、出来るだけ短い時間で取り組むことに挑戦すべきだ。学級で行う場合は、10分で打ち切っても十分出来る水準であることをデータは示していると思う。この場合にも、教指は、苦手な子の指導をする必要がある。

                

 


ぼくのたからものは?

2011-02-18 | ジュニア俳句

穴あき俳句の授業である。
八名川小学校の一年生。
日常的に、俳句に取り組んでいるとはいえ、一年生の授業は難しい。
春の雪からは、すでに数日たっている。
「春の雪」で書いてみる手もあると思ったが、「たからもの」だったらどうかと取り組んでみた。

「大事にしている宝物があるでしょう。それを教えてくれないかな?」
まず、最初に出たのは、「家族」だ。
次は友だち。いのちという答えも出た。
その次が「お金」。極めて現実的だ。
そのほかには、 ディーエス、ゲーム・・・・・いろいろ。
それに、季語をプラスする。

春が来た ぼくのディーエス  たからもの

こんな具合にするとどの子もできる。作り始めると、それに飽き足らない子ども達がどんどん勝手に作りはじめる。一人で五句も十句も作った子もいる。

その中からいくつかを紹介する。

はるがきたまぶしいたいようたからもの

はる一ばんおもちゃのゆびわたからもの

はるのひにくまのプリンがたからもの

はるのかぜきいろいぼうしたからもの

二月だぞねこのミーコはたからもの

はるがきたディーエス二だいたからもの

二月だぞ大きなさかなやきほうだい

はるのかぜみんなの先生宝もの

 

担任の先生かたからものという句が何句もあった。先生が子ども達にとてもすかれているということが分かる。教指の努力、保護者の支援があるからこういう状況ができる。
子ども達の教指への信頼を醸成することは、教育効果を上げる最良の道だと思った。

 

 


授業の感想 数矢小学校 続き

2011-02-17 | ジュニア俳句

☆俳句は、正直まったく知りませんでした。書くのも考えるのもしたことがありませんでした。だけど、先生に教えてもらった五・七・五、季語などがとても分かりやすく、すぐにおぼえました。

☆ぼくはこれまで俳句をやってきて、すごく楽しかったです。わからないときなどもいろいろ教えて下さってありがとうございました。小山先生のアドバイスはとても分かりやすかったです。俳句の季語など色々学びました。これからももっと俳句をがんばりたいです。

☆はじめの時は、俳句なんてと思っていたけれど、だんだん俳句をやっているうちに楽しくなりました。

☆俳句の授業には、最初あまりやる気がありませんでした。でも、やるにつれて、俳句のおもしろさに気づき、楽しめるようになりました。たまに漢字なども教えてもらいました。ぼくが思うところには、(授業に)悪いところはありませんでした。

☆前よりいろいろな風景がもっときれいに見えるようになりました。みんなの俳句の特ちょうが分かりました。

☆一年間勉強して、おもしろいかったのは色々な季語です。私は、おもしろい季語、不思議な季語、いろいろあり、「そんなに季語ってあったっけ」と思ったりしました。一年間楽しかったです。

☆この一年間、俳句をやって、ぼくは俳句を作るのってとっても大変なんだなあと思いました。ルールがたくさんあって、お題もいろいろ、作りやすい題と作りにくい題があってとても難しかったです。