十分間俳句

発見・感動・創造! 子どもたちの感性を培い日本語力を高める十分間俳句

「運動会シリーズ」によせて

2007-09-30 | ジュニア俳句
学校の一大イベント「運動会」と連動し、このブログも一つの盛り上がりを見せているのではないでしょうか。更新がとても楽しみです。子どもたちの生き生きとした作品が呼び水となり、投稿の数も増えました。その結果、多くのことを学ばせていただいているように思います。

「運動会シリーズ」を通して感じましたこと、私も、いくつか書かせていただきます。

「侘びさびだけが俳句ではない」との投稿がありましたが、私もまったく同感です。むしろ、小学生らしい作品であってほしいと思います。小山先生の真意はわかりませんが、十分間俳句は俳人の輩出を目的としているのではなく、おそらくは、「豊かな心」や「言葉を大切にする姿勢」の育成をねらっていらっしゃると考えます。すばらしいと思います。私たちが公教育に対して望むものは、そういうところにあるはずです。
今後、「学校俳句」という新しいジャンルが出てきてもよいように思います。小山先生は、最近、本ブログにて、テーマ選びの重要性や発達段階への配慮について言及されています。学校行事との関連づけ、学年ごとの支援事項の明確化により、より効果的な俳句学習が可能になるように思います。

最近、保護者の方による投稿が増えていることも、とても好ましいことと思います。すばらしい運動会であったことがたいへんよくわかりました。投稿はただでさえ勇気のいること、小さな学校では人物が特定されるおそれがあり、なおさらかと推察されます。
以前、小山先生が十分間俳句の効果を測定することの難しさについて書いていらしたように記憶しています。この取り組みが、学力調査の結果に直結するとは、だれも思っていないはずです。しかし、それ以上に大切な力が、この十分間俳句から身につくのではないかという期待があります。これは、人間形成の礎となる「骨太の学力」といってもよいかもしれません。私は、保護者からのコメントこそが、効果測定の大きなバロメーターになるように考えます。十分間俳句の継続・普及の鍵になるのではと。ちょっとしたお子さんの変容など、すばらしいと感じる瞬間があればコメントをお寄せになったらいかがでしょうか。このブログを拝見するたび、話題となっている教育改革の議論の本質は、もっと身近なところにあるのではないかと考えさせられます。

最後になりますが、子どもたちの運動会の俳句から、たくさんの勇気をいただきました。ほんとうにありがとうございます。
十分間俳句のご成功、心よりお祈り申し上げます。

-小山-
励まし、ありがとうございます。
最近、十分間俳句には、十分間俳句特有の価値基準があるように感じ始めています。
指導の順序性、発達段階やその辺りのことを明確にしていくと、「学校俳句」というジャンルが成立するのかも知れません。
良いご指摘、感謝します。

十分間俳句とは

2007-09-30 | ジュニア俳句

発見・感動・創造

「十分間俳句」とは、一日十分、生活の中で気付いたことや発見したこと
など(「俳句の種」)を記録し、それをもとに十七音の俳句に作るという活動です。

十分間俳句の目的

1、生活の中の小さな気付きや発見を大切にする習慣を培う。
2、気付きや発見などを言葉にし、感動を定着化させ感性を磨く。
3、俳句という十七音の定型で表現することを通して日本語力を高める。

十分間俳句の方法

1、専用のノートを用意する。
2、日付を書き、最初の5分間、気付きや発見などの「俳句の種」を記録する。
3、次の5分間、「俳句の種」を元にして、十七音の俳句にする。
※「俳句の種」「俳句」それぞれには通し番号をつける。

十分間俳句普及の呼びかけ

1、十分間俳句は、子どもたちが、日本の自然の豊かさを発見する方法です。
2、十分間俳句は、生活の中の気付き・発見を自覚し、自尊感情を高める方法です。
3、十分間俳句は、俳句を通して、日本語のリズムを身につけ、語彙を豊富にする方法です。
4、十分間俳句は、日本の伝統文化を子どもたちに伝える方法です。
5、十分間俳句は、どの学校でもどの教室でも手軽に取り組める方法です。

  なお、十分間俳句は、脳を活性化させ、生活を豊かにする有効な方法です。

  あなたも取り組んでみませんか。

素直な感動を!

2007-09-29 | ジュニア俳句
2年生の運動会の俳句。ここで狙ったことは、ズームインした素直な気持ちを引き出すこと。最近、発達段階と言うことをすごく考える。学年が一つ上がると言うことは、(特に低学年では)大きな違いがある。どの学年でどんなことを強調するのか、違いがあっていいはずだ。
試行錯誤だ。

 リレーでねカーブするとこぬかされた  優

運動会を大雑把に捉えずに、リレーのしかもカーブのところ、残念ながら抜かされちゃったけれど、その一瞬が見事に捉えられている。残念と一言も書いてないけれど、この言葉の写真には、彼女の気持ちまでと写っている。

 大玉をおしまくったよ手があつい   匠

これは、大玉送りの場面だ。赤白接戦だった。ただ「おした」のではなく「おしまくった」のだ。その勢いが、更に「手があつい」で強調されている。手だけでなく心まで熱くなったのだろう。

 ダンスでね目のまえ見たらママがいた   麗

低学年では、子ども達がどの位置で踊るのか、プリントが配布されていた。ママは、我が子がどこにいるかわかっていたのだろう。でも、子供としては驚きだ。そして、少し嬉しくなるだろう。ママがいた驚きやうれしさが伝わってくる。
それぞれ季語はないが、十分間俳句で、一つの大切な事は心を表現する場面を切り取ることだと思う。そうした意味で、以上のような俳句は、ねらいを達成していると言えると思うのだ。


感無量の運動会(投稿)

2007-09-28 | ジュニア俳句
本当に感無量の運動会でした。6年生の保護者のみならず感涙されていた方もいらしたようです。
残暑厳しい折、しかも短期間のなかで頑張った子どもたちに賞賛を、ご指導して下さった先生方に感謝を申し上げます。
“徒競走ライバルに勝てずテープ遠い”いい句ですね。わずか17文字(19?)に一枚の絵が見えてくるようです。字余りも現代っぽいというかプロっぽくさえ思えます(^o^)
季語も増殖し、侘び寂だけが俳句ではないようです。伝統文化は少しずつ形を変えつつも、いいものはいいから継承されるのでしょう。日常さりげなく俳句を学んでいる子どもたちは幸せだと思います。
学校の近くにある芭蕉記念館では、ときおり有名な俳人の先生や大学の先生の講義を聴講することができますよね。こどもに対抗して?たまには学生気分を味わってみましょうか・・・

-小山-
10月7日(日)この日は、芭蕉稲荷祭もあり、神明幼稚園の運動会もありますが、芭蕉記念館で、長谷川櫂氏の講演会が2時からあります。(3時半まで)募集定員は、先着順で80名。長谷川氏は、読売新聞に「折々の歌」のような連載をもっている現代を代表する俳人です。演題は、ちょっと失念しましたが、確か「蛙は池に飛び込んだか?」というようなものだったと思います。興味ありますね。出来れば参加したいと思っています。皆様もどうぞ。

運動会の俳句 その2

2007-09-28 | ジュニア俳句
鉄は熱いうちにうつ方がよい。ネタは新鮮な方がよい。
各学年で、運動会についての俳句が作られている。
次に紹介するのは、三年生の俳句である。

ときょうそう一いになってVサイン   長

思い出にブートキャンプがきざまれた  朝

運動会ブートキャンプできんトレだ   南

運動会もえるからだでつっぱしれ   恭

地区リレーもえる気持ちをおさえこむ  宮

運動会一番たのしみおべんとう    詩

運動会ニヤッとわらってシャッターチャンス   大

体操着さん私といっしょにがんばろう    涼


以上、今日の三年生の十分間俳句の作品から選んだ句だが、共通しているのは、言葉を選んでいることだ。

たとえば、この句

  ときょうそう一いになってVサイン

これは、「一位になってうれしいな」ということである。この「うれしいな」の部分を「Vサイン」としたのが手柄だ。
「うれしいな」は、写真にしたら見えないが、「Vサイン」はちゃんと写る。この基本線をクリアーできれば、段階が一つ上がったと言うことが言える。2年生だとこの辺りは、かなり難しい。一つには語彙の問題もある。発達段階にも関係しているように思う。

思い出にブートキャンプがきざまれた

「ブートキャンプ」とは、運動会の中学年の出し物であるが、
それにしても「思い出に刻む」などという言葉を使えるとは「なかなかおぬしやるな」という感じだ。

地区リレーもえる気持ちをおさえこむ

この「燃える気持ちを抑え込む」という表現にも唸らされる。
読書量との相関関係もあるのかもしれない。誰でも簡単に使えるとは思えない。

三年生になると、こうした「言葉の工夫」がかなり出来るようになると言うことだろうか。今後の参考になる。

運動会一番たのしみおべんとう

体操着さん私といっしょにがんばろう

しかし、同時に上のような素直な感情をあらわした俳句もいい。大切にしたい。
考えてみれば、家族と一緒にお弁当を食べる機会などほとんどないわけだし、その楽しみは他に代え難い。又それが「楽しみ」とと言えるのは、家族の有り様を示していてうらやましい。

又、体操着を擬人化し、それに呼びかける形式、これも子供らしいようでいて、それ以上のものをもっている。
本来、自分自身を励まして「頑張ろう」というわけだが、そのことを「体操着さん」に呼びかけるユーモラスさ。
「運動会一生懸命頑張ろう」というモチーフが、全く新しい発想に置き換わってしまうのだから、これもまた相当な工夫と言えるだろう。











運動会の俳句

2007-09-27 | ジュニア俳句
色々な学校の先生が参入し、このブログが「八名川小学校ブログ」ではなく、まさに「十分間俳句ブログ」に近づいていくことは、実に嬉しい。

この間の実践で、「お題」の大切さを感じている。何をテーマにして書くか、これを限定することが、子供の発想を生み出しやすくする一つである。
共通の体験であっても、子供一人一人の捉え方は異なる。年間を通して、こうした「お題」を整理して提供することが、十分間俳句を広げる一助になると思う。この事は、一般にどの句会でも行われていることであり、ことさらに目新しいことではないが、指導の順序性を縦糸に、お題を横軸にして組んでいマトリックスを作り上げる必要を感じる。

さて、運動会は、小学校の最大の行事であり、明らかに「お題」だ。

六年生が作った句を紹介する。

 運動会次の日起きると動けない

この句を作った子は、応援団長だった。一日中、精一杯声をからし、あらゆる競技に奮闘した。そして次の朝だ。その奮闘のすべてが見えるような見事な句だ。

 砂をけり逆立ちしながら空を見る

組体操の逆上がりが出来なくて、苦労して苦労してようやく出来た。空を見る。この達成感。運動会を通して、一回りも二回りも彼女は成長した。瞬間を捉えた句。こういう視点をもつことは、一つの目標であろう。

 徒競走ライバルに勝てずテープ遠い

うまい句かと問われれば、そうではないかもしれない。しかし、私はこういう句が好きだ。十分間俳句の目標の一つは、自分の心をそのままに表すことだ。テープ遠いという言葉に悔しさがにじむ。競争では敗れたが、その気持ちを表現したこの句は見事だ。

 組体操ふるえっぱなしの大技の橋

なにしろ、「ふるえっぱなし」がいい。その自分の姿を捉え、句にする心が何とも言えない。

 組体操大きなかけ橋大成功

 組体操三段タワーがそびえ立つ

 組体操力をあわせタワー立つ

やっぱり組体操の成功は、大きな達成感を子ども達に与えたと言える。計算が出来ることも大切だが、人生におけるこうした経験は得難い。人間や物事に対する考え方や見方の基礎を作るからだ。

 運動会勝っても負けてもニッコニコ

最後の運動会、勝ち負けじゃない。勝負そのものを楽しむ。そんな超越した心境を感じる。

組体操の中に組み込まれた六年生の「言葉」は、これに取り組む気持ちを鮮やかに表しており、私も思わず目頭が熱くなった。
感動的な運動会だった。





香取小学校の井上先生から

2007-09-26 | ジュニア俳句
小山先生、いつもこのブログで学ばせて頂いております。

私は昨年度、移動教室実踏の折に世話人をしていたものです。
また、八名川小のウイークエンドスクール「バレーボール」のお手伝いも少々やらせていただき、現中1の素直な子ども達や協力的な保護者の皆さんと一緒に楽しい思い出を作ることができました。
校長先生や副校長先生のご支援、本当にありがとうございました。

さて、このブログに紹介されている「十分間俳句」の取り組みですが、大変に素晴らしいと感じ、夏休み中に構想を練り、本日から担任する学年で取り組み始めました。
これは、そのご報告のためのコメントです。

今後もこのブログで「十分間俳句」のエッセンスを吸収しながら、より良い指導ができるように勉強させていただこうと思っております。

どうぞよろしくお願い致します。


 -小山-
バレーボールの指導でもお世話になりした。また、実地踏査でもいろいろと・・・
うれしいですね。十分間俳句に取り組んでいただけるとは!
子ども達の素直な心、発見・感動を大切にしていきましょう。
うまくいったことも、うまくいかないことも色々教えてください。
新しい実践というものは、うまくいかないことを克服しながら成長するものですから。よろしくお願いいたします。

もう、秋です。江戸川区の先生からの投稿

2007-09-25 | ジュニア俳句




 台風は自然の力すごい風

 台風はひがいが多くかなしいな

 秋の空ゆうぐれきれいピンク色

 台風は町をおそってたいへんだ

 オバナはね秋の七草すすきだよ

 秋の花コスモスすすききれいだな

 すすきのほサラサラなびく秋の風

 秋の空もくもく雲がとおったよ

 たのしいなおちばかきわけくりひろい

 秋の空よぞらに光る星ひとつ

 台風でこうもりがさがいっぱいだ

 秋の夜月が一番きれいだな

 台風が大きな雲にヒュルルルヒュルル

 秋の夜コオロギ話のコロパーティ

 三日月にうさぎがいるか秋の夜

 コオロギのなきごえきれい音楽会

 秋の服むらさき色がにあうかな

 かきの実が木からおちるは日曜日

 台風がきて蟻たいへんだかわいそう


先週も暑かったけれど、やっぱり秋になっていたんですね。
自然にどの子も眼が向いていて、その情景をしっかり捉えている所が、素晴らしいと思います。

台風、コスモス、すすき、秋の空、月、コオロギ等など。
自然を愛しみ、地球環境に目を向ける子供は、自然の美しさやこわさを感じ取ることが出来る子供ではないかと思います。

どの句も「いいなあ」と思いましたが、

 三日月にうさぎがいるか秋の夜

確かに満月にはうさぎさんが居るけれど、三日月にはいるのでしょうか。
ところで、今日は確か「仲秋の名月」です。見ることが出来るでしょうか。

 かきの実が木からおちるは日曜日

この句もおもしろいなあと思いました。柿の実は、曜日に関係なく落ちるのでしょうが、実際に見ることが出来るのはにちようびだけなんですね。それでこんな俳句が出来たのかな。子供らしい句と思いました。

 秋の服むらさき色がにあうかな

なるほど、もしかしたら、お買い物に行って洋服を買って貰ったんだね。秋らしい色を考えたところがいいね。

 

ハートランドの加藤先生より

2007-09-24 | ジュニア俳句
わたしも、小山校長先生の取り組みに、敬意を持ち投稿させていただいております。
十年以上前に、校内の数カ所に「はいくポスト」なるものを設置して始めた取り組みは、なかなか校内でも浸透しませんでした。今も、学校では先生方が日々の仕事に追われている現状です。なかなか俳句を子どもに指導する気になれない先生も多いように思います。
しかし、子どもたちは、表現したくてたまらないのだと思います。表現する場を作ってあげれば、きっと子どもたちは、喜んで表現すると思います。その一つの方向性として、「十分間俳句」は、とてもすばらしいことだと思います。
 一週間にたった十分ですが、その十分が子どもたちにとって、充実した十分になることを願っています。

武蔵野墨美展

2007-09-23 | ジュニア俳句

もう少し涼しくなるかと期待していたが、相変わらす暑い。午後、府中で行われている武蔵野墨美展に出かける。八名川小学校の子ども達の作品が大々的に展示されているからだ。


(八名川小学校の子ども達の作品、右端は大野陽代先生)

新大橋一丁目の大野陽代先生のご指導で、ウィークエンドスクールでの墨絵講座が始まってから三年目になる。最初は、数名だった生徒も、今年は三十名を超える。熱心なお父さん、お母さん方も現れた。
加えて、今年からは放課後クラブ げんきっズの講座にも取り入れられた。こちらは、ウィークエンドスクールに通っていない子供を中心に11名。先生とお話しできる機会がこのところなかったので、会場で、今後についていろいろと話をした。
今年の展覧会では、先回に引き続き、高学年は俳画にも取り組む。この発想を引き出してくれたのも大野先生である。いずれは、もっと大きく広げて、俳句と併せて、森下・下町に墨絵の文化を広げていきたいものである。
武蔵野墨美展は、24日まで。府中駅前、府中グリーンプラザにて