隠岐の島ツアー 3日目。いよいよ、磯小学校での授業の日である。
8時半に宿に校長先生が迎えに来てくださった。
磯小学校は、統合した新しい学校で校舎も新しい。驚いたのは校内の内装が全部、隠岐産の木材で施されていることだ。木のぬくもりのある校舎。心が癒されるような感じだ。
廊下には、様々な掲示物が掲げられているが、中には磯小の特色となった俳句大会のものもある。
授業は、2時間目~4時間目まで。
2時間目は、2年生、3時間目は3年生、4時間目は6年生である。
私小山は、2時間目と4時間目を担当し、3時間目は、日本学校俳句研究会の幹事長の山本先生が担当した。
山本先生の授業は素晴らしかった。一人ひとりの子どもへの気配りが絶妙である。
子どもたちの遊びを取り上げて、季語を配合するとという授業であった。子どもたちや保護者の信頼が抜群であるということが頷ける。
4時間目の6年生は、「発見俳句」をする予定であった。植物などの句材をよく見て、そこから俳句づくりをする。題材としては、例えばすすきや紅葉などを考えていた。
ところが雨。外に出ることはできない。どうしようかと考えながら磯小に到着した。
すると、磯小学校の前に海が広がっているではないか。
湾がここまで入り込んでいるのだ。そこで急遽題材を変更して「冬の海」にすることにした。
これも発見俳句の一つである。
目の前に広がっている自然。しかし、子どもたちはこのことについて深く考えたことはおそらくなであろう。
俳句を通して、こういう目を持ってもらいたいということこそ、狙いである。
東京から来たから、隠岐のことはよくわからない。そこで、君たちに隠岐のことを教えてもらいたい、というところから入って、
「冬の海と夏の海は違いがあるの?」
「夏の海はきらきらしているけれど、冬の海は暗い」
「なるほど、そうなんだ」
「他にはあるかなあ。」
こんな風に冬の海と夏の海を比較させていった。
すると、「汐の味が違う」というのも出てきた。
色、波の強さ、雰囲気、味覚、等々が出された。これが、身近なものを見つけ出すきっかけになればいいなあ。しかし、45分の間に冬の句だけで作るのは難しいと感じて、少し方向転換をした。
「冬の海」か「夏の海」で句を作ってみようと。子どもにとっては、冬の海よりも夏の海の方が身近で分かり易いのである。
しかし、心配は杞憂だった。素敵な句がたくさんでき、隠岐の子どもたちの能力の高さを見た思いがした。
なお、隠岐の島ツアーの内容は、1月発行予定の「学校俳句研究」の3に掲載される予定である。