十分間俳句

発見・感動・創造! 子どもたちの感性を培い日本語力を高める十分間俳句

深川小学校での授業

2011-05-30 | ジュニア俳句

先週、深川小学校の5年生、6年生に授業した。
本当は、花を題材にする予定だった。
校長室の前にバラの花が咲いている。
しかし、60人で一斉に見る程ではない。
六年生の教室の前の廊下で,ふと見るとスカイツリーがそびえている。
曇り空の中のスカイツリー。
「これもいいなあ」
一クラスが事情で集まるのがちょっと遅れたので、その間に
スカイツリーであそび始めた。

スカイツリーはでっかいぞ
スカイツリーはアスパラガス
天までとどけスカイツリー

そうか、今日はこれでやってみるか。
予定を急遽変更して、
「スカイツリー」
「公開日」
を題材に。
「俳句は言葉の着せ替えゲーム」

次の時間には、「俳句には季語が必要だったよね」
として、
「五月晴れ」「五月雨」 「夏つばめ」などを例にして、言葉には雰囲気があることを教えて、
句を考えさせた。
必ず出てくるのは、スカイツリーはどこかに行ってしまって、季語に引っ張られてしまう句だ。
(それだけ季語というのは、吸引力が強いということだろう)

梅雨の空スカイツリーはかくれんぼ

夏の空スカイツリーは宝物

朝焼けにスカイツリーは目をさます

スカイツリー分厚い雲をつきぬける

夏の夜花火がツリーを飾り付け

夏の夜スカイツリーは今が旬

夕焼けとスカイツリーの名画かな

夏の雲スカイツリーを過ぎていく

夏の夜スカイツリーは赤い服

夏の夜スカイツリーも夜景見る

くもり空スカイツリーは若葉寒

夕焼けにスカイツリーが顔を出す

 


南陽小学校5年生の授業についての感想

2011-05-28 | ジュニア俳句

5月24日の南陽小学校5年生の授業に同行してお手伝いして下さったYさんが授業の感想を寄せてくれました。ちょっと誉めすぎで、恥ずかしいところもあるのですが、大変うれしかったことも事実なので、紹介します。
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先日は南陽小学校での俳句授業、お疲れさまでした。

初めて先生のお手伝いとして参加させていただきまして、俳句の伝道師(?)としてご活躍されている『小山流儀』を満喫させていただきました。

当日はまず、100名を超える、教科書以外で俳句に触れたことのない5年生が一堂に集まったランチルームでの説明でしたが、彼らは「俳句」も「小山先生」も初めて、という二重の緊張を強いられているわけですよね。
そんな中に、先生は足早に、かつ飄々と入って行きながら、にこにこ顔というよりにやにや顔で(失礼)
「こんにちは!みんな、俳句って知ってる~?」
と先生はいつものフランクな口調で話し始めましたが
『何なんだ、この先生は?!』
初対面の児童にそう思わせたことで、先生⇔児童という距離感がぐっと縮まったように感じました。
つかみはOK!といったところでしょうか(笑)

ま た、俳句についての説明も一方的にするのではなく、子どもに発言させた有名な句(「やせがへる負けるな一茶ここにあり」など)を、みんなで声を揃えて言わ せることによって、それまでざわついていた子どもの頭の中は、自然に俳句ワールドにリセットされたのではないでしょうか。

その後の各学級での授業を拝見していて常に感じたことは、先生はとにかく褒めるのが上手だということです。
褒めることを惜しまない。
先生が放った質問に対して、正解でもそうでなくても、発言した答えに至った考え方を確認してあげた上で、そう考えられたことを褒める。
繰り返し褒めることで、当てられた子はもちろん、それを見ているクラスメートも、俳句に対しての抵抗を無くしていったように思えました。

先生は作っている最中も
「いいねー!」
「うまいなぁ」
授 業で話した注意事項を忘れている子にはさらっと指摘したり、子どもの様子によっては指摘せずにそのままやらせてしまったり…まずは俳句にトライし始めた子 ども達のモチベーションをうまくキープしながら進めて行くという、さじ加減というか、手腕が絶妙だなぁと改めて敬服いたしました。

今回は「入門編」の授業でしたが、中級・上級の授業はどのように展開されていくのか、今後もお手伝いさせていただく機会があれば嬉しいです。


南陽小での授業の実際

2011-05-26 | ジュニア俳句

前に述べたような観点を立てて、授業に臨んだはずだったが・・・・
子ども達を実際に前にしてみると、なかなか計画通りにいかない。
というよりも、自分の頭の中が変わってしまう。

