俳句の鑑賞で一番多く行われる方法は、点盛りを中心とする句会である。
誰に何点入るかを競う点盛り句会は、ゲーム的な要素があり、子どもたちの関心を高めるのに大変よい方法である。
ただ、この時に、点数をどこまで明らかにするか、難しい要素もある。
高点句を中心に俳句の読みを互いに披瀝しあい、高点句だけでなく、様々な句に触れるやり方は、俳句結社で試され済みの方法であり、俳人を育てる基本的な方法と考えてよいと思う。更に教室にあった具体的な方法を探っていけば洗練されていくと思う。
しかし、俳句の鑑賞はそれだけには留まらない。
一人一人の鑑賞力を育てるには、いくつかの句を選び、どう鑑賞したらよいか、その方法を教えていく授業があってよい。
八名川小学校の六年生の授業(卒業俳句)の授業では、一人二句ずつ黒板に書き、そのどちらの句の方がよりよいかをみんなで検討した。
今日は、俳人の堀本裕樹さん(日本学校俳句研究会顧問)に俳句の全句講評をお願いし、検討した。
この方法は、全員の句に触れることができ、他人の句と比べるのではなく、自分の作った句の中で良い句を探すので、一人一人が自信を持つことができる。
また、この方法はゲーム性は希薄だが、句の読み方を学ぶよいチャンスにもすることもできると思う。試して、その結果をまた教えていただければ幸いである。
はやいもので卒業式まであと一ヶ月とちょいである。
この時期、実際には、子ども達に卒業という実感は薄いし、また、進級の実感もまだまだである。
逆に、卒業や進級への意識を育てる意味で、「卒業俳句・進級俳句」に取り組んでみてはどうだろう。
これは、一年間、もしくは六年間の自分の総括をするという意味もあるし、あと一ヶ月で何をやろうかと考えさせるきっかけになり得る。
子ども達に投げかけることばは次のようである。
「何が出来るようになったか」
「進級まであと一ヶ月、その間にしたいことは何かな」
勉強では? 遊びでは? 食べたいものは? スポーツでは?
勉強と言ってもいろいろあるね。算数では? 国語では?
算数だっていろいろあるよ 計算は? 文章題は? 図形問題は ?
一編に言っても耳に入らないから、一つずつ取り上げてやってみても良い。
次は、自分の持っている文房具や机の上、その他の持ち物なんかをテーマにしてもよい。
ステーキでガッツをつけて進級す
サッカーのゴールをゆらし進級す
日本地図全部おぼえて進級す
教室をピカピカにして進級す
計算の公式おぼえ進級す
ランドセル思い出つめて進級す
進級の代わりに、他の季語に変えても良いことを示す。(しかし、必ずしも合わないこともあるので注意する)
ピカピカの洋服そろえ春が来る
黒板にメッセージ入れ春の風
バスの中席をゆずって春来る
春の風フェイントをして敵をぬく
学習帳新品買って春来る
などなど。ぜひ取り組んでみて下さい。
かつて私が事務局を10年以上担当してきた日本基礎教育学会の月例会で表記の題で発表することになりました。
今は、十文字女子大学の副学長の増田吉史先生が中心になって、会が運営されています。
題 「心を育てる俳句、学ぶ力を育てる俳句」
日時 2月9日(土) 午後1時~3時30分
場所 十文字女子大学 3階 741教室
JR武蔵野線 新座駅下車8分
関心のある方は,どうぞお出かけください。
今日、二月三日は節分である。
実は、深川神明宮で豆をまく「福男福女」の募集をしていた。ポイントは、「年男年女でない方も参加できます」という点だ。
「そうなんだ」
「日曜日だし、一丁やってみるか」
申し込みの期限を一日ほど過ぎていたが、宮司さんにお願いしたら許可していただいた。
そこで、今日十一時から豆まきをして邪気を払う。人生初めての体験である。
各家庭での豆まきの「鬼は外、福は内」の声は最近ではあまり聞こえなくなった。
子供がいないということもあるし、あとの掃除が大変だからという理由もあるだろう。
学校では給食に豆が出たり、「豆まき集会」などの形で節分が残っているところも多い。
クラスで「追い出したい鬼」を決めて、気炎をあげようというわけだ。
例えば「おしゃべり鬼」をなくそうとか、「廊下を走る鬼」を追い出そうとかいうわけである。
実は、節分俳句は、これをとりあげれば簡単にできる。
「鬼は外おしゃべり鬼はどっかいけ」
「鬼は外廊下走っちゃいけないよ」
という具合だ。
子供たちに自分の追い出したい鬼を決めさせて、取合せのようにする。「鬼は外」ないし、「福は内」の季語をつける。
これを実際の授業ですると、「鬼は外」の句はあまりできず、「福は内」の句が圧倒的多数になるのはおもしろい。
例えば、
「お母さん元気でいてね福は内」
だから、指導する場合には、結果がそうなることを予想しておくと、慌てないで済む。
節分俳句実施の賞味期限は、節分を挟んだ一週間くらいだろう。
歳時記によれば、追儺、鬼やらひの行事はもともと大晦日の行事だったらしい。それが立春を迎える節分の行事と一つになったものとある。節分が季節を分けるものであることやなぜこの寒い時期に春の始まりがあるのかなど、についてちょっと調べて一緒に教えると良いと思う。
また、実際の節分の様子を思い出させて、俳句をつくることももちろんあってよいだろう。