十分間俳句

発見・感動・創造! 子どもたちの感性を培い日本語力を高める十分間俳句

来年度から「俳句」は教科書にどう取り上げられるか

2010-05-31 | ジュニア俳句

来年度から使用される各教科書会社の国語の教科書を見ている。ざっと目を通したところでは、各社とも俳句の教材が3年生、6年生を中心にして入り、教材に句会が取り入れられるなど、実作も取り上げられている。
しかし、編集委員に俳人が入っているのは、ざっと見たところでは、学校図書の岡井なつきさんだけなのではないだろうか。
現在江東区で採用され、全国的にもシェアが大きい光村図書は、二年生から俳句を意識した教材構成になっている。各学年に「季節の言葉」という項目を取り入れ、各社の中ではおそらく俳句に接する機会が一番多くなると思われる。

まずは、この光村図書を取り上げてみよう。
二年生の「きせつのことば」夏がきた では、
たにかわしゅんたろうの みんみん と題する詩

なつのことばとして

虫かご 虫とりあみ  くわがた虫 かぶと虫 せみ
かぼちゃ ピーマン なす あさがお かきごおり えだまめ きゅーり とうもろこし すいか ひまわり

とあり、

 「ばあちゃんのトマトをたべる虫とぼく   えんどうしゅんべい」

 「ミーン ミーン ミーン。こうていの木から、せみの大がっしょう  はるこ」

二年生から俳句形式でこうした例を提示しているのは、光村だけかもしれない。(よく見てみないと何とも言えないが・・・・・)

言葉は、季語へ発展させる含みがある。
光村は編集の基本方針として、「日本の心が伸びやかにそだつ」をあげており、この季節への言葉は、その一環であろう。
後ほどこの点については詳しく検討していきたい。

 ※教材の中にある季節の言葉も季節の言葉としてカウントしてみると面白いと思った。
例えば、
 ふきのとう さむい 雪 はるかぜ はる たんぽぽ ざりがに かたつむり ミニトマト プール なの花ばたけ りんご なわとび ブドウ なずな たけのこ きのこ
バナナ

二年生の教材の中には上のような言葉があった。


退職して2ヶ月

2010-05-29 | ジュニア俳句
退職して2ヶ月が過ぎた。
だいぶペースが出来てきた。
活動の中核が、訪問の授業にだんだんなりつつある。
金曜日には、扇橋小学校の6年生に2時間授業をした。
日光移動教室で作った俳句を元に句会を行い、さらにその句を改造すると言う課題だ。
授業をすると必ず課題が表れる。
それを一つ一つ考え克服していくことで、俳句指導の方法論が確立していく。
そう考えている。
生活の方も安定してきた。
今日は気分的にも最もゆったりした土曜日だった。
朝は、八名川小学校で行われた盆景教室のお手伝いに行った。
それから、5年生が金曜日の俳句の時間に作った俳句を見た。
「誕生日に食べたい料理」
を課題にして作った俳句だ。
なべ料理が出て来た。なぜ、今ごろなべ料理が出てくるのかと思ったら、その子の誕生日は冬だったのだ。
こちらの意図は「特別の日の料理」という意味だったが、確かに自分の誕生日の季節にあった料理が出てくるのは当たり前だ。
お昼も腹いっぱい食べたし、甘いものも食べてしまった。
夜に歩くことにした。豊洲の海が見える所まで歩いた。ぐるっと回っておよそ1時間。
写真俳句のネタはないかとカメラで写真もとった。




今日は、車に乗って回っていたので、この1時間の歩数を含めて今日の歩数は約12000歩ほどだ。
そのぐらいのんびりしていた。
来週は、土曜日に俳句指導者交流会、日曜日は、芭蕉まつりだ。
数矢小、東雲小、八名川小で授業もする。

深川芭蕉まつり実行委員会

2010-05-27 | ジュニア俳句
夕方から雨が降ってきた。
深川芭蕉まつりの実行委員会に出かけた。
八名川小学校まで歩いて行った。
今まで通ったことのない道を通った。
江東区の景色は様々だ。
特徴は、「水がある」ということだ。
水があるということは、人間の心を癒す。
江東区の運河は、景観から見ても一つの財産だと思った。

実行委員会の会場である会議室には、街の人たちの顔がそろっていた。
やながわファミリー会長の白川さんが、当日の予定について話をしている。
熱気を感じる。
街の人たちみんなには、退任の挨拶をする機会がなかった。
この機会に6年間のお礼を述べた。
今の仕事が江東区教育委員会の嘱託のような立場で「俳句指導に当たっている」と話した。
これも児童俳句を応援してくれた「芭蕉まつり」のおかげなのである。
これからは、ファミリーの一員として仲間に加えてほしいとお願いをした。
温かく迎えていただいた。ありがたい。
八名川の子ども達だけでなく、地域に俳句を根付かせる取り組みをしたいと思う。
これも、今年の目標の一つだと思っている。
10月をめどに皆が集まる八名川ファミリー句会を実現させられないだろうか。

深川芭蕉まつりは、6月6日(日)。この日に小学生俳句大会の表彰も行われる。
5日の指導者交流会の次の日だ。

残りの問題は、天候だろう。晴れることを願うだけだ。

奥坂まや句集「縄文」を読む

2010-05-26 | ジュニア俳句
今日は、休務日だ。
朝からうだうだしている。
何もしていない自分にイライラしてる。
役所で仕事をしている方が余程精神的に楽かもしれない。

頼まれていた「中村真一郎の会」のホームページづくり。四月に行われた
総会と懇親会の写真をアップした。これが一つの仕事。

奥坂まやさんの「縄文」を読む。



最初のページから引き込まれる。

天道虫間一髪を飛びにけり

捕まりそうになったのか、敵に襲われそうになったのか、
ともかく、天道虫はその危機的な状況を間一髪でかわした。
その臨場感が伝わってくる。

例の

万有引力あり馬鈴薯にくぼみあり

の句は、26ページにあった。
説明しろといわれても難しい。理屈ではないのだ。
しかし「そうだよなあ」と思わせる。これが俳句の難しいところだ。

この感覚の掴み方が俳句理解と深い関係にある。
子どもがそこの所をどこまでわかるのか。
この壁をどの様にクリアーするのか、また頭をよぎる。

隣にある句が

秋の雲子供のふつとゐなくなる

である。何ということのない句だが、こう書かれると恐ろしい。
秋の雲の中に子供がさらわれていくというイメージだ。
奥坂さんの句には、そういう霊的な力がある。

無造作に菊人形の菊を剥ぐ

こんな句も考えようによっては恐ろしい。

夏芝居終ひの幕の降りてこず

という句もある。

終わりに五十音の索引が付してある。
こういう工夫のある句集、あるのかもしれないが、私は初めてだ。
句集を読んだら、少し落ち着いた。
少し勉強しよう。





学校への普及の仕方について

2010-05-25 | ジュニア俳句
俳句教育をどのようにして学校に普及するのか。
いくつかの学校で授業し、また授業の約束をとりつけたり、校長先生方と話をして感じたことがある。何となく感じたのだ。今日、役所への道をたどりながら考えた。

方法を単純化する

複雑なのはだめだ。
本当は、「俳句を作る」ことと「俳句教育を行うことは」は、別のことだ。
「俳句教育をやってみませんか」
と言っても、俳句を作ったことも作らせたこともない人には通じない。
「やってみて下さい。支援するから」
と言っても、全く具体性に乏しい。
まず、

「俳句の授業をしますから、先のことは授業の後で考えましょう」

これが大事だ。
その次は、指導ドリルのの作成が課題だ。学級で使えるドリル型の学習で俳句指導を進めるとすれば、可能かもしれない。
また、継続して関わる芽が出てくるとも言えよう。

と言うことは、俳句指導と俳句教育の推進を分けて考えなければいけないと言うことであり、当面は、俳句教育という言葉を封印して、俳句づくりに専念すると言うことである。
「俳句と友達になろう」
という現代俳句協会のジュニア研修部の考え方そのものとも言える。
しかし、どの学校も好意的だし俳句に取り組んでみようという先生方がいることはとても心強い。

新二十週俳句入門

2010-05-24 | ジュニア俳句
先日の「おくのほそ道追体験ツアー」でお会いした奥坂まやさんから、御本をいだたいた。
一冊は、「縄文」
奥坂さんの句集である。
ページを繰ってみると、読んでぞくぞくするような素晴らしい句がならんでいる。
これは、才能というものだな。と思う。
そういう感性を生まれながらもっているとしか思えない。
そういう人というのはいるのだ。
こういう句は真似ができないかもしれない・・・・・

もう一冊本が入っていた。
「鷹」の主宰であった藤田湘子の「新20週俳句入門」という本だ。
帯にはこうある。

「初めての人でもこうすれば俳句を作れる。
俳句の四つの基本型式を活用した実地検証ずみの
藤田湘子流早期俳句上達法。
全くの初心者を、
20週間でひとかどの
俳句づくりにしてみせます。

「今週の暗誦句」が各章の終わりに掲げてあり、それを暗誦しないうちに次に進んではいけないとある。
最初の七集までは、歳時記のことや季語のことなど基本的なことが述べられているが、「覚悟を持ってとりくめよ」と繰り返されているように感じる。
そうして、八週目が「作句へのスタートだ」

読んでみてびっくりした。
これまで実践してきた「変身俳句」と考え方が同じなのだ。
それがキチンとその先まで考えてまとめられている。
これは、今後の子どもの指導指導に十分生かせそうだ。

1、上五に季語を置き、「や」で切る
2、下五を名詞止めにする
3、中七は下五の名詞のことを言う
4、中七・下五はひとつながりのフレーズである
5、中七・下五は上五の季語とまったくかかわらない内容である

これは、使えそうだ。
問題は、季語の位置づけを子どもたちにわかるようにどう説明できるかである。

本当に良い本をいただいた。読み進めていこう。



お休みの一日

2010-05-22 | ジュニア俳句
今日は、休みだ。
午後八名川小学校の芝刈りの手伝いに行った。
芝の状態は去年よりもずっといい。
今年の春が涼しかったことと暑さに強い品種に切り替えたことが大きい。
同じ冬芝でもずいぶん違うものだ。
これから暑くなるに従ってどうなるのか。
うまく夏芝に切り替わってくれるといいと思う。

芝刈りの後、新大橋を渡り、水天宮に出た。
重盛の人形焼きを買おうと思ったが、すごい行列。
ざっと四十人は並んでいる。
しかも、ショーケースの中は空っぽぽい。
あきらめて、喫茶店に入って珈琲を飲む。

そこで考えていたことは、ドリルの作成である。
いくつかの学校には自分で指導に行く。
現代俳句協会の出張俳句教室もある。
しかし、1回こっきりでは俳句は根付かない。
根付かせるためには、一般の先生が指導できるように指導書が必要だ。
それも、子どもに与えてそのまま使えば、それなりに子ども達が俳句ができる。
そんな教材があるといい。
そんな物が果たしてできるかどうか自信はないが、取り組んでみるだけの価値はあると思う。

そんなこんなを考えて家に戻ってみたら、夕刊が来ていた。

その詩歌への招待というページに 塩野谷 仁 という方の作品が載っている。
経歴を見ると、俳誌「遊牧」の代表で、2007年には、現代俳句協会賞を受賞されている。

句が良い。私はこういう句が好きだ。
「発見・感動・創造」の俳句である。


石段のはじめは大地五月来る

硝子屋にガラス照り会うことが夏

一木に一つの夕日麦こがし

名曲は夜のもの泰山木の花

はつなつの水辺の一人ひとりかな

誰からも同じ遠さに夏かもめ


料理の俳句

2010-05-21 | ジュニア俳句
今日、八名川小学校の四年生と五年生で授業をした。

先日の一年生の授業の経験を生かして、「料理」を題材にした。
これまで、俳句に取り組んでだ経験も大きいが、今回は大変うまくいった。
まず好きな料理をいろいろ出させた。

ハンバーグ、やきそば、お好み焼き、もんじゃ焼き、からあげ、ラーメン、カレーライス

「そうそう、うまそうだね」
「みんな食いしん坊だなあ」
とか、チャチャを入れながら、授業を進める。

「じゃあ、どんな料理か、12音で言ってみよう」

ぽん太だたべるもんじゃ焼き
さらからとびでるからあげだ
しゃぶしゃぶはパパのおごりだ
お好み焼きでハヒフヘホ
野菜たくさんちゃこなべ

いろいろ出てくる。
ここまでできれば、九割方うまくいく。

この12音に季語をつける。ここが子どもの感覚とずれる。

「夏来る」というと、子どもは必ず「かき氷」なのだ。
カレーライスも焼きそばも吹っ飛んでしまう。
どうするか。
そこで考えたのは、「子どもの日」という季語だ。
子どもの日に食べたんだ。こういう設定にすると、子どもは何となく分かる。

その後、「みんなが子どもの日って同じだと面白くないね」
ということで、いろいろな季語をあげてみる。

「夏の山」 夏の山に行って食べるんだね。とか
そのうち「夏の空」銀祇ら下太陽を見あげながら食べるとしたら  とか何とか言いながら・・・・

出来上がった作品をいくつか・・・・

夏が来たチーズ大盛りハンバーグ

夏の夜鼻血出しちゃうチョコレート

夏が来た黄色い太陽オムライス

子どもの日焼き肉たれをつけすぎた

暑いなあカレーを食べて火をふいた

母の日にてっぱんでやくお好み焼き

子どもの日食べすぎ注意チョコレート

子どもの日大きなお肉のハンバーガー



一年生の授業

2010-05-19 | ジュニア俳句
八名川小学校の一年生の教室で授業した。
入学してまだ一ヶ月半。
この時期の一年生にしては、素晴らしく立派。
担任の先生のしつけ力に助けられながら、「食べ物」の俳句に挑戦してみる。
五・七・五の七・五をつくってから季語と組み合わせると言う作戦だった。
やり始めて気がついたことは、食材の多くはすでに季語になっているということだ。
もう一つ槍ながら気づいたことは、中七に食材をもってくるのだが、これが七にならないといけないこと。
ここの指導が抜けたにも関わらず子ども達は、うまく七音を作る。
下五は、「だいすきだ」とか「おいしいな」という言葉が大多数だ。
ここを違う言葉にさせようと思ったが、時すでに遅し。
30人ほとんどすべての子どもが俳句の形まで作ったからよしとするか。

しかし、この1時間の授業を通して、どうすればよいか、次の方針が立った。

1、中7をまず作らせる。その時に食材ではなく料理にする。これならば季語と重なる可能性が少なくなる。
2、下5の指導をする。「おいしいな」「だいすきだ」→実際の姿を描写させる。
3、季語は、「なつがきた」などと決めておく。但し時間がある子やかえたい子には変えさせる

これならば、一年生でも四十五分で出来るのではないか。
次の授業は、金曜日。やはり、八名川小学校の4年生と5年生の予定である。
この上位バリエーションで挑戦してみよう。