新宿のジュンク堂書店に行った。
ここに足を踏み入れたのは生まれて初めてだ。
新宿三越の三フロアー分。広い。そして、木製の本棚。
「今の本屋はこうなっているのか」
弘前の詩人で音楽家の鎌田神爾さんとアーサー・ビナードさんの対談が夜の6時半から始まる。
鎌田さんは、昨年太宰治の「走れメロス」の津軽語訳を発表し世間をびっくりさせた。
この発想がすごい。
これからは地方の時代であり、その象徴としての方言の見直しが見事にマッチングしたと言うことであろう。
アーサー・ビナードさんは、アメリカオレゴン州の出身だが、日本語で書いた詩が中原中也賞をとるなど、すでに手練れの日本語の使い手である。
圧巻だったのは、鎌田さんの津軽弁による朗読だった。
意味がまるでわからなくなる(本当に (>_
翻訳とは、ただ言葉を移し替える作業ではない。そのうちに秘められた心や情景を移し替えることだ。
この作業は、ある意味では本質的には不可能と言えなくもない。
それは、江戸時代の感覚を現代人が100%理解することが不可能なのと同じだ。
しかし、近似値ならば可能である。
ビナードさんは、日本の詩を英語に翻訳して紹介する仕事もされている。
この対談では、その苦労も多く話された。
ビナードさんが、鎌田さんの仕事は、「考古学的な意味がある」と述べた。
太宰治の津軽人としての内実に迫って、本質を明らかにするという意味だ。
そこで考えてみた。
方言の俳句というのは、成り立つのか。
成り立つだろう。
子どもの俳句でそういうものがあるか、調べてみる必要もあるな。
鎌田さんとは握手をして別れた。
9日に横浜で行われる音楽会の券もいただいている。