経営の視点から考える「知財発想法」

これからのビジネスパーソンに求められる「知財発想法」について考える

知財戦略

2006-05-07 | 知財発想法
 企業経営における「知財戦略」の重要性は、今や論を待たないところとなっています。一方で、何となく響きのよい「知財戦略」の語は、どうもその意味が十分に咀嚼されないままに使われる機会が多いような気がしてなりません。

 知財業界で仕事を始めて、できるだけ「戦略」レイヤーに関わる仕事をやってみたいものだと思い、「知財戦略」「特許戦略」と銘打った書籍や論文などに目を通してみました。しかしながら、そこで論じられていたことの殆どは、「戦略」というよりも、「戦術」レイヤーの議論であったように思います。

 ある目的に対して、できるだけ効果を高められるようにどのように戦うかを考えるのが「戦術」です。

 これに対して「戦略」とは、そもそもの目的・方向性をどのように設定するか、というレベルの議論になるはずだと思います。

 ところが、特に「特許戦略」として論じられていることは、広く強い特許をどのように取得するか、パテントマップをどのように作るかといった方法論が殆どであって、これはまさに「戦術」レイヤーの話です。勿論、「戦術」も重要な要素ではありますが、「戦術」をどのような方針に基づいてどの方向に展開していくのか、経営層が「戦略」レイヤーでしっかり考えておかないと、経営上の効果を発揮することはできません。「戦略」とは、こうした知財業務を推進する方針や方向性について、意思決定を行う基礎となる考え方のことなのではないでしょうか。

 私自身が考える「戦略論」について、宣伝になってしまいますが、来週11日にディーブレインの公開セミナー「ベンチャー支援に求められる知的財産戦略の基礎知識」と題してお話させていただきます。企業経営者、経営コンサルタントなどが考えるポイントは何か、私なりの提言をさせていただく予定ですので、ご興味をお持ちいただけた方には是非ご参加をいただけると幸いです。