心のプリズム (朝日文庫) | |
朝日新聞社 |
朝日文庫の一冊。朝日新聞にかつて連載された記事を一冊にまとめた本である。発行は、昭和61年だから、25年も前の本である。
本棚を整理しなくてはと、捨てようとしてページを開いたら、丁度そこにこんな文章があった。
「思考活動には、理屈で攻める『集中的思考』と、飛躍に基づく『拡散的思考』とがあり、創造に関係しているのは、『拡散的思考』のほうだということが、ここ二十年来の研究でわかってきたが、これまでの教育は『集中的思考』ばかりトレーニングして、知能を高めることに専念してきた。人間、ヘタにかしこくなると、教養がじゃまして、すぐ『そんなバカなことをして・・・』と突飛なものを排除しだす。脳の記憶を取り出すソフトウェアの様式が固定してしまうのだ。これは、思考の効率追求の結果つくられた人間のちえなのだが、ここからは創造への飛躍は歯生まれない。」
さらに、 人は創造的思考を学習することができる
とし、「飛躍の回路」に磨きをかけることだ としている。
論理の世界に留まっていては、アイデアは生まれない。非論理のイメージの世界との往復運動が必要だ これは、NHK中央研究所の高橋浩教授の話。
創造性こそ心の本性であり、コンピュータと違った人間の多様さの現れではないか。と結論づけている。
俳句教育は、この文脈の中にも位置づけられる。私は、このことを茂木健一郎の「俳句脳」から学んだが、茂木健一郎ならずとも、これは半世紀前からのじょうしきであったということか。
折角、本棚を整理しようと思ったのに、この「心のプリズム一冊のおかげで挫折してしまった。トホホ(>_<)