南陽小学校の五年生の児童は、120人近い。一つの教室に集まると相当な数だ。
授業が始まると勝手に進んでいってしまう。

【1時間目】
☆俳句について知っていることを聞く。
五・七・五、季語など

☆知っている俳句を紹介させる。
船員で唱える→その場で覚えさせる

☆三つ題を出す
・つつじ咲く  ・新緑  ・若葉雨

☆外に出て、観察したり、感じたりする
・メモにとる
ここまでが1時間目である。

【2時間目】(実際は3クラスあるので、ここは3時間。)
三つ俳句を作ってみせる。

・つつじ咲く真っ赤に咲いてきれいだな
・新緑やみどりたくさんきれいだな
・若葉雨雨がいっぱいきれいだな

いいだろうといったあとで、
「何かおかしくないか」
と聞く。

「みんなきれいだなになっている」
「どうしていけないの?」
「どんな風にきれいなのかわからない」
「これは、感想」

「そう、俳句では感想は書かない。」
「きれいだな、うつくしい、おもしろい、たのしいななど」
それから俳句を作らせた。

できた俳句(一つのクラスの)

つつじ咲く花を見ながら給食だ

つつじ咲く雨がふっても燃え上がる

つつじ咲く雨にぬれて光ってる

つつじ咲く晴のきれいな宝物

新緑や夏は最高スカイツリー

新緑や一分ごとに桜ちる

若葉雨ふればふるほど水たまる

若葉雨初夏のにおいがよくかおる

若葉雨葉からたれてく水の粒

若葉雨したたり落ちるかさの上

若葉雨つつじ見ながらかさをさす

・・・・・・・・
雨がふっているので、その場でメモができないこと、
新緑や若葉雨は、写生として作ることが難しいことなど、題材など工夫するべきところがたくさん残った。




金子兜太著『悩むことはない』

2011-05-25 | ジュニア俳句

東京新聞に金子兜太さんの『悩むことはない』の書評が掲載されていた。

震災後の今を生きる上での示唆を与えてくれる本ではないかとも思う。

この「即物」という考え方、兜太さんは、一昨年に行われた八名川小学校の授業の中でも強調されていた。

その兜太さんの生き様を 日向寺太郎監督が『生きもの』というDVDにされた。

これもぜひ見ていただきたいと思う。

 


南陽小での授業

2011-05-24 | ジュニア俳句

今日は、南陽小で四時間授業する。
一時間目は、三クラス合同で。
二時間目以降は、クラス単位で。

一回授業するごとに少しずつ新しいことが分かってくる。
また、そういう風に進歩していきたいと思う。

今回は、俳句を作るヒントについてだ。

☆俳句は、言葉の写真です。

☆ズームにして見てみよう

この言葉は、対象をよく見ること

☆いろいろな感覚を働かせてみよう

見るだけでなく、さわってみる、匂いをかいでみる、音を聞くなど

☆広角レンズで見てみよう 

周りを見ること、回りとの関係で対象をみること

☆記憶のレンズで見てみよう 

 →取り合わせになる

 空間的に

 頭の中で、記憶の中で、時間的に

☆俳句は言葉の着せ替え人形

これは、新バージョンである。

上五と下五をひっくり返してみる、違う言葉を入れてみる。

それだけでなく、主人公をかえる、場面を転換させるなどもあり


 


友だちをテーマにした俳句

2011-05-23 | ジュニア俳句

八名川小学校の授業で、友だちをテーマにした俳句を作った。

遊び、けんか、おしゃべり、などどんな場面があったかを想起させて、その状況を十二音でつくり、それに季語を取り合わせるという方法だ。
難しいのは、季語が出たとたんに、今まで考えていたテーマも十二音はわすれて、季語にひっぱられた句になってしまうことだ。
今回は、それはそれでもいいということにした。
また、同じけんかの句でも、自分がしたことを動物がしたことにしたら、おもしろいかもしれない。そうしたらおとぎ話のようになるぞ。とそそのかした。
そうしてできた句のいくつかを紹介する。

 夏が来たあせびっしょりのおにごっこ

 かぶとむし池であそんだどろどろだ

 虹がでたびっくりぎょうてんわらったよ

 夏の空サッカーをして点きめる

 コガネムシあせだらだらの運動会

 すずめの子はんかちおとししばふでね

 風かおる池にとびこみかえるピョン

 夏が来た二人でいっしょにおにごっこ

 風かおるいっしょにけんかなかなおり

 アゲハチョウわたしといっしょにおにごっこ

 あげはちょう友だちいっぱいできたんだ

 夏の空家族ごっこでもりあがる

 あげはちょうおにごっこしていきハァーハァー

 夏の雨わたしはひとり本を読む

 夏の雨カードゲームにはまったよ

 かぶと虫四番だしゃでホームラン

 すずめの子風の中でひみつきち

 ともだちとしばふでいっしょに虹を見た

 夏の空一りん車してすっころぶ

 夏の海水でっぽうでたいけつだ

 夏がきた池であそんでびしょぬれだ

こうやってみると、けっこう良くできていると思う。それぞれの子どもの雰囲気がでている